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第35話

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 ……ああ、なるほど。人間は死に瀕したとき、過去の記憶を走馬灯のように見るっていうけど、こういうことなんだな。

 つまり、俺はこれから死ぬのか。

 どうやって?

 決まってる。

 アンデッドたちに食い殺されるのだ。

 それは嫌だな。

 体力と魔力を使い果たしたルイーズ。
 彼女も、アンデッドの餌食になるんだろうな。

 それも嫌だな。

 なんとかならないかな。

 そうだ。

 俺、さっきちょっと面白いこと考えたな。

 まったく同じタイミングで飛んで来る7体の敵を、全員一度に斬り捨てる方法。

 俺、確かこう思ったんだ。

 何か特別な武器でも使わない限り、そんなことは絶対に不可能だって。

 ってことはさ。

 何か特別な武器があれば、なんとかなるってことだよな。

 特別な武器なら、持ってるじゃん。

 俺だけの『ゾンビが切れる剣』

 よく考えたら、これってそもそもはただの光なんだから、俺の意思で自由に形を変えることができるんじゃないのか? 発現させたり消したりと、出し入れは自由なんだから、形を変えることだって不可能じゃないはずだ。

 試したことはないけど、やってみる価値はある気がする。
 どうせ、このままじゃ死ぬだけなんだから。

 では、何に形を変えるべきだろう?

 刀身3メートルはある超大剣に変えて、一気にすべてを薙ぎ払うか?

 ……いや、たぶんそれは無理だな。なんとなくだけど、使える光の量は決まっていて、今の剣より大きくすることは無理な気がする。それが、理屈じゃなくて、感覚でわかる。とんでもなく大きなバーベルを見て、触らなくても持ち上げられないことが分かるように。

 じゃあ、剣を引き延ばして、細身の長剣に変えたらどうだろうか。

 ……悪くない発想だとは思うが、よく考えたら、それでも一斉に飛んで来る7体の敵を同時に倒すことは不可能だ。さっき自分で言ってたじゃないか、たとえ剣の達人でも、そんなことはできないって。

 おお、凄いな。
 こんなに考えこんでるのに、まだアンデッドたちは飛びかかってくる途中だ。
 死に際のスローモーション体験。生き残ることができたら、誰かに話そう。

 そうだ。
 いったん『剣』から発想を離してみよう。

 この光を、何か別の武器に変えるんだ。

 斧? 槍? 弓?

 どれもピンとこないな。

 いや、でも、最後の『弓』

 これはいい線行ってる気がする。

 そうか。

 飛び道具だ。

 飛び道具なら、少ない光の量で、広範囲に攻撃できるんじゃないか?

 イメージは、弾丸が飛び散るショットガンだ。

 あ、ちょっと待てよ。
 いくらショットガンでも、7体同時に散弾でやっつけることなんてできないか。
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