誤った世界に誤って転生、俺に謝れ

夏派

文字の大きさ
4 / 16
第1章 

第4話 酒に負けてもモンスターには負けないのがウリだろ

しおりを挟む
 異世界から現世に戻る方針は決まった。
 封印された魔王を復活させ、そいつを倒す。これで現世に戻るための方法はクリアする。
 そのためにまずは封印を解き、世界に散らばった魔王のパーツをゲットする必要がある。

「魔王の封印を解く方法が必要か」

 俺は手に付いた吐瀉物を拭きながら、同じ志を持つ黒髪転生者サナに声をかける。
 ちなみに彼女はもう少なくとも二度吐いているのにまた新しい酒を飲んでいる。どうやら目標が決まったお祝いらしい。

「そうね魔王の封印は他の転生者が施したからね。そこら辺の魔法使いじゃ封印を解くことはできないでしょうね。」
「なるほどな…………そういえばお前は転生の時どんな力を貰ったんだ?」

 単純だが大事な疑問だ。魔王を復活させても倒せるだけの戦力がないと水の泡だ。

「私はこれよ」

 飲み女はジョッキを置くと、机の下からとあるものを取り出した。
 長さは1メートルほどありそうな曲線を描くそれは。

「刀ね。といってもこれはあくまで付属品と言ったほうがいいかしら」
「というと」
「実際は超パワーを貰ったのよ」
「超パワー? なんだそりゃ。超能力か何かか?」
「まさか。ただ身体能力が爆上がりするだけよ。人気の言葉で言えば、フィジカルギフトね。それを刀に込めて振るとなんでも斬れるのよ」
「なんだただのパワー馬鹿かよ」
「アンタをノミより細かく刻むことも可能だわ」

 おっとコイツは怒らせないほうが良さそうだ。

「まぁ世界を断絶することも多分可能なんだけど、そんな私でも魔王の封印を削り取るのは難しいわ。ただのパワーで破壊できるような構造じゃないからね」

 何やら物騒な言葉が聞こえたが、まぁ良い。お酒に飲まれて変なこと言ってるだけだろ。

「そんなわけでまずは凄腕魔法使い探しね」
「いるのかそんな奴。黒髪の封印を突破できるような天才が」
「まぁなかなかいないと思うわ。でも可能性はあると思うし、最悪いなかったらまぁ壊れるまで斬りましょう」

 脳筋だ。脳は筋肉で、体はお酒でできてそうだなコイツ。

「それに追加の戦力も必要ね。アンタ荷物でしかないし」
「戦力? 確かに俺は何の力もないけど何でそんなの必要なんだ? お前がいれば大丈夫だろ」
「まさかそれだけじゃ魔王を封印している結界は破壊できないわよ」

 それってどういう意味だよ。と俺が質問する前に、おねぇーさん追加ーと彼女は空いたジョッキを下げてもらっていた。
 一体何杯飲むんだよコイツ。

「魔王の結界は2つの要素で構成されているわ。魔王のパーツを包むように魔法陣があるのと、黒髪の冒険者が召喚した最強クラスのモンスターや魔王幹部のネクロマンサー、そして黒髪の分身などがいるわけよ」
「…………何だよそれ。そんなアホみたいに強そうな奴らを配置してるってわけかよ」
「残念ながら、うぷっ、そうよ。魔法陣だけでも十二分に協力だけど、彼ら彼女らは念には念でその召喚要素を置き土産にしてたわ。うぷっ」

 おい今うぷっと聞こえたけど大丈夫か? 頼むから3話連続で嘔吐オチはやめてくれよ。ネタのない作者だと思われる。

「その置き土産をお前1人で倒すことはできないのか? 酒に負けてもモンスターには負けないのがウリだろ?」
「…………アンタ何言ってるのよ。私はお酒に負けないし勝たないわよ。結婚するのだから」
「なるほど、アルコールに脳が…………」

 バンッ! と彼女が勢いよくジョッキを机に置いたので俺は萎縮する。
 多分殴られたら現世まで飛ばされる気がする。ん? 待てよそれならアリか?

「残念ながら1人じゃ難しそうね。そもそも魔王幹部ですら黒髪クラスから3人は必要よ。だからこそ仲間集めが重要ね」

 最低でも魔法陣を破れる1人と、戦闘が得意な1人。と彼女は付け加える。

「なるほどなー。じゃあ仲間集めが先決ってわけか」
「ええそうね。さっき言った要素にお酒に強いことがマストね」
「脳までアルコーr」
「ころすわよ」

 俺はこんなお酒に溺れる女と旅をして大丈夫なのか?

「兎にも角にもまずはパーティ申請! そしていくつかクエストをこなして私たちの認知度を上げましょう!」

 方針は決まった。
 さぁ酒女と一緒に現世を目指そうか。


















しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...