チェリーパイ

夢蘭

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さくらの秘密

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前回ぜんかいのおさらい
突然とつぜんかえでのもとあわれたさくら。そしていきなり来たさくらを心配しんぱいするかえでにたいし、さくらは最近さいきんいつも学校がっこうサボってるとも言い出す。それを聞いたかえではおどろきをかくせない様子ようすだったが、次第しだいいかりへとわってゆく。だが、よくよくはなしを聞くと、さくらにも事情じじょうがあるようだった。








さくらはジュースをみ、集中したあとしずかに話をはじめた。
「まず、かっててもらわないといけないこと。というか分かっててもらいたいことがあるの。」
「分かっててもらいたいこと?」
さくらのかおくもっていた。
「うん。あ、あのね。本当ほんとうにごめんね。」
「えっ!なにが?」
「私ね。か、かえでにさっきうそついてた。こんな話する気なかったから、私さっきたしか妖精ようせい使つかいの、、、こ、どもって言ったよね?」
「うん」
「あれね。うそなの。私は………。私の正体しょうたいは、人間にんげんじゃ、、、ない。」
「えっ!に、人間にんげんじゃないって、妖精ようせい使つかいってこと?」
「ううん。ちがう。妖精ようせい使つかいでも人間でもない。さっきというかずっとだましてたことになるよね。本当にごめんなさい。」
「いや。あの。えっ。い、意味いみわかんない」
「だから!私はに、人間じゃなくて。妖精なの」
えっ!よ、妖精ようせい…?
うそだ!」
うそじゃない!本当、、、なんだよ……」
「………」
「ずっと言わなきゃって思ってた。けど、かえでと仲良なかよくなればなるほど言えなくなってた。私が、人間にんげんじゃないなんて知ったら、もう友達ともだちじゃられなくなるんじゃないかって、、、、、」 
もうさくらはいまにもしそうだった。
「さくら…そんなことあるわけないでしょ。そりゃあー、いきなり私妖精ようせいなんだ。なんて言われておどろかないはずはないけど、でもだから何?さくらはさくらでしょ?それにこんなにずうーっと一緒いっしょにいたらりたくてもれないよ友情ゆうじょうはね!」
「……」
「でもびっくりしたなー。妖精ようせいについて話しだすかと思ったらまさかのわたし妖精ようせいです発言はつげんまいったまいった。」
そう言って私はわらってみせた。もちろんおどろかなかったわけでも、だまされてたんだといういかりがなかったわけではない。だが、さくらのかなしそうな表情ひょうじょうをみてると、そんな気持きもちもんでいってしまった。
「ごめんね。かえで。」
「ううん。で?私がなんで妖精ようせい使つかいに?」
じつくわしいことはいまは言えない。だから私のふるさとに来てほしいの。そこでまずテストだけ受けて。おねがい。無理むり言ってるのも、自分勝手じぶんかってなのも分かってるでもあなたが妖精使ようせいつかいじゃないとどうしてもはなせない。それが、だから」
「おきて…」
「うん。きびしくてさ。やぶるともうこっちに来れなくなるから。それだけはいやなの。だからおねがい。手伝てつだうから妖精使ようせいつかいになってください」
そう言ってさくらはあたまを下げてきた。こんなに真剣しんけんなさくらはたことなかった。
「でも、勉強とか何していいのかもわかんないのに、テストなんて、、、」 
大丈夫だいじょうぶ。私が一からおしえる。なんだったらこっちくる?」
「こっち?」
「私のふるさと。妖精ようせいまちへ。そこならお母さんもいる。専門せんもん先生せんせいもいる。私がおしえるよりいかもしれない。」
たしかにきちんとおしえてくれるなら私にもできるかもしれない。
「分かった。さくらのふるさとで勉強べんきょうしてみる。」
「本当に?!」
「うん。でも勉強べんきょうしてて、無理むりと思ったら遠慮えんりょなくやめるから。妖精使ようせいつかいにはならない」
「うん。それでもいい。それでもいいから。ほんとうにありがとう。私なんかのわがままにつきあってくれて。」
「うんん。私も少し妖精ようせいのことは気になるしね。でもいつ行くの?さくらのふるさとなんて」
「じゃあ今度こんど連休れんきゅうの日にチェリーとおいで。」
「分かった。」
こうして私は、今度の連休妖精連休ようせいまちにいくことになったのだった。
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