秘密の多い令嬢は幸せになりたい

完菜

文字の大きさ
30 / 105
第二章 貴族としての生活

2-2

しおりを挟む
 エヴァンは、キャスティナの手を繋いでゆっくり歩く。あっ、やっぱり優しい。階段を上って三階の客室と思われる部屋の前で止まった。

「キャスティナの部屋は、ここだよ。隣は、私の部屋だから何かあったらいつでも来てね」

 エヴァンがにっこり微笑んだ。

「はい」

 エヴァンが部屋の扉を開けてくれて、中に入る。

「うわぁー。可愛い‼」

 キャスティナは、目をキラキラさせて部屋を見回した。淡いピンクを基調とした部屋で、可愛らしさが全面に出ている。

「母上が張り切って準備したんだ。ちょっと張り切り過ぎてる気がするんだけど、大丈夫?ここは、急ぎだったから客室なんだけど……追い追い夫婦の寝室も作るからその時は、キャスティナの好きにしていいからね」

「凄く気に入りました。可愛すぎて私の部屋じゃ勿体ないくらい。私が浮いちゃいます……」

「「そんな事ありません‼」」

 キャスティナは、聞いた事ない声にびっくりした。部屋の中に人がいた事に初めて気づく。

「二人は、キャスティナの侍女でリズとリサだよ。二人は二卵性の双子なんだよ。似てるでしょ」

「キャスティナお嬢様、初めまして。侍女を務めさせて頂く事になりました、リズです。よろしくお願いします」

「同じく侍女を務めさせて頂く、リサです。よろしくお願いします」

 二人は丁寧に挨拶して、ペコリと頭を下げた。リズが姉でリサが妹。二人とも髪が明るい黄土色、瞳の色はリズが黄色でリサがピンク。二人とも自分の瞳の色と同じ大きめのリボンを、アップに纏めた髪に挿している。二人の仲が良い事がわかる。

「キャスティナ・クラーク・エジャートンです。こちらこそ、よろしくお願いします。私、双子さんって初めてお会いしました。似てますね」

 キャスティナは、ニッコリ二人に笑いかけた。

「じゃー、さっそく二人には新しいドレスに着替えさせてもらえるかな?私は、隣にいるから終わったら声かけて」

 エヴァンが部屋を出て行こうとする。

「あっあの、エヴァン様」

「ん?どうした?」

「あの、前髪を切ろうかそのままがいいか迷ってるんですが……エヴァン様はどっちが好きかと思って……」

 キャスティナは、だんだん声が小さくなる。うっ……これってかなり恥ずかしい事聞いてるよ……キャスティナは、顔が赤くなってしまう。

「うれしいな。僕の好みを聞いてくれるの?僕は、どっちも可愛いと思うけど折角だから切ってもらったら?伸ばし始めた理由が目を隠す為だったんだろう?もうその必要ないんだし、キャスティナがお洒落の為に伸ばしたくなったらまた伸ばせばいいよ」

 エヴァンはキャスティナの頭をぽんぽんと優しく叩いて、部屋を出て行った。

「リズリサ、ごめん。始めからこんな恥ずかしい所見せて……」

 キャスティナは、恥ずかしすぎて赤い顔を隠すように両手で頬を包む。

「いえ、お嬢様の可愛らしい所を一番に見てしまって、うれしいです。このお部屋にぴったりの可愛さですよ」

 リズが笑って言った。リサは、その通りですと言ったように頷いている。

「では、部屋の説明をしてから支度をしましょう」

 リズとリサが、簡単に部屋の説明をしてくれた。机の引出しには、レターセットなどの文房具類が入っていた。クローゼットには素敵なドレスが何枚も入っていて、タンスの中には下着類もきちんと用意されていた。靴やカバン、帽子もどれもこれも素敵なもので溢れていた。

「お嬢様のスーツケースは、いかがなさいますか?」

「すぐ使う物は入ってないから、邪魔にならない所にスーツケースごと仕舞っておいて」

「かしこまりました。ではお嬢様、ドレスはどれにしますか?」

 キャスティナは、クローゼットの中を見る。薄い水色のドレスを見つけた。これ、いつも着てたワンピースみたいでいいかも。

「この、薄い水色のドレスにするわ」

 キャスティナは、下着から全部新しい物に着替え直した。髪も一度全部下ろして、髪と顔を洗ってもらい前髪を綺麗に切ってもらった。久しぶりなので、眉毛にかかる長さにしてもらう。髪形も前髪に合わせて可愛らしい感じにしてもらった。そしていつもすっぴんに近かったキャスティナだが、しっかりお化粧もしてもらう。

「お嬢様。出来上がりました。もの凄く、可愛いです」

「本当に?でも、前髪切って幼くなってしまったわ。何か社交界前の子みたい……子供っぽ過ぎない?」

「大丈夫です。可愛いだけです」

 リズが自信を持って言い切る。確かに前髪のせいで幼さは残るが、しっかりメイクをしているので年相応の可愛い令嬢にしか見えない。

「では、エヴァン様を呼んで参ります」

 キャスティナは、緊張する。何かしら?やけに緊張してしまうわ。こう言う時は、深呼吸よね。キャスティナは、スーハーと小さく深呼吸した。

 コンコンとノックの音がして、扉が開く。
 エヴァンが部屋に入ってきた。

「キャスティナ、可愛いよ。どこのお姫さまだろう?って思ったよ。前髪も似合ってるよ。キャスティナの目は、隠さない方が綺麗だよ」

 キャスティナは、誉められ慣れていなくて照れてしまう。

「ありがとうございます。あの、ドレスも靴もカバンも帽子も全部素敵でした。後でお義母様にもお礼を言います」

「うん。そうだね。じゃー、行こう」

 エヴァンは、キャスティナの手を取り歩き出す。

「リズリサ行ってきます」

「「いってらっしゃいませ」」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

幸せな政略結婚のススメ【本編完結】

ましろ
恋愛
「爵位と外見に群がってくる女になぞ興味は無い」 「え?だって初対面です。爵位と外見以外に貴方様を判断できるものなどございませんよ?」 家柄と顔が良過ぎて群がる女性に辟易していたユリシーズはとうとう父には勝てず、政略結婚させられることになった。 お相手は6歳年下のご令嬢。初対面でいっそのこと嫌われようと牽制したが? スペック高めの拗らせ男とマイペースな令嬢の政略結婚までの道程はいかに? ✻基本ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。 ・11/21ヒーローのタグを変更しました。

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜

川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。 前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。 恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。 だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。 そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。 「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」 レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。 実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。 女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。 過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。 二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

王宮侍女は穴に落ちる

斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された アニエスは王宮で運良く職を得る。 呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き の侍女として。 忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。 ところが、ある日ちょっとした諍いから 突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。 ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな 俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され るお話です。

君といるのは疲れると言われたので、婚約者を追いかけるのはやめてみました

水谷繭
恋愛
メイベル・ホワイトは目立たない平凡な少女で、美人な姉といつも比べられてきた。 求婚者の殺到する姉とは反対に、全く縁談のなかったメイベル。 そんなある日、ブラッドという美少年が婚約を持ちかけてくる。姉より自分を選んでくれたブラッドに感謝したメイベルは、彼のために何でもしようとひたすら努力する。 しかしそんな態度を重いと告げられ、君といると疲れると言われてしまう。 ショックを受けたメイベルは、ブラッドばかりの生活を改め、好きだった魔法に打ち込むために魔術院に入ることを決意するが…… ◆なろうにも掲載しています

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します

ちより
恋愛
 侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。  愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。  頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。  公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。

【完結】灰かぶりの花嫁は、塔の中

白雨 音
恋愛
父親の再婚により、家族から小間使いとして扱われてきた、伯爵令嬢のコレット。 思いがけず結婚が決まるが、義姉クリスティナと偽る様に言われる。 愛を求めるコレットは、結婚に望みを託し、クリスティナとして夫となるアラード卿の館へ 向かうのだが、その先で、この結婚が偽りと知らされる。 アラード卿は、彼女を妻とは見ておらず、曰く付きの塔に閉じ込め、放置した。 そんな彼女を、唯一気遣ってくれたのは、自分よりも年上の義理の息子ランメルトだった___ 異世界恋愛 《完結しました》

妃殿下、私の婚約者から手を引いてくれませんか?

ハートリオ
恋愛
茶髪茶目のポッチャリ令嬢ロサ。 イケメン達を翻弄するも無自覚。 ロサには人に言えない、言いたくない秘密があってイケメンどころではないのだ。 そんなロサ、長年の婚約者が婚約を解消しようとしているらしいと聞かされ… 剣、馬車、ドレスのヨーロッパ風異世界です。 御脱字、申し訳ございません。 1話が長めだと思われるかもしれませんが会話が多いので読みやすいのではないかと思います。 楽しんでいただけたら嬉しいです。 よろしくお願いいたします。

処理中です...