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第50話
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「何千何万のアンデッドが生者を滅ぼす未来を、どうやったら回避できるって言うの? もう、何をしても無駄よ。じたばたしても、疲れるだけ。そんなことをするより、私は残った時間を、あんたとゆっくり過ごしたいわ」
ルイーズはそう言って、そっと俺の手を握った。その手の温もりから、ほのかな思慕の情が伝わって来て嬉しい限りだが、やはり俺は、納得がいかなかった。
「俺と一緒にいたいって思ってくれる気持ちは嬉しいけど、やっぱりまだ、諦めるのは早いと思うんだよな。なあ、二度手間になっちゃうけど、もう一度だけあの隠し部屋に行ってみないか? 昨日は疲れてたからすぐに帰っちゃったけど、隅々まで調べれば新しい何かが見つかるかもしれないだろ?」
「あんたがそれで納得するなら、別に断る理由はないわ。もうアンデッドが出てくることもないでしょうから、昨日よりはずっと簡単に最深部まで潜れるでしょうしね」
そんなわけで俺たちは、再びダンジョンに潜った。
ルイーズの言った通り、昨日は死ぬか生きるかの瀬戸際を味わった地下三階に降りても、もうアンデッドは出てこないので、苦労らしい苦労もなく地下四階に到達する。
そして、例の隠し部屋に俺とルイーズは足を踏み入れた。
昨日と比べても、部屋の様子に特別な変化はないが、天井に表示される光の文字だけは、昨日の『世界の終わりまで、あと124日』から一日減り、ちゃんと『世界の終わりまで、あと123日』になっていた。
俺は、呆れと感心が混ざったような声を出す。
「見ろよ。ご丁寧に日数カウントが減ってるぞ。このダンジョンの作成者、わざわざこんな手の込んだ仕掛けを用意してるくらいなんだから、やっぱり何か、他にも重要なメッセージを隠してる気がするんだよな」
「ただの暇人で、凝り性なだけかもしれないわよ」
「そうでないことを祈るよ。さあ、手分けして調べよう」
ぼんやりと発光している神秘的な壁を、俺たちはくまなく調べていく。小さな部屋だが、見落としなく調査するとなるとなかなか大変だ。壁を擦ったり、コンコンと叩いたり、30分ほど無言でそんなことを続けていると、ルイーズが何かを発見したらしく、やや大きな声を上げる。
「サトシ、こっちに来て」
「何? なんかあった?」
「この壁、スライド式のパズルみたいになってるわ」
言われてよく見るが、ルイーズの指さした壁は、周りの壁と全く同じにしか見えない。俺は首をひねり、思った通りのことを言う。
「俺には、周りと同じに見えるけど……」
ルイーズはそう言って、そっと俺の手を握った。その手の温もりから、ほのかな思慕の情が伝わって来て嬉しい限りだが、やはり俺は、納得がいかなかった。
「俺と一緒にいたいって思ってくれる気持ちは嬉しいけど、やっぱりまだ、諦めるのは早いと思うんだよな。なあ、二度手間になっちゃうけど、もう一度だけあの隠し部屋に行ってみないか? 昨日は疲れてたからすぐに帰っちゃったけど、隅々まで調べれば新しい何かが見つかるかもしれないだろ?」
「あんたがそれで納得するなら、別に断る理由はないわ。もうアンデッドが出てくることもないでしょうから、昨日よりはずっと簡単に最深部まで潜れるでしょうしね」
そんなわけで俺たちは、再びダンジョンに潜った。
ルイーズの言った通り、昨日は死ぬか生きるかの瀬戸際を味わった地下三階に降りても、もうアンデッドは出てこないので、苦労らしい苦労もなく地下四階に到達する。
そして、例の隠し部屋に俺とルイーズは足を踏み入れた。
昨日と比べても、部屋の様子に特別な変化はないが、天井に表示される光の文字だけは、昨日の『世界の終わりまで、あと124日』から一日減り、ちゃんと『世界の終わりまで、あと123日』になっていた。
俺は、呆れと感心が混ざったような声を出す。
「見ろよ。ご丁寧に日数カウントが減ってるぞ。このダンジョンの作成者、わざわざこんな手の込んだ仕掛けを用意してるくらいなんだから、やっぱり何か、他にも重要なメッセージを隠してる気がするんだよな」
「ただの暇人で、凝り性なだけかもしれないわよ」
「そうでないことを祈るよ。さあ、手分けして調べよう」
ぼんやりと発光している神秘的な壁を、俺たちはくまなく調べていく。小さな部屋だが、見落としなく調査するとなるとなかなか大変だ。壁を擦ったり、コンコンと叩いたり、30分ほど無言でそんなことを続けていると、ルイーズが何かを発見したらしく、やや大きな声を上げる。
「サトシ、こっちに来て」
「何? なんかあった?」
「この壁、スライド式のパズルみたいになってるわ」
言われてよく見るが、ルイーズの指さした壁は、周りの壁と全く同じにしか見えない。俺は首をひねり、思った通りのことを言う。
「俺には、周りと同じに見えるけど……」
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