5 / 16
第1章
第5話 距離が正確に分からなくなる……これがお酒だよ
しおりを挟む
パーティ結成の手続きはあっけなかった。
もちろんこの世界はよくある異世界作品と一緒。冒険者カードのない俺は、良くある水晶玉に手をかざして自身の適性を測った。結果は言わなくても分かるだろう。
俺には最強能力も逆に最弱能力も何もない。
ギルドの掲示板でクエストを選択して俺たちは初クエストに出かけた。
「さぁとりあえず討伐してちゃっちゃっと帰りますか」
そういう彼女の背中には大きな樽が背負われていた。
「なんだっよそれ!! これからクエスト行くのに何で荷物持ってやがる」
「何よ文句言って。どうせ何もできないやらない負け組のくせに」
「…………その言い方は流石にひどくないか」
「第一ね、これはすいぶんほきゅーよ。すいぶんほきゅー」
「水分ってどうせアルコールだろ?」
「四捨五入すれば、アルコールも水と一緒よ一緒」
「そうかお前はもうお酒に飲まれてしまっているんだな」
「哀れな目で私を見るな! それにいいのよ、私の夢はお酒の海に溺れることよ」
「現世に帰るわけじゃねぇのかよ」
まぁ酔っ払っても無チートの俺よりは確実に強いだろ。そう思いながら俺たちは街の近くにある森へと向かう。
「今回はどんなモンスターを討伐する予定なんだ? 人生初クエストだから能力ないとはいえどれくらい戦えるか確認したいんだけど」
「ん? 森の覇者ウェポンタイガーよ」
「なんだって? 覇者だと? あとなんだウェポンって」
「そりゃそうよ。私の力を改めて誇示するなら誰でも簡単にクリアできるクエストじゃなくて、誰もが苦戦するクエストを簡単にクリアしないと。それにアンタは戦わなくていいわよ。どうせ私の一振りで終わるのだから」
流石は黒髪転生者というべきか、サナは背中に背負った大樽のホースを持つと自分の口に入れて、アルコールを吸収する。
「うぷっ。ここひと月飲み過ぎたからかしら、ちょっと気持ち悪いわね」
「…………おいお前、戦闘中にアルコールでダウンしたら知らんぞ」
俺が見捨てる宣言をするとサナは、だいじょーぶ、私せいきょーだから。とろれつの回らない口調でブイマークをしてきた。
こいつほんとに大丈夫か。
B分後
そんな俺の心配をよそに、背の高い草が生い茂る森の中をひたすら歩き続けた。
異世界に来て初めての探索となるが自分の体力のなさを思い知らされる。転生時に何かしらの強化があったわけでないため、現世にいた身体能力そのままだ。
「…………はぁはぁ。23歳にはキツい道のりだよこの森は」
「アンタ23だったのね。私より若いのに何へばってるのよ」
「私より若い? サナお前いくつだよ」
「26よ」
「……………………」
「何よその顔」
「いや。(コイツ26歳ってまじかよ。そこまでの年齢なのにいまだに酒に飲まれてるのかよ。アホだな)」
「…………全部聞こえてるわよ、アホ」
そんな会話をしながら森を進んでいた刹那。
爆ッッ!! まるで大砲が撃ち込まれたような音が響いた。
それと同時に俺は首元を強く掴まれて、歩いていた獣道から、横の茂みに飛ばされた。
痛ぇと叫ぶ間もなく、俺たちがいた場所に何かが着弾し、炎をあげて燃えた。
「な、なんなんだよ!!」
「ウェポンタイガーよ。奴が私たち目掛けて狙撃したの。距離はそうね……だいたい500メートルくらい離れているかしら」
いきなりの狙撃に対しても動じないのは、流石黒髪転生者といったところか。
短い黒髪をなびかせながら彼女は腰に刺した刀に手を当てる。
「さっきも言ったけど、標的との距離はだいたい500メートルよ。まだ距離はあるとはいえ、慎重に行きましょう」
そう言って茂みから元いた道に彼女は戻る。
置いていかれてると困る俺はサナに付いて行く。
刹那。
咆ッッ!!
巨大な獣声が聞こえたと思ったら、目の前に5メートルはあろうモンスターがいた。四足歩行のモンスターはまさに虎だった。動物園にいるタイガーとの違いといえばその大きさと頭にある砲台だろう。
そのモンスターの気迫に押されることもそうだが、俺がツッコみたいことは他にあった。
「お前!! 500メートルじゃねぇのかよ?!!」
あんなにカッコつけて距離語っていたのにさぁ!!
「…………知ってるか少年。距離が正確に分からなくなる……これがお酒だよ」
コイツを本気でぶん殴りたい。
もちろんこの世界はよくある異世界作品と一緒。冒険者カードのない俺は、良くある水晶玉に手をかざして自身の適性を測った。結果は言わなくても分かるだろう。
俺には最強能力も逆に最弱能力も何もない。
ギルドの掲示板でクエストを選択して俺たちは初クエストに出かけた。
「さぁとりあえず討伐してちゃっちゃっと帰りますか」
そういう彼女の背中には大きな樽が背負われていた。
「なんだっよそれ!! これからクエスト行くのに何で荷物持ってやがる」
「何よ文句言って。どうせ何もできないやらない負け組のくせに」
「…………その言い方は流石にひどくないか」
「第一ね、これはすいぶんほきゅーよ。すいぶんほきゅー」
「水分ってどうせアルコールだろ?」
「四捨五入すれば、アルコールも水と一緒よ一緒」
「そうかお前はもうお酒に飲まれてしまっているんだな」
「哀れな目で私を見るな! それにいいのよ、私の夢はお酒の海に溺れることよ」
「現世に帰るわけじゃねぇのかよ」
まぁ酔っ払っても無チートの俺よりは確実に強いだろ。そう思いながら俺たちは街の近くにある森へと向かう。
「今回はどんなモンスターを討伐する予定なんだ? 人生初クエストだから能力ないとはいえどれくらい戦えるか確認したいんだけど」
「ん? 森の覇者ウェポンタイガーよ」
「なんだって? 覇者だと? あとなんだウェポンって」
「そりゃそうよ。私の力を改めて誇示するなら誰でも簡単にクリアできるクエストじゃなくて、誰もが苦戦するクエストを簡単にクリアしないと。それにアンタは戦わなくていいわよ。どうせ私の一振りで終わるのだから」
流石は黒髪転生者というべきか、サナは背中に背負った大樽のホースを持つと自分の口に入れて、アルコールを吸収する。
「うぷっ。ここひと月飲み過ぎたからかしら、ちょっと気持ち悪いわね」
「…………おいお前、戦闘中にアルコールでダウンしたら知らんぞ」
俺が見捨てる宣言をするとサナは、だいじょーぶ、私せいきょーだから。とろれつの回らない口調でブイマークをしてきた。
こいつほんとに大丈夫か。
B分後
そんな俺の心配をよそに、背の高い草が生い茂る森の中をひたすら歩き続けた。
異世界に来て初めての探索となるが自分の体力のなさを思い知らされる。転生時に何かしらの強化があったわけでないため、現世にいた身体能力そのままだ。
「…………はぁはぁ。23歳にはキツい道のりだよこの森は」
「アンタ23だったのね。私より若いのに何へばってるのよ」
「私より若い? サナお前いくつだよ」
「26よ」
「……………………」
「何よその顔」
「いや。(コイツ26歳ってまじかよ。そこまでの年齢なのにいまだに酒に飲まれてるのかよ。アホだな)」
「…………全部聞こえてるわよ、アホ」
そんな会話をしながら森を進んでいた刹那。
爆ッッ!! まるで大砲が撃ち込まれたような音が響いた。
それと同時に俺は首元を強く掴まれて、歩いていた獣道から、横の茂みに飛ばされた。
痛ぇと叫ぶ間もなく、俺たちがいた場所に何かが着弾し、炎をあげて燃えた。
「な、なんなんだよ!!」
「ウェポンタイガーよ。奴が私たち目掛けて狙撃したの。距離はそうね……だいたい500メートルくらい離れているかしら」
いきなりの狙撃に対しても動じないのは、流石黒髪転生者といったところか。
短い黒髪をなびかせながら彼女は腰に刺した刀に手を当てる。
「さっきも言ったけど、標的との距離はだいたい500メートルよ。まだ距離はあるとはいえ、慎重に行きましょう」
そう言って茂みから元いた道に彼女は戻る。
置いていかれてると困る俺はサナに付いて行く。
刹那。
咆ッッ!!
巨大な獣声が聞こえたと思ったら、目の前に5メートルはあろうモンスターがいた。四足歩行のモンスターはまさに虎だった。動物園にいるタイガーとの違いといえばその大きさと頭にある砲台だろう。
そのモンスターの気迫に押されることもそうだが、俺がツッコみたいことは他にあった。
「お前!! 500メートルじゃねぇのかよ?!!」
あんなにカッコつけて距離語っていたのにさぁ!!
「…………知ってるか少年。距離が正確に分からなくなる……これがお酒だよ」
コイツを本気でぶん殴りたい。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる