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第三章 誰にでも秘密はある
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「私って幸せ者ですね。私、こんな素敵なお家にお嫁に行くなんて考えてもいませんでした」
キャスティナは、シンシアに語り出す。自分の実の両親について。
実の母親が生きていた時代は、それこそ絵に描いたような幸せな生活だった。父親との思い出はそれほどなかったけど、どこに行くのも3人で穏やかな毎日だったように思う。母親は、いつもニコニコしていた。キャスティナは、ある日訊いてみた事があった。「お母様は、どうしていつもそんなにニコニコしているの?」っと。
母親はキャスティナに教えてくれた。お母様はね、幸せになるのが得意なのよ。と。小さな幸せってどこにでも落ちてるの。綺麗な花が咲いている。空が澄みわたっていて綺麗。そんなちょっとした事だけど、見つけると笑顔になるでしょ。そうすると、ああ私って幸せだなって思うのよ、って。
だから、キャスティナは私の娘だし何があっても幸せになれるわ。小さな幸せを沢山見つけられる子になってね。話しながらキャスティナは、そう言っていた母親を思い出した。
母親が亡くなって、新しい母親が出来てからは屋敷の雰囲気が変わってしまった。常に穏やかな空気だったはずが、何も感じられなくなりやがて刺々した空気へと変貌していった。
新しい母親は、最初の頃こそキャスティナに愛想を振り撒いていた。しかし夫婦の仲が上手くいかず、段々とキャスティナに対する当たりが強くなっていった。長男が産まれてからは、キャスティナへの態度が悪化した。
今、考えると跡継ぎである息子を産めば少しは夫が、自分を見てくれるのではという希望を抱いていたのかもしれない。でも結局、父親は何も変わらなかった。
キャスティナから見た父親は、幸せになる努力を全くしないという印象だ。後妻を娶ったのは自分のくせに、何でもっと大切にしてあげないのだろう?いつもそんな風に思っていた。父親だって帰って来る家が、温かい方がいいと思わないのか。父親には、安らげる場所があるのか疑問だった。
町に働きに出るまでの数年が、キャスティナにとって一番辛いものだった。義母と顔を合わせると、みすぼらしい、可愛くない、恥ずかしい、私に姿を見せるなと言われていた。キャスティナが持っていた物も、似合わないから必要ないと取り上げられた。最終的に平民の格好で前髪で目を隠す様になる頃に、満足したのか何も言わなくなった。自分よりも不幸な子を見て、笑っていたのかも知れない。
町に出始めてからは、自分がいかに狭い世界で生きてきたのかを思い知った。家の中に自分の居場所が無くても、外の世界でいくらだって見つけられると思った。父親に義母に大切にされなくても、キャスティナを大切だと心配してくれる人に出会って久しぶりに心から笑える自分になれた。そしたら、父親も義母もどうでもよくなってしまった。
キャスティナは、いつかきっとあの家を出される。どんな所にお嫁に行くのかわからないけど、幸せになる努力はしようと思った。あの義母が、良い相手を見つけてくれるとは思わなかったから覚悟はしていたと。
そしたら、こんな素敵なお家の婚約者になれたんです。人生ってわからないですね。とキャスティナは、シンシアに笑いかけた。
「キャスティナ、貴方のお母様って素敵な方ね。私、お友達になりたかったわ。貴方が逞しいのは、お母様譲りなのね」
ふふふっと、シンシアが笑う。お茶を一口飲んで、カップを置く。
「そして、貴方のお父様と義理の母親。悪いけど、バカね。父親は、女性を幸せに出来ない典型的なダメ男。義理の母親は、悪い意味での典型的な貴族の娘。後妻に入って、継子を虐めるって一番やってはいけない事よ。そんな女を誰が好きになるのかしら?私が男だったら、絶対に好きにならないわね」
シンシアは、きっぱりとキャスティナの両親をぶったぎる。
「ふふふふ。お義母様、可笑しい。私も同意見です。私も常々思ってました。外見ばかり磨かないで内面を磨いたら?って」
キャスティナは、シンシアが余りにはっきり物を言うので可笑しくてしょうがない。
「キャスティナは、実家に帰りたいと思う事がある?」
キャスティナは、考える。
「ありません。父親にも義母にも会いたいと思わないですし·····。この先も、もし子供が産まれたとしても二人が可愛がってくれると思えないですから。ただ、もし出来る事なら、お母様の遺品を何か一つでいいから貰いたかったですけど·····」
「そう·····」
何か考えがあるように、シンシアが返事をする。
キャスティナは、シンシアに両親の事を話せてスッキリした。自分の事を知って貰えて嬉しかった。
「お義母様、長い話を聞いてくれてありがとうございました。聞いて頂いてスッキリしました」
「いいのよ。私も貴方の話が聞けて良かったわ」
キャスティナは、シンシアに語り出す。自分の実の両親について。
実の母親が生きていた時代は、それこそ絵に描いたような幸せな生活だった。父親との思い出はそれほどなかったけど、どこに行くのも3人で穏やかな毎日だったように思う。母親は、いつもニコニコしていた。キャスティナは、ある日訊いてみた事があった。「お母様は、どうしていつもそんなにニコニコしているの?」っと。
母親はキャスティナに教えてくれた。お母様はね、幸せになるのが得意なのよ。と。小さな幸せってどこにでも落ちてるの。綺麗な花が咲いている。空が澄みわたっていて綺麗。そんなちょっとした事だけど、見つけると笑顔になるでしょ。そうすると、ああ私って幸せだなって思うのよ、って。
だから、キャスティナは私の娘だし何があっても幸せになれるわ。小さな幸せを沢山見つけられる子になってね。話しながらキャスティナは、そう言っていた母親を思い出した。
母親が亡くなって、新しい母親が出来てからは屋敷の雰囲気が変わってしまった。常に穏やかな空気だったはずが、何も感じられなくなりやがて刺々した空気へと変貌していった。
新しい母親は、最初の頃こそキャスティナに愛想を振り撒いていた。しかし夫婦の仲が上手くいかず、段々とキャスティナに対する当たりが強くなっていった。長男が産まれてからは、キャスティナへの態度が悪化した。
今、考えると跡継ぎである息子を産めば少しは夫が、自分を見てくれるのではという希望を抱いていたのかもしれない。でも結局、父親は何も変わらなかった。
キャスティナから見た父親は、幸せになる努力を全くしないという印象だ。後妻を娶ったのは自分のくせに、何でもっと大切にしてあげないのだろう?いつもそんな風に思っていた。父親だって帰って来る家が、温かい方がいいと思わないのか。父親には、安らげる場所があるのか疑問だった。
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町に出始めてからは、自分がいかに狭い世界で生きてきたのかを思い知った。家の中に自分の居場所が無くても、外の世界でいくらだって見つけられると思った。父親に義母に大切にされなくても、キャスティナを大切だと心配してくれる人に出会って久しぶりに心から笑える自分になれた。そしたら、父親も義母もどうでもよくなってしまった。
キャスティナは、いつかきっとあの家を出される。どんな所にお嫁に行くのかわからないけど、幸せになる努力はしようと思った。あの義母が、良い相手を見つけてくれるとは思わなかったから覚悟はしていたと。
そしたら、こんな素敵なお家の婚約者になれたんです。人生ってわからないですね。とキャスティナは、シンシアに笑いかけた。
「キャスティナ、貴方のお母様って素敵な方ね。私、お友達になりたかったわ。貴方が逞しいのは、お母様譲りなのね」
ふふふっと、シンシアが笑う。お茶を一口飲んで、カップを置く。
「そして、貴方のお父様と義理の母親。悪いけど、バカね。父親は、女性を幸せに出来ない典型的なダメ男。義理の母親は、悪い意味での典型的な貴族の娘。後妻に入って、継子を虐めるって一番やってはいけない事よ。そんな女を誰が好きになるのかしら?私が男だったら、絶対に好きにならないわね」
シンシアは、きっぱりとキャスティナの両親をぶったぎる。
「ふふふふ。お義母様、可笑しい。私も同意見です。私も常々思ってました。外見ばかり磨かないで内面を磨いたら?って」
キャスティナは、シンシアが余りにはっきり物を言うので可笑しくてしょうがない。
「キャスティナは、実家に帰りたいと思う事がある?」
キャスティナは、考える。
「ありません。父親にも義母にも会いたいと思わないですし·····。この先も、もし子供が産まれたとしても二人が可愛がってくれると思えないですから。ただ、もし出来る事なら、お母様の遺品を何か一つでいいから貰いたかったですけど·····」
「そう·····」
何か考えがあるように、シンシアが返事をする。
キャスティナは、シンシアに両親の事を話せてスッキリした。自分の事を知って貰えて嬉しかった。
「お義母様、長い話を聞いてくれてありがとうございました。聞いて頂いてスッキリしました」
「いいのよ。私も貴方の話が聞けて良かったわ」
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