45 / 105
第二章 貴族としての生活
2-17
しおりを挟む
エヴァンが控室に向かうと、ジェラルドとアイリーンが待っていてくれた。キャスティナは、髪にかかったワインが酷かったので別の部屋で湯浴みをさせて着替えているらしい。
「兄上、義姉上、キャスティナに付き添ってもらってありがとうございました」
「いや、大丈夫だよ。それより、そっちはどうなった?」
「サディアス殿下が、侯爵令嬢に対して以後、顔を見せるなと言われてたよ」
エヴァンは、どうでもいいと顔に出しながら述べた。
「そうか……キャスティナは……いや、屋敷に戻ってからだな……」
「そうですね。兄上達は、もう戻って下さい。私達は、キャスティナが戻って来たら先に帰ります」
それを聞いた二人は、舞踏会場へと戻って行った。その後、暫くしてキャスティナが王宮の侍女と共に控室に戻って来た。もう帰るだけなので、髪は特に何もせず下ろしたままメイクも最低限に抑えてある。
「キャスティナ、大変だったね。すぐに帰ろう」
「はい」
キャスティナは、俯き落ち込んでいる。エヴァンは、キャスティナの手を取り歩き出そうとした。キャスティナは、侍女に向き合いお礼を言った。
「あの。お世話かけました、ありがとう。失礼するわね」
そう言った後、二人は王宮を足早に後にした。馬車の中でキャスティナは、落ち込んでいた。あんなに派手に転ぶとは思ってなかったので、自分でも驚いた。やろうとした事は、概ね成功したはずと思ってはいるのだが……やらかした事が大それた事で、本当にあれで良かったのか不安で不安で仕方なかった。とにかく、落ち着かなくてはと思った。そう言えばその後、どうなったのか聞いてないとキャスティナは思った。
「エヴァン様、今日は初めての夜会で騒ぎを起こしてしまって申し訳ありませんでした」
キャスティナは、恐る恐るエヴァンを窺う。エヴァンが、笑っていた。キャスティナは、予想外の笑顔にびっくりする。
「エヴァン様、何がそんなにおかしいんですか?」
「いや、キャスティナ思いっきり転んだなと思って。そう言えば、ケガはしてないの?」
「それは、大丈夫です。それより、ドレスが汚れてしまって……せっかくあんなにきれいなドレスを作ってもらったのに……。本当にごめんなさい」
キャスティナは、しゅんとして俯く。
「そんなに落ち込まないで。母上と義姉上の入れ知恵なんだろ?」
それを聞いたキャスティナは、驚く。エヴァン様が、気づくって事はあそこにいた他の方達も気付いたのかしら?あー、やっぱりやり過ぎたー私!
「あの……私……やり過ぎましたよね?」
キャスティナは、おずおずとエヴァンを見る。
「そうだねー。転ばなくても良かったんじゃないかとは思ったよ。軽くかかる程度で」
キャスティナは、顔色が青くなる。やっぱりやり過ぎたか……だが、これにはキャスティナなりの理由があった。一つは、エヴァンに言っておこうと決める。
「あの、お義母様とお義姉様にやられたら絶対に二度とやりたくないように仕向けなさい。一番始めが肝心です。と言われてて……どこまでなら大丈夫かの、尺度が難しかったです」
キャスティナは、正直に話した。エヴァンは、笑っている。
「あはは。なるほどね。じゃー、もう誰もキャスティナには手出しはして来ないと思うよ」
「あの、あの後はどうなったんですか?」
「まぁ、あの侯爵令嬢は殿下にちょっと怒られてたよ。詳しくは、明日話すよ。きっと今日の反省会をみんなでするはずだからさっ」
それを聞いて、キャスティナは安心した。その後どうなるかは、殿下に丸投げしたからだ。殿下が侯爵令嬢の話を聞いて、どう受けとるかでキャスティナと侯爵令嬢の立ち位置が決まるからだ。
実はキャスティナが、派手にワインを被った理由はもう1つあった。サディアス殿下に会いたくなかったのだ。キャスティナは、王族に良い印象を持っていない。キャスティナのデビュタントの時に、王族に初めて会った。王妃から令嬢一人一人に祝福を頂くのだが、その時の王族達の態度がすこぶるよくなかった。本当に興味のなさそうな顔でつまらなそうにしていたのだ。貴族の令嬢にとったら、一生に一度の大切な行事なのに。その態度に、キャスティナは心底がっかりした。自分の国の王や王子はいったいどんなに素敵なのかと楽しみにしていたから尚更だった。
だから、キャスティナは会わなくていいなら会いたくはなかった。赤ワインを頭から被れば、流石に会わなくていいと瞬時に考えてしまった。だから、あえて転んだ。そして、嫌がらせをした侯爵令嬢にどんな対応を取るのか確認したかったのもあり、故意に侯爵令嬢にエヴァンと共にサディアス殿下の所に行ってもらったのだ。
「兄上、義姉上、キャスティナに付き添ってもらってありがとうございました」
「いや、大丈夫だよ。それより、そっちはどうなった?」
「サディアス殿下が、侯爵令嬢に対して以後、顔を見せるなと言われてたよ」
エヴァンは、どうでもいいと顔に出しながら述べた。
「そうか……キャスティナは……いや、屋敷に戻ってからだな……」
「そうですね。兄上達は、もう戻って下さい。私達は、キャスティナが戻って来たら先に帰ります」
それを聞いた二人は、舞踏会場へと戻って行った。その後、暫くしてキャスティナが王宮の侍女と共に控室に戻って来た。もう帰るだけなので、髪は特に何もせず下ろしたままメイクも最低限に抑えてある。
「キャスティナ、大変だったね。すぐに帰ろう」
「はい」
キャスティナは、俯き落ち込んでいる。エヴァンは、キャスティナの手を取り歩き出そうとした。キャスティナは、侍女に向き合いお礼を言った。
「あの。お世話かけました、ありがとう。失礼するわね」
そう言った後、二人は王宮を足早に後にした。馬車の中でキャスティナは、落ち込んでいた。あんなに派手に転ぶとは思ってなかったので、自分でも驚いた。やろうとした事は、概ね成功したはずと思ってはいるのだが……やらかした事が大それた事で、本当にあれで良かったのか不安で不安で仕方なかった。とにかく、落ち着かなくてはと思った。そう言えばその後、どうなったのか聞いてないとキャスティナは思った。
「エヴァン様、今日は初めての夜会で騒ぎを起こしてしまって申し訳ありませんでした」
キャスティナは、恐る恐るエヴァンを窺う。エヴァンが、笑っていた。キャスティナは、予想外の笑顔にびっくりする。
「エヴァン様、何がそんなにおかしいんですか?」
「いや、キャスティナ思いっきり転んだなと思って。そう言えば、ケガはしてないの?」
「それは、大丈夫です。それより、ドレスが汚れてしまって……せっかくあんなにきれいなドレスを作ってもらったのに……。本当にごめんなさい」
キャスティナは、しゅんとして俯く。
「そんなに落ち込まないで。母上と義姉上の入れ知恵なんだろ?」
それを聞いたキャスティナは、驚く。エヴァン様が、気づくって事はあそこにいた他の方達も気付いたのかしら?あー、やっぱりやり過ぎたー私!
「あの……私……やり過ぎましたよね?」
キャスティナは、おずおずとエヴァンを見る。
「そうだねー。転ばなくても良かったんじゃないかとは思ったよ。軽くかかる程度で」
キャスティナは、顔色が青くなる。やっぱりやり過ぎたか……だが、これにはキャスティナなりの理由があった。一つは、エヴァンに言っておこうと決める。
「あの、お義母様とお義姉様にやられたら絶対に二度とやりたくないように仕向けなさい。一番始めが肝心です。と言われてて……どこまでなら大丈夫かの、尺度が難しかったです」
キャスティナは、正直に話した。エヴァンは、笑っている。
「あはは。なるほどね。じゃー、もう誰もキャスティナには手出しはして来ないと思うよ」
「あの、あの後はどうなったんですか?」
「まぁ、あの侯爵令嬢は殿下にちょっと怒られてたよ。詳しくは、明日話すよ。きっと今日の反省会をみんなでするはずだからさっ」
それを聞いて、キャスティナは安心した。その後どうなるかは、殿下に丸投げしたからだ。殿下が侯爵令嬢の話を聞いて、どう受けとるかでキャスティナと侯爵令嬢の立ち位置が決まるからだ。
実はキャスティナが、派手にワインを被った理由はもう1つあった。サディアス殿下に会いたくなかったのだ。キャスティナは、王族に良い印象を持っていない。キャスティナのデビュタントの時に、王族に初めて会った。王妃から令嬢一人一人に祝福を頂くのだが、その時の王族達の態度がすこぶるよくなかった。本当に興味のなさそうな顔でつまらなそうにしていたのだ。貴族の令嬢にとったら、一生に一度の大切な行事なのに。その態度に、キャスティナは心底がっかりした。自分の国の王や王子はいったいどんなに素敵なのかと楽しみにしていたから尚更だった。
だから、キャスティナは会わなくていいなら会いたくはなかった。赤ワインを頭から被れば、流石に会わなくていいと瞬時に考えてしまった。だから、あえて転んだ。そして、嫌がらせをした侯爵令嬢にどんな対応を取るのか確認したかったのもあり、故意に侯爵令嬢にエヴァンと共にサディアス殿下の所に行ってもらったのだ。
111
あなたにおすすめの小説
幸せな政略結婚のススメ【本編完結】
ましろ
恋愛
「爵位と外見に群がってくる女になぞ興味は無い」
「え?だって初対面です。爵位と外見以外に貴方様を判断できるものなどございませんよ?」
家柄と顔が良過ぎて群がる女性に辟易していたユリシーズはとうとう父には勝てず、政略結婚させられることになった。
お相手は6歳年下のご令嬢。初対面でいっそのこと嫌われようと牽制したが?
スペック高めの拗らせ男とマイペースな令嬢の政略結婚までの道程はいかに?
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
・11/21ヒーローのタグを変更しました。
雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
王宮侍女は穴に落ちる
斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された
アニエスは王宮で運良く職を得る。
呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き
の侍女として。
忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。
ところが、ある日ちょっとした諍いから
突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。
ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな
俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され
るお話です。
君といるのは疲れると言われたので、婚約者を追いかけるのはやめてみました
水谷繭
恋愛
メイベル・ホワイトは目立たない平凡な少女で、美人な姉といつも比べられてきた。
求婚者の殺到する姉とは反対に、全く縁談のなかったメイベル。
そんなある日、ブラッドという美少年が婚約を持ちかけてくる。姉より自分を選んでくれたブラッドに感謝したメイベルは、彼のために何でもしようとひたすら努力する。
しかしそんな態度を重いと告げられ、君といると疲れると言われてしまう。
ショックを受けたメイベルは、ブラッドばかりの生活を改め、好きだった魔法に打ち込むために魔術院に入ることを決意するが……
◆なろうにも掲載しています
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
【完結】灰かぶりの花嫁は、塔の中
白雨 音
恋愛
父親の再婚により、家族から小間使いとして扱われてきた、伯爵令嬢のコレット。
思いがけず結婚が決まるが、義姉クリスティナと偽る様に言われる。
愛を求めるコレットは、結婚に望みを託し、クリスティナとして夫となるアラード卿の館へ
向かうのだが、その先で、この結婚が偽りと知らされる。
アラード卿は、彼女を妻とは見ておらず、曰く付きの塔に閉じ込め、放置した。
そんな彼女を、唯一気遣ってくれたのは、自分よりも年上の義理の息子ランメルトだった___
異世界恋愛 《完結しました》
妃殿下、私の婚約者から手を引いてくれませんか?
ハートリオ
恋愛
茶髪茶目のポッチャリ令嬢ロサ。
イケメン達を翻弄するも無自覚。
ロサには人に言えない、言いたくない秘密があってイケメンどころではないのだ。
そんなロサ、長年の婚約者が婚約を解消しようとしているらしいと聞かされ…
剣、馬車、ドレスのヨーロッパ風異世界です。
御脱字、申し訳ございません。
1話が長めだと思われるかもしれませんが会話が多いので読みやすいのではないかと思います。
楽しんでいただけたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる