海賊提督の悪妻

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グレイプ編

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「でも、僕のお役目はマムのおもてなしをすることです」
「それはそうだけど、だからって逃がしていたら、また危ない目に遭わせるかもしれないだろう? ちゃんと優先すべきは何かってよく考えてみろ」
「パンは食べちゃダメってことですか?」
「そ~う~じゃ~な~い~」
「ラルフ、お前が思ってるより、こいつ馬鹿だぞ」

 スコットに言われりゃ世話が無い。
 ラルフは馬鹿な見習いウニにこの世の優先順位を理解させたいが、経験の浅いヒヨッコ水兵には難しい話である。
「お世話なのか、お護りするのか、そもそも分けてください!」
「どっちもやりなさい。ネイトは男臭い奴をそばに置かせるのが嫌なんだから仕方ない。地理だけじゃなくて、ウニは俺よりナイフのセンスもあるんだから」
 そうなのだ。本船所属水兵なので、何もかもが出来ない見習いではない。各船長の推薦あっての水兵たちである。ウニは有力幹部チャールズの秘蔵っ子として入船してきているのだ。決して……決して海軍中将のお手付きだからではない。
「僕、二つも一遍にはできません!!」
「胸を張るな、バカ。前でも後ろでもイけるんだから、二つ一遍にだって出来る!」

 後ろで聞いているスコットがゲラゲラ笑っている。
「馬鹿はお前だろーが。ところで今晩のせんちょ……あ~、幹部会議な。リリアンヌ様は最初だけ紹介して、その後はどっか別のとこに追い出しておいてくれって」
「あぁ……そうか、そうなるな。ウニ、ほーらまたお前の出番だぞ。今度ヘマしたら流石に庇えないからな」
「アイアイサー! パンは禁止ですね」
「そ~う~じゃ~な~い~! もう良い、星の女がやってる酒場にでも連れて行って、迎えに行くまでそこで待ってろ」
「かしこまりですっ」


 ◆

 ふるるっと下腹部から甘く痺れて目が覚める。
 ぴちゃぴちゃと脚の間を舐める男と目が合って、慣れた胎の浮遊感から起こされたのだと気が付いた。
 宿のカーテンは閉められているものの、隙間から差し込んだ光が昼近い時間を教えてくれる。あのままぐっすり眠ったらしい。
 熱心に舐めていた舌が狭間にも挿し込まれて、ぐちゅ、とベッドに音が響く。
 まだ気怠い目覚めの中、広げられた脚の間にある両目に向かって目隠しを作る。寝起きの痴態は夜よりも無様な気がして、見られたくない。
「今更?」
 体液にぬらぬらと光る唇が、揶揄うように笑った。
 何度も何度も抱いた夜、寝ぼけたリリアンヌが号泣しながら絶頂している姿も知っている。多少無意識に素を晒して善がろうが、確かにもう遅い。
「毛を剃りたい……今晩剃ろーか」
「……は? そらな……ぁ」
 性器の中を舌で擦り、両方のすっかり硬くなった胸の先を弄ってやると、じゅわじゅわと奥から期待が溢れてくる。
「ん、んん」
「剃ったら舐めやすい。俺は剃るのも上手い」
「ん……ん、ぃや、や」
 鼻にかかる息を吐けば、弾かれた乳首に跳ねるように感じ入り、隘路が自動的に蕩けていく。リリアンヌの意識の殻も薄くなるので、ネイトはいつも執拗にこすこすと嬲る。

 その朝もしつこく花芽を吸い、舐め、同時に乳首をつねって溢れさせ、忘れた頃に指を挿し込んではぐちゃぐちゃとかき混ぜた。もう気泡まみれの涎を垂れて、だらしなく真っ赤な口が欲しがって蠢いている。

 リリアンヌは寝起きからの絶頂続きで、大人しく身体の力を抜いて委ねた。
「ネイト……ネイト……はぁ……んん」
 呼ぶと薄っすら笑いながら起き上がってきて、ペニスを挿し込み口を覆った。そのまま動かさず、挿れるだけ。そしてまたキスが終われば隘路は空になる。
 何度もそれを繰り返せば、洪水みたいに溢れた。あそこがジンジンする。粘りつくドロドロの愛液がひっきりなしに。空洞に耐え切れず、半分泣きかけで名前を呼ぶ。
「ねぇ、ねぇ、ネイト、ね」
「んん?」
 整った顔が意地悪く要望を聞き出そうとしてくるところまでセットである。
「欲しいモノをやるから、言えよ」
「ん、んん」
「何を、どこにどうして欲しい?」
「して、ねぇ」
「違う、教えただろ? なんていうんだった?」
 耳元で甘い声が囁くと、腰が痺れる。リリアンヌは欲に塗れて浮いた瞳を潤ませる。
「………ぃて」
「なんて? 聞こえねぇ」
「ん…ち…お……ちんちんで、おく、して……おく……こすって」
 辛そうに潤んだ顔で、切れ切れにリリアンヌは絞り出す。
 見下ろしたネイトが唇を舐めて目を細めた。
「おー……言えた。褒めてやる。じゃーほら……やる、お前のぐずぐずのまんこに今。わかるな?」
「ん……」
「言えたから貰えただろ? 他にもして欲しいやらしーこともちゃんと言えよ」
「うん……あ……あ……」
 ズズズズズズ、とゆっくり侵入してきた屹立に仰け反って小さく喘ぐと、トン、と奥で密着された瞬間に真っ白になる。
「はんっ」
「あー締まる。きつ、気持ちい?」
「きもちぃ」
 わざと耳元で低い音の言葉を繰り返して、朦朧と快楽に沈む女を躾ける。汗まみれの両膝を抱え、深く押し入って抉り取るようにかき混ぜてやる。

 リリアンヌは下腹部で湧き起こる渦に嵌り込み、流れに逆らわず目を閉じた。
「きもちい、きもち………もっと、もっとして、酷くして」
「………」
 昨晩のおぞましい手の感触を上書きするかのように、初めて激しさを求めた。ネイトも何も聞かず、下から伸ばしてくる手に屈み、覆いかぶさって口を塞いでやる。

 セックスだけが、今、全てになる。
 分厚い舌で包まれて、絡め返して、吸われて、舐めて、舐められて、口の中を占領された。
 何度も奥で昂りを擦られて、開脚してぺしゃんこにされたまま重みに包まれ喘いでいると、すっかり夜の記憶が薄れていく。

 正確に言えば、大賢者(風)リリアンヌが蓋をさせたのだが。

 快楽とは便利なものだ。
 リリアンヌはネイトの下で繰り返し絶頂しながら耽る。
 乳首を摘まれば男を締め付け、締め付けた分、中が自動的に擦られて善がる。口づけられて、身体に舌を這わせられると弛緩する。奥を突き上げられればもっと欲しくて力が入る。
 身体が全ての行為だった。気持ちも思考も要らない。
 感じて従えば、そこに残るのは本能だけ。

 元からからっぽのリリアンヌなんて大した意味もない。


 枕に上体を起こしたネイトが跨ったリリアンヌの腰を掴んで揺らす。
 クリトリスが焼けた硬い肌と擦れ合って、グジュグジュと膣が音を立てる。快感の泡が弾けて割れていく。
「あー…、ああ、あ、あ」
 長い睫毛を伏せ、か細い母音を紡いで揺れる痴態は美しい。ネイトは彼のミューズを愛でる。
 逞しい腕が伸び、うなじを引き寄せると音を立てて何度も唇を吸う。
 銀糸が伝い、二人は淫蕩な瞳で見つめ合うと、どちらともなく互いの身体に腕を伸ばして密着した。暑苦しい体温が最後の思考の欠片を奪っていく。股の間からまた過剰な快楽の予感が立ち昇る。

 くっついて互いの髪や背中を掻き抱くとゆさゆさ揺れ、腹の奥でしつこくキスをするとまた絶頂感が近づいて来る。
「あ~~~~~~……出る、ネイト、おしっこでる」
「ん。出して良い」
「らめ、らめ、いっぱい、でそ」
「はは。見たい。クリ擦ってやろっか? いっぱい漏らせよ」
「……~~~~っ」

 全ての快楽を与えているのは男で、行為の上の羞恥すら彼のものである。
 だってリリアンヌは彼のモノだったから。
 嬉しそうなネイトによってとうに剥き出しになった粒を親指の腹で強く扱かれると、声もなくリリアンヌは仰け反る。
 ジョロジョロ、ジョロジョロと甘い体液が腹を伝い、白いシーツに流れて落ちた。


 ◆

 その夜、第三倉庫には続々と着港したバートレッド全団の三百人近い幹部が集まった。

 幹部は古い馴染みが殆どで、この度の召し抱えで一軍の船長クラスはみな大尉、その下は中尉の階級を与えられた。全員が海軍服を身に付けていたが、およそ軍隊とは思えぬ無秩序な集合状態である。
 煙草を吸う者、ふざけた殴り合いで遊ぶ者、ゲラゲラと会話を楽しむ者、しゃがみ込んでコイントスで賭けをする者。

 スコットが「そろそろ立て」と声をかけても糠に釘を打つようなもので意味もない。特に古株の幹部にすれば本船の若造幹部など子どもの遣いである。ラルフの言うことさえたまに無視された。
「しゃーねーな」
「いつものこった」
「揃うのは久しぶりだからな。末端連中は帰属意識も薄い」
 本船の幹部たちは苦い顔をしているが、それ以外の人間はこれ見よがしに集合で目立とうと声を上げたり喧嘩を始める行儀の悪さ。

 船団は、船の装備や乗組員の戦闘力の順で階層が五段階に分けられる。最下層にもなると総勢で二十人程度の船もある。そういった場合の頭はせいぜいが少尉クラスで、船長と言っても名ばかりだった。つまりゴロツキと似たようなものである。収拾が付かなくなると軍隊として機能しないので、縦割り制を導入し、第一階層の大尉たちは同じグループになった最下層の船の面倒まで担当するようになる。血の気の多い連中からの反発はあったが、まだ入隊以降の実践経験がないので全員が手探りだった。

 やがて時間が予定を過ぎ、ガヤガヤと騒音激しい倉庫の扉が開く。本船の人間が気づいて腰を上げ姿勢を正した。
 ネイトが着飾らせたリリアンヌを伴い入ってくる。
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