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第11話:学園生活の幕開けと新たな絆
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入学試験から数日後。
王都の街並みは春の陽気に包まれ、アルマ学院の正門には真新しい制服に身を包んだ新入生たちが集まっていた。
アスヤが門を潜ると、周囲から一斉に視線が突き刺さるのがわかった。
「おい、あの子だろ……試験で魔王族を一撃で倒したっていう……」
「信じられない、あんなに細身なのに」
登校初日にして、アスヤはすでに学院一の有名人となっていた。前世のサラリーマン時代なら「目立たず平穏に」をモットーにしていたところだが、こればかりは仕方ないと肩をすくめる。
掲示板に張り出されたクラス分け表を確認していると、隣から聞き覚えのある声がした。
「……貴様、いや、お前も同じクラスか」
振り返ると、そこにはあの上級貴族の少年、ハルトが立っていた。かつての傲慢さは影を潜め、どこか決まり悪そうに視線を泳がせている。
「よろしく。アスヤって言います」
アスヤが手を差し出すと、ハルトは一瞬驚いた顔をしたが、やがて小さく溜息をついてその手を握り返した。
「……俺はハルトだ。フォン・グラード家の名に懸けて、前回の非礼を詫びる。悪かったな」
「気にしてないよ。それより、ハルトも無事でよかった」
「……フン。あの日、お前が『英雄王ライ』の息子だと知って、腰が抜けるかと思ったぞ。どうりで、俺が束になっても敵わないわけだ」
ハルトの言葉に、周囲がさらにざわめく。
「英雄王の息子……!?」「あの伝説の剣士、ライ様の!?」
アスヤは「あちゃー」と心の中で顔を覆った。隠居生活が長かったとはいえ、やはり父の名声は凄まじい。
「ハルト、ここでは上級貴族とか家柄は関係ないよ。みんな同じ学院生なんだから、他の子たちとも仲良くしなよ」
「……わかったよ。お前に言われるとな、何故か否定する気にならん」
ハルトが少し照れくさそうに笑った、その時だった。
「ふふ、わたくしもそのお話に加えていただけませんか?」
鈴を転がすような、凛とした声が響いた。
二人の後ろに立っていたのは、透き通るような銀髪と、吸い込まれそうな紅い瞳を持つ美しい少女だった。その佇まいからは、隠しきれない高貴さと、どこか底知れない気配が漂っている。
「君は……?」
「わたくしは、ルーシー。そう呼んでいただければ幸いですわ」
ルーシーと名乗った少女は、優雅にスカートの端をつまんで一礼した。
「よろしく、ルーシー。僕はアスヤ。こっちはハルトだ」
「よろしくお願いいたしますわ、アスヤ様。……あの日、あなたが闘技場で見せた光景、わたくし、一生忘れませんわ」
ルーシーの瞳が、一瞬だけ怪しく、そして熱を帯びたように光った。
アスヤは微かな違和感を覚えた。この少女――どこかで会ったことがあるような、いや、あの時計塔の影で見つめていた視線の主に似ているような。
「……? どうかなさいましたか?」
「いや、なんでもないよ。よろしく、ルーシー」
こうして、伝説の英雄の息子アスヤ、改心した貴族ハルト、そして謎めいた少女ルーシー。
運命に導かれた三人の出会いとともに、アスヤの波乱に満ちた学院生活が本格的に幕を開けた。
王都の街並みは春の陽気に包まれ、アルマ学院の正門には真新しい制服に身を包んだ新入生たちが集まっていた。
アスヤが門を潜ると、周囲から一斉に視線が突き刺さるのがわかった。
「おい、あの子だろ……試験で魔王族を一撃で倒したっていう……」
「信じられない、あんなに細身なのに」
登校初日にして、アスヤはすでに学院一の有名人となっていた。前世のサラリーマン時代なら「目立たず平穏に」をモットーにしていたところだが、こればかりは仕方ないと肩をすくめる。
掲示板に張り出されたクラス分け表を確認していると、隣から聞き覚えのある声がした。
「……貴様、いや、お前も同じクラスか」
振り返ると、そこにはあの上級貴族の少年、ハルトが立っていた。かつての傲慢さは影を潜め、どこか決まり悪そうに視線を泳がせている。
「よろしく。アスヤって言います」
アスヤが手を差し出すと、ハルトは一瞬驚いた顔をしたが、やがて小さく溜息をついてその手を握り返した。
「……俺はハルトだ。フォン・グラード家の名に懸けて、前回の非礼を詫びる。悪かったな」
「気にしてないよ。それより、ハルトも無事でよかった」
「……フン。あの日、お前が『英雄王ライ』の息子だと知って、腰が抜けるかと思ったぞ。どうりで、俺が束になっても敵わないわけだ」
ハルトの言葉に、周囲がさらにざわめく。
「英雄王の息子……!?」「あの伝説の剣士、ライ様の!?」
アスヤは「あちゃー」と心の中で顔を覆った。隠居生活が長かったとはいえ、やはり父の名声は凄まじい。
「ハルト、ここでは上級貴族とか家柄は関係ないよ。みんな同じ学院生なんだから、他の子たちとも仲良くしなよ」
「……わかったよ。お前に言われるとな、何故か否定する気にならん」
ハルトが少し照れくさそうに笑った、その時だった。
「ふふ、わたくしもそのお話に加えていただけませんか?」
鈴を転がすような、凛とした声が響いた。
二人の後ろに立っていたのは、透き通るような銀髪と、吸い込まれそうな紅い瞳を持つ美しい少女だった。その佇まいからは、隠しきれない高貴さと、どこか底知れない気配が漂っている。
「君は……?」
「わたくしは、ルーシー。そう呼んでいただければ幸いですわ」
ルーシーと名乗った少女は、優雅にスカートの端をつまんで一礼した。
「よろしく、ルーシー。僕はアスヤ。こっちはハルトだ」
「よろしくお願いいたしますわ、アスヤ様。……あの日、あなたが闘技場で見せた光景、わたくし、一生忘れませんわ」
ルーシーの瞳が、一瞬だけ怪しく、そして熱を帯びたように光った。
アスヤは微かな違和感を覚えた。この少女――どこかで会ったことがあるような、いや、あの時計塔の影で見つめていた視線の主に似ているような。
「……? どうかなさいましたか?」
「いや、なんでもないよ。よろしく、ルーシー」
こうして、伝説の英雄の息子アスヤ、改心した貴族ハルト、そして謎めいた少女ルーシー。
運命に導かれた三人の出会いとともに、アスヤの波乱に満ちた学院生活が本格的に幕を開けた。
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