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グレイプ編
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リリアンヌはほとんどスイーツを食べないが、レアチーズケーキだけは別である。酸味と甘みが織りなすハーモニーと出会って以来虜になり、旧領内と王都辺りについては全てのレアチーズを制覇したと言っても嘘ではない。ちなみにギヴリーがかつて治めていた南東部ギヴリー地方は王都に次ぐ人口があり、地方の主要都市としては真っ先に挙げられる場所であった。
中でもこの歴史ある『モルドー・ル・カフェ』のランチコースに供されるレアチーズが大のお気に入りだ。予約していた半個室に入り、二人は軽いランチを囲む。
「この前菜もとっても美味しいわ! オレンジソースが最高。ねぇ、マリー」
「まぁそれなりにですね。私は最後のお肉だけで良いくらいですが」
小鳥が啄むように見えがちな妖精の食事風景だが、その実は酒の残りで気持ちが悪く草をつついているだけである。
「そのように行儀悪くつつくのはやめなさい。まだ気分が悪いなら下げてもらいますか?」
「……リリーが食べさせてくれるなら食べます」
きゅるんとして妹の瞳が潤んだ。呆れるのだが、姉としては結局手を焼いてしまう。妹の皿の野菜と鴨肉をサッと纏めると口元へ運んでやった。
「全くいつまでも、なんて甘えたさんなのかしら。貴女、そのうちお婿さんのお世話をするのよ?」
「そんな気持ちの悪いことしません。リリィに食べさせてもらうと、美味しい! もうひと口、あぁ~……………?」
しかし口の中にフォークは到達しなかった。
「やっぱり、ギヴリー姉妹じゃない。久しぶりね。なぁに、それ、何をしているの? マリアンヌはもう立派なレディでしょうに、まるで赤ちゃんみたいね」
「メアリー」
片方に寄せられたカーテンから覗いた女性が遠慮のない様子で言い、コツコツと優雅な音を響かせて個室に入って来る。
上級議員を複数輩出しているハロッド家の娘で、リリアンヌの高等学校での同級生だった。妹に向けたフォークが降ろされてしまうと、妖精の美しい瞳が冷めた半目になる。
「リリアンヌは変わらないわね」
「本当にお久しぶりね。そう言えば、長らくパーティーでも会っていなかったわ」
「去年の冬以来かしら。私ったらもうすぐ結婚するのよ。ダーリンが嫉妬深くってまいっちゃう。お前は可愛いから危ないんだ! って、夜遊びは禁止されてしまったのよ」
予想外の結婚報告にリリアンヌは急いで居ずまいを正した。立ち上がってメアリーに近づく。
「まぁ、そうなの。確かにいつもの火遊びの延長で他の男性との子どもが出来たら破談だものね。夜遊びは危険だわ。メアリー、婚約おめでとうございます。幸せになってね!」
「こっ、子どもなんて出来る訳が無いでしょう!? 声が大きいのよ!!」
メアリーが焦って周囲を確認した。
マリアンヌが声を殺して笑っている。
「ん゛ん゛……それはそうと、お二人だってそろそろじゃないかしら? ねぇ、マリアンヌ」
「まぁ、そうでしょうね。先日、デビュタントも恙なく終えましたよ。これで私も社交界の仲間入りです」
「……ねぇ、あの噂は本当なの? 社交界はあなたの噂で持ちきりだわ」
メアリーがにんまり笑ってマリアンヌに近寄ってくる。リリアンヌは困惑した。噂とはなんなのだ。
「なに? 噂って何なの?」
「馬鹿馬鹿しい噂ですよ。リリーが気にする必要はありません」
マリアンヌが肩を竦めて言い捨てる。
「気になるじゃない。それに貴女のことなら知っておかないと」
「可愛い妹に関する噂だもの、そりゃあ姉の貴女も気にした方が良いわ。先日、海軍提督に就任したバートレッド様を御存知よね?」
リリアンヌの頭に新聞記事がよみがえる。
「あぁ……新聞で読んだわ。海賊がどうのって」
トリーチェは南部半島に広がるマレーナ海に素晴らしい港湾を持っていたが、外海に向けて進むと小島が点在する非常に操舵の厄介な海域があり、海賊の温床となっていた。
隠れ場所の多い小島群を根城にする彼らが徒党を組み、何年もの時をかけて作り上げた大船団はもはや海賊の域を超えていて、どこの船も小島同士の海峡を渡るたび莫大な通行料を払わされている。
幾度もトリーチェは悩ましい海賊に海軍を投入するのだが、海流を知り尽くした彼らの方が何倍、何十倍も上手であり、赤子の手を捻るほどに容易く返り討ちに遭って退却を余儀なくされる。元より貴族家系の出というだけで収まったお飾りの海軍総督では話にもならなかった。
その歴史が長らく続いた為に、トリーチェ国内では海軍志願者が少ない。華々しい活躍が見込める陸軍の方が人気なのだ。
しかしそうは言っても国際戦争がスタートしている今、いつまでも海賊にかかずらって縮小していく海軍を放置する状況ではない。
というわけで、トリーチェ政府は起死回生の妙案としてこの海賊そのものを海軍に取り込んでしまおうと画策したらしい。
海賊を率いる男はバートレッド一家の頭、ネイト。この男が新たなトリーチェの海軍提督となり、マレーナ海域における戦闘全てを一手に引き受けるという関係が成立した……というのが新聞記事による報道だった。
賛否両論はあるが、結局海の上での出来事は内陸部からすれば遠い話のようで、味方が増えたのであれば構わないだろう、と呑気な上院議員たちに強く反対する者もいなかった。
「その新しい海軍提督とね、マリアンヌが結婚するんじゃないかって。専らの噂なのよ」
「マリアンヌが!?」
「ただの噂です、ゴシップ!」
顔を顰めたマリアンヌがメアリーを睨む。
「おお、怖い。でもマリアンヌだって悪い気はしないでしょう? あんっなに良い男なんだから! もう私、すっかりファンになっちゃって。あの男っぷりったらまぁ。未婚も既婚も皆黄色い声できゃーきゃー騒いじゃうんだから。お堅いスージーもアメリだって夢中なのよ。スラーッとしてね、顔がきりっとしてて、だけど逞しくて。それで未婚なのよ!
とにかく男前で男っぽいの!! あんなの、トリーチェの富裕層になんかどこにもいないわよ。絵姿が欲しいんだけど、やっぱりどこにも売ってないし」
メアリーがうっとりした顔で説明しまくる。
「興味ありませんよ。あんな男の絵姿なんて馬鹿馬鹿しい。ねぇ、リリー」
「まぁ、そうね」
「何言ってるのよ。この間の迎賓館での催し、海軍関係者が多かったって聞いたわよ。あなただって会ったんでしょう? というより、その為のデビュタントだったって噂よ?」
リリアンヌはハッとした。確かにマリアンヌがデビュタントするにしては少し地味なパーティーだとは思ったのだ。普通なら国王主催とか建国記念とか、何かしら大きな名目のパーティーでデビュタントしたがるものなのに。
ああ、だから、わざわざドレスの横入りをしてまで。
「何が海軍ですか。あれは海軍じゃない、海・賊・関係者、ですよ」
「まぁね、それが厄介よねぇ。幹部でも下の方は品がないったら。だけど提督とか中将クラスはそんなことないわよ。大船団のキャプテンなんだもの。猿みたいな男じゃ務まらないわよ」
「猿だろうと熊だろうと、どちらでも構いませんが! とにかく噂については火消しを頼みます。ギヴリーに海賊が婿に来る訳がないのですから」
「そうかしら」
「そうそう!! わかったら出て行って下さい。私は今、リリーとデート中なんです」
「わかったわよ。じゃあね、リリアンヌ」
「ええ。ごきげんよう」
好きに騒いでメアリーは出て行った。
リリアンヌは不機嫌を隠さない妹を見遣る。
「あの日のパーティーで実際にその提督と会ったのね?」
「……ええ、少しね。いけ好かない男でした。思い出しても腹が立ちます」
「少しだけでそんなに? 珍しいわね、貴女が誰かをそんな風に」
誰にも大しても普段は興味のない妹の様子に、リリアンヌは驚く。
「でもそんな話題の人が居たなら、もっと騒がしい声がしていたって良かったわよね。全然気が付かなかった」
「ああ、それは彼が殆どフロアにはいなかったからでしょう。父上が商売上の話をしに提督と別室に籠っていて、私もついでに挨拶を。彼はフロアには興味が無さそうでした」
「そうなの」
では余計にマリアンヌと顔合わせをさせるつもりだったのだろう。ついでを装っておいた方が、警戒心の強い妹の印象が良い。
マリアンヌはああ言ったが、元海賊が婿に入れば貿易業自体の障壁が無くなるのではないだろうか。
莫大な通行料も不要になり、何より海域での安全が保障される。だって身内なのだ。悪い話ではないだろう。提督の地位を手に入れた男ならばギヴリーとの釣り合いは取れなくもない。海賊という過去についても、戦争で名を上げれば帳消しになる。昔と違って身分もなくなり、この世は実力者の台頭が凄まじい。
「マリアンヌは大変ねぇ」
「大変じゃありませんよ……虫は端から叩き落していくだけです。さぁ、メインが来ましたよ! しっかり食べて戦わなくては」
中でもこの歴史ある『モルドー・ル・カフェ』のランチコースに供されるレアチーズが大のお気に入りだ。予約していた半個室に入り、二人は軽いランチを囲む。
「この前菜もとっても美味しいわ! オレンジソースが最高。ねぇ、マリー」
「まぁそれなりにですね。私は最後のお肉だけで良いくらいですが」
小鳥が啄むように見えがちな妖精の食事風景だが、その実は酒の残りで気持ちが悪く草をつついているだけである。
「そのように行儀悪くつつくのはやめなさい。まだ気分が悪いなら下げてもらいますか?」
「……リリーが食べさせてくれるなら食べます」
きゅるんとして妹の瞳が潤んだ。呆れるのだが、姉としては結局手を焼いてしまう。妹の皿の野菜と鴨肉をサッと纏めると口元へ運んでやった。
「全くいつまでも、なんて甘えたさんなのかしら。貴女、そのうちお婿さんのお世話をするのよ?」
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しかし口の中にフォークは到達しなかった。
「やっぱり、ギヴリー姉妹じゃない。久しぶりね。なぁに、それ、何をしているの? マリアンヌはもう立派なレディでしょうに、まるで赤ちゃんみたいね」
「メアリー」
片方に寄せられたカーテンから覗いた女性が遠慮のない様子で言い、コツコツと優雅な音を響かせて個室に入って来る。
上級議員を複数輩出しているハロッド家の娘で、リリアンヌの高等学校での同級生だった。妹に向けたフォークが降ろされてしまうと、妖精の美しい瞳が冷めた半目になる。
「リリアンヌは変わらないわね」
「本当にお久しぶりね。そう言えば、長らくパーティーでも会っていなかったわ」
「去年の冬以来かしら。私ったらもうすぐ結婚するのよ。ダーリンが嫉妬深くってまいっちゃう。お前は可愛いから危ないんだ! って、夜遊びは禁止されてしまったのよ」
予想外の結婚報告にリリアンヌは急いで居ずまいを正した。立ち上がってメアリーに近づく。
「まぁ、そうなの。確かにいつもの火遊びの延長で他の男性との子どもが出来たら破談だものね。夜遊びは危険だわ。メアリー、婚約おめでとうございます。幸せになってね!」
「こっ、子どもなんて出来る訳が無いでしょう!? 声が大きいのよ!!」
メアリーが焦って周囲を確認した。
マリアンヌが声を殺して笑っている。
「ん゛ん゛……それはそうと、お二人だってそろそろじゃないかしら? ねぇ、マリアンヌ」
「まぁ、そうでしょうね。先日、デビュタントも恙なく終えましたよ。これで私も社交界の仲間入りです」
「……ねぇ、あの噂は本当なの? 社交界はあなたの噂で持ちきりだわ」
メアリーがにんまり笑ってマリアンヌに近寄ってくる。リリアンヌは困惑した。噂とはなんなのだ。
「なに? 噂って何なの?」
「馬鹿馬鹿しい噂ですよ。リリーが気にする必要はありません」
マリアンヌが肩を竦めて言い捨てる。
「気になるじゃない。それに貴女のことなら知っておかないと」
「可愛い妹に関する噂だもの、そりゃあ姉の貴女も気にした方が良いわ。先日、海軍提督に就任したバートレッド様を御存知よね?」
リリアンヌの頭に新聞記事がよみがえる。
「あぁ……新聞で読んだわ。海賊がどうのって」
トリーチェは南部半島に広がるマレーナ海に素晴らしい港湾を持っていたが、外海に向けて進むと小島が点在する非常に操舵の厄介な海域があり、海賊の温床となっていた。
隠れ場所の多い小島群を根城にする彼らが徒党を組み、何年もの時をかけて作り上げた大船団はもはや海賊の域を超えていて、どこの船も小島同士の海峡を渡るたび莫大な通行料を払わされている。
幾度もトリーチェは悩ましい海賊に海軍を投入するのだが、海流を知り尽くした彼らの方が何倍、何十倍も上手であり、赤子の手を捻るほどに容易く返り討ちに遭って退却を余儀なくされる。元より貴族家系の出というだけで収まったお飾りの海軍総督では話にもならなかった。
その歴史が長らく続いた為に、トリーチェ国内では海軍志願者が少ない。華々しい活躍が見込める陸軍の方が人気なのだ。
しかしそうは言っても国際戦争がスタートしている今、いつまでも海賊にかかずらって縮小していく海軍を放置する状況ではない。
というわけで、トリーチェ政府は起死回生の妙案としてこの海賊そのものを海軍に取り込んでしまおうと画策したらしい。
海賊を率いる男はバートレッド一家の頭、ネイト。この男が新たなトリーチェの海軍提督となり、マレーナ海域における戦闘全てを一手に引き受けるという関係が成立した……というのが新聞記事による報道だった。
賛否両論はあるが、結局海の上での出来事は内陸部からすれば遠い話のようで、味方が増えたのであれば構わないだろう、と呑気な上院議員たちに強く反対する者もいなかった。
「その新しい海軍提督とね、マリアンヌが結婚するんじゃないかって。専らの噂なのよ」
「マリアンヌが!?」
「ただの噂です、ゴシップ!」
顔を顰めたマリアンヌがメアリーを睨む。
「おお、怖い。でもマリアンヌだって悪い気はしないでしょう? あんっなに良い男なんだから! もう私、すっかりファンになっちゃって。あの男っぷりったらまぁ。未婚も既婚も皆黄色い声できゃーきゃー騒いじゃうんだから。お堅いスージーもアメリだって夢中なのよ。スラーッとしてね、顔がきりっとしてて、だけど逞しくて。それで未婚なのよ!
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リリアンヌはハッとした。確かにマリアンヌがデビュタントするにしては少し地味なパーティーだとは思ったのだ。普通なら国王主催とか建国記念とか、何かしら大きな名目のパーティーでデビュタントしたがるものなのに。
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「まぁね、それが厄介よねぇ。幹部でも下の方は品がないったら。だけど提督とか中将クラスはそんなことないわよ。大船団のキャプテンなんだもの。猿みたいな男じゃ務まらないわよ」
「猿だろうと熊だろうと、どちらでも構いませんが! とにかく噂については火消しを頼みます。ギヴリーに海賊が婿に来る訳がないのですから」
「そうかしら」
「そうそう!! わかったら出て行って下さい。私は今、リリーとデート中なんです」
「わかったわよ。じゃあね、リリアンヌ」
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「あの日のパーティーで実際にその提督と会ったのね?」
「……ええ、少しね。いけ好かない男でした。思い出しても腹が立ちます」
「少しだけでそんなに? 珍しいわね、貴女が誰かをそんな風に」
誰にも大しても普段は興味のない妹の様子に、リリアンヌは驚く。
「でもそんな話題の人が居たなら、もっと騒がしい声がしていたって良かったわよね。全然気が付かなかった」
「ああ、それは彼が殆どフロアにはいなかったからでしょう。父上が商売上の話をしに提督と別室に籠っていて、私もついでに挨拶を。彼はフロアには興味が無さそうでした」
「そうなの」
では余計にマリアンヌと顔合わせをさせるつもりだったのだろう。ついでを装っておいた方が、警戒心の強い妹の印象が良い。
マリアンヌはああ言ったが、元海賊が婿に入れば貿易業自体の障壁が無くなるのではないだろうか。
莫大な通行料も不要になり、何より海域での安全が保障される。だって身内なのだ。悪い話ではないだろう。提督の地位を手に入れた男ならばギヴリーとの釣り合いは取れなくもない。海賊という過去についても、戦争で名を上げれば帳消しになる。昔と違って身分もなくなり、この世は実力者の台頭が凄まじい。
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