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第40話

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 少々興奮気味の俺とは正反対に、ルイーズは呆れたように言う。

「よくもまあ、ここまで集めたものね。私、盗賊がねぐらにしていたダンジョンを色々探索してきたけど、こんなにため込んでるのは初めて見たわ。……この大量の盗品たちを、ブラックマーケットで売りさばくつもりだったんでしょうね、まったく、浅ましいったらありゃしないわ」

「まあまあ、そんなにイライラしないで。さっきは『何もかも推測の話じゃないか』って言ったけどさ。これだけお宝があるのを見たら、本当にエルフィン・カルドライトがこの中にあるような気がしてきたよ。手分けして探そう」

「そうね。エルフィン・カルドライトは、成人男性の握りこぶしほどの大きさがある緑色の宝石だから、見つけたらすぐにわかるわ。私は左側を探すから、あんたは右側をお願い」

「よしきた」

 そんなわけで、宝物の山をかき分けるようにしながらエルフィン・カルドライトを探していく。とにかく量が多いので、すべてを見るのに30分以上かかったが、残念なことに、俺の受け持った右側には、エルフィン・カルドライトらしき宝石はなかった。

 俺は額の汗を拭い、振り返りながらルイーズに言う。

「駄目だ、こっちにはなかったよ。そっちはどうだ?」

 ルイーズはまだ検分の途中だったが、ちらりとこちらを向いて、ため息を漏らした。それから、苦笑混じりに言葉を紡いでいく。

「見つからないわ。はぁ……この宝の山を見た時は、ちょっとだけ期待したんだけど。まったく、へとへとになって大量のアンデッドを倒した結果がこれとはね。なんだかドッと疲れが増した気がするわ」

「全部調べ終わったのか?」

「後は、あの大きな彫像の裏を調べるだけよ」

 そう言ってルイーズは、2メートルはありそうな金属製の彫像を指さした。天使のような翼が生えた男性の像であり、その翼の部分が、ちょうど背後を覆い隠すようになっている。

「でかい像だな。かなり重そうだし、二人で協力してずらそう」

「ええ。3・2・1で同時に押すわよ」

「了解。3・2・1……それっ」

 鈍重な音を立てて、彫像は左に50cmほどずれた。
 これで、後ろが確認できる。

 ……苦労も虚しく、像の陰だった部分には、何もなかった。

 今度は、俺がため息混じりに言う。

「はぁ……思わせぶりな像だから、何か隠されてるんじゃないかと思ったけど、まぁ、こんなもんだよな。だいたい、大人のこぶしほどもあるサイズの立派な宝石を、でかい像の陰に置いておくわけないか。何かの間違いで像が倒れて、表面に傷がついたら大惨事だし」
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