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第四章 幸せにつながる道
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キャスティナが、シェラード公爵邸に来て1ヶ月が過ぎた。とても穏やかな毎日を送っている。ダグラスとシャルリーヌは、最初からキャスティナを本当の娘の様に接してくれた。今では屋敷の者達みんなから愛され、昔からお嬢様がいたかのように自然と馴染んでいる。
キャスティナは、ダグラスとシャルリーヌを、お父様、お母様と初めて呼んだ時のドキドキを今でも思い出す。ダグラスは、うちの娘は可愛すぎると言ってギュッと抱き締めてくれた。キャスティナは、恥ずかしかったけど、暖かくてとても嬉しかった。シャルリーヌは、そんなダグラスを見ながら、娘に嫌われても知りませんよっと優しい笑みを浮かべてくれた。
アルヴィンは、いつもキャスティナを気遣ってくれた。何か困ってる事はないか、会うたびに尋ねてくれる。そんなに毎日聞かれても何もないですよ。と返答すると、そばに控えていた執事のバートが、お兄様に甘えて欲しいだけですよっと笑っていた。
もう一人の兄、クリフォードにはシェラード公爵家の養子になった報告と、会えるのを楽しみにしていますと言う内容の手紙を送った。そしたら大量のプレゼントと共に、私も可愛い妹に早く会いたい。会った時に、お兄様と呼ばれるのが楽しみだと言う手紙を頂いた。アルヴィンお兄様と二人で見て、笑ってしまった。
そんな毎日が、幸せで満ち足りていた。
シェラード公爵邸でも、キャスティナを当たり前の様に愛して受け入れてくれた。この奇跡が、当たり前ではない事をキャスティナは知っている。だからキャスティナは、いつもいつも感謝の祈りを捧げていた。
************
キャスティナは、みんなに何かお礼をしたいと思うようになった。でも、何かを買うにしても自分で稼いだお金ではないし、気が進まない。リズリサに何かいい案がないか相談すると、ハンカチに刺繍をしてプレゼントするのはいかがですか?とアイデアをくれた。
刺繍は、余り得意ではないけれど頑張ってみようと心に決める。そうと決まれば、ハンカチと刺繍糸、それにリボンを買いに行きたいな。
「リズリサ。私、買い物に行きたいから用意してもらえる?あと、お父様に買い物の許可を貰った方がいいわよね?」
キャスティナは、目をキラキラさせながらリズとリサに訊ねる。
「そうですね。こちらに来てから一度もお一人で外出した事ないですし、一応ダグラス様に許可を頂いた方がいいと思います」
リズが、考えながら返答する。
「じゃあ、早速お父様に聞いてくるわね。準備の方はお願いね」
「「はい。かしこまりました」」
二人が返事をすると、キャスティナは嬉しそうに扉を開けて部屋を出て行った。
キャスティナは、執務室の前に来ると深呼吸をして扉をノックした。
「今、忙しい!」
中から聞こえた声にキャスティナは、びっくりして咄嗟に謝る。
「申し訳ありませんでした」
踵を返して立ち去ろうとすると、ガチャンと扉が開く音がしてダグラスが血相を変えて出てきた。
「キャスティナ。どうした?何かあったか?」
「あの……突然来たりしてごめんなさい」
キャスティナは、ちゃんと執事を通すべきだったと反省する。私、みんなが優しいからって最近調子に乗ってるわ……。
ダグラスがキャスティナの手を取って、執務室の中に入れてくれる。
「ちょっと人払いしてたからな。怖い声出して悪かった。キャスティナは、お父様が嫌いになったか?」
俯いていたキャスティナは、パッと顔を上げてダグラスと目を合わせる。
「嫌いになんてなりません!私……執事を通さなきゃいけないのに……お父様のご迷惑を考えずにごめんなさい」
涙が滲む目を、ダグラスが優しく拭ってくれた。
「はは。何だそんな事。こうやって、都合も気にせずに会いに来てくれる娘に、しょうがないなって話を聞くのが父親ってもんだ。実は憧れてたんだ」
そう言って、お茶目にダグラスはキャスティナにウインクをする。
キャスティナは、ダグラスの優しさに胸が一杯になる。
「お父様、大好きです」
キャスティナは、ダグラスにガバッと抱きつく。
「あー、本当に娘って可愛い。あの二人には可愛さの欠片もなかったからな……」
ダグラスは、キャスティナの頭を撫でてくれた。キャスティナは、ダグラスから離れると買い物の事を切り出す。ダグラスは、心配だから自分も行こうかと提案してくれたが、流石にそれは断った。その代わり護衛は付けて行くように言われ、ありがたくお願いする事にした。
お礼を言って部屋を出る。キャスティナは、今まで向けられる事がなかった父親の優しさを噛み締める。コーンフォレスト家でも、お義父様は優しかったけどやっぱり義理の娘と実の娘の距離感は違う。
ダグラスの実の娘に向ける愛情は、これまでキャスティナが欲しくて欲しくて堪らなかったもの。失くしたくないとキャスティナは、思う。ここでの生活を、大切に大切にしようと、キャスティナは改めて心に決めた。
キャスティナは、ダグラスとシャルリーヌを、お父様、お母様と初めて呼んだ時のドキドキを今でも思い出す。ダグラスは、うちの娘は可愛すぎると言ってギュッと抱き締めてくれた。キャスティナは、恥ずかしかったけど、暖かくてとても嬉しかった。シャルリーヌは、そんなダグラスを見ながら、娘に嫌われても知りませんよっと優しい笑みを浮かべてくれた。
アルヴィンは、いつもキャスティナを気遣ってくれた。何か困ってる事はないか、会うたびに尋ねてくれる。そんなに毎日聞かれても何もないですよ。と返答すると、そばに控えていた執事のバートが、お兄様に甘えて欲しいだけですよっと笑っていた。
もう一人の兄、クリフォードにはシェラード公爵家の養子になった報告と、会えるのを楽しみにしていますと言う内容の手紙を送った。そしたら大量のプレゼントと共に、私も可愛い妹に早く会いたい。会った時に、お兄様と呼ばれるのが楽しみだと言う手紙を頂いた。アルヴィンお兄様と二人で見て、笑ってしまった。
そんな毎日が、幸せで満ち足りていた。
シェラード公爵邸でも、キャスティナを当たり前の様に愛して受け入れてくれた。この奇跡が、当たり前ではない事をキャスティナは知っている。だからキャスティナは、いつもいつも感謝の祈りを捧げていた。
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キャスティナは、みんなに何かお礼をしたいと思うようになった。でも、何かを買うにしても自分で稼いだお金ではないし、気が進まない。リズリサに何かいい案がないか相談すると、ハンカチに刺繍をしてプレゼントするのはいかがですか?とアイデアをくれた。
刺繍は、余り得意ではないけれど頑張ってみようと心に決める。そうと決まれば、ハンカチと刺繍糸、それにリボンを買いに行きたいな。
「リズリサ。私、買い物に行きたいから用意してもらえる?あと、お父様に買い物の許可を貰った方がいいわよね?」
キャスティナは、目をキラキラさせながらリズとリサに訊ねる。
「そうですね。こちらに来てから一度もお一人で外出した事ないですし、一応ダグラス様に許可を頂いた方がいいと思います」
リズが、考えながら返答する。
「じゃあ、早速お父様に聞いてくるわね。準備の方はお願いね」
「「はい。かしこまりました」」
二人が返事をすると、キャスティナは嬉しそうに扉を開けて部屋を出て行った。
キャスティナは、執務室の前に来ると深呼吸をして扉をノックした。
「今、忙しい!」
中から聞こえた声にキャスティナは、びっくりして咄嗟に謝る。
「申し訳ありませんでした」
踵を返して立ち去ろうとすると、ガチャンと扉が開く音がしてダグラスが血相を変えて出てきた。
「キャスティナ。どうした?何かあったか?」
「あの……突然来たりしてごめんなさい」
キャスティナは、ちゃんと執事を通すべきだったと反省する。私、みんなが優しいからって最近調子に乗ってるわ……。
ダグラスがキャスティナの手を取って、執務室の中に入れてくれる。
「ちょっと人払いしてたからな。怖い声出して悪かった。キャスティナは、お父様が嫌いになったか?」
俯いていたキャスティナは、パッと顔を上げてダグラスと目を合わせる。
「嫌いになんてなりません!私……執事を通さなきゃいけないのに……お父様のご迷惑を考えずにごめんなさい」
涙が滲む目を、ダグラスが優しく拭ってくれた。
「はは。何だそんな事。こうやって、都合も気にせずに会いに来てくれる娘に、しょうがないなって話を聞くのが父親ってもんだ。実は憧れてたんだ」
そう言って、お茶目にダグラスはキャスティナにウインクをする。
キャスティナは、ダグラスの優しさに胸が一杯になる。
「お父様、大好きです」
キャスティナは、ダグラスにガバッと抱きつく。
「あー、本当に娘って可愛い。あの二人には可愛さの欠片もなかったからな……」
ダグラスは、キャスティナの頭を撫でてくれた。キャスティナは、ダグラスから離れると買い物の事を切り出す。ダグラスは、心配だから自分も行こうかと提案してくれたが、流石にそれは断った。その代わり護衛は付けて行くように言われ、ありがたくお願いする事にした。
お礼を言って部屋を出る。キャスティナは、今まで向けられる事がなかった父親の優しさを噛み締める。コーンフォレスト家でも、お義父様は優しかったけどやっぱり義理の娘と実の娘の距離感は違う。
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