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第69話
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衛兵たちも、それなりの実力者ではあったのだろうが、安全なはずの王宮に、いきなり不死身の怪物が現れて動揺し、あっという間にやられてしまったに違いない。もう、生きて抵抗している衛兵は、一人もいなかった。
「あぁ……あぁぁ……」
俺の腕の中で、シエラが恐怖の声を上げ、震えていた。しまった。こんな凄惨な光景を見せるべきじゃなかった。俺は慌てて彼女を抱き寄せ、正面が見えないようにした。……さすがと言うべきか、風の勇者であるカザミは、顔を顰めつつも、目を逸らすことなく眼前の異様な光景を受け止めていた。
「なるほど……これは確かに、地獄みたいな状況だね。しかも、彼らの食欲は半端じゃないみたいだ。廊下にいた人たちをそろそろ平らげて、何体かが僕たちに目を付け始めたよ」
「わかってる。でも、実際に襲ってくるまでは、こちらからあまり刺激しない方がいい。あいつら、いきなり行動が変わるからな。向かってきた奴だけ倒そう」
そして俺は、左手でシエラを抱いたまま、右手で『ゾンビが切れる剣』を出した。光の剣を見て、カザミが好奇心溢れる声で言う。
「それがサトシ君のスキルか。かっこいいね。僕もそういうのやってみたいけど、炎や水ならともかく、風じゃ剣は作れないからなあ」
その時だった。
一番近くにいたアンデッドが、呻き一つ立てず飛びかかってきた。
速い。
信じられない瞬発力。
こいつら、以前戦ったアンデッドとはまるで身のこなしが違う。
やばい。
一瞬反応が遅れた。
慌てて突きで迎撃するが、間に合うかどうか、微妙なタイミング。
しかしアンデッドは、突きが当たる前に、俺の目の前で八つ裂きになった。カザミが、風の勇者のスキルを使い、何重もの真空波を放ったのだ。
すっげ……
なんてえげつない威力。
さっき、『僕は平和主義者だから、攻撃性の塊のアキラ君と戦っても勝てる気がしない』って言ってたけど、このスキルで勝てないとしたら、アキラはどんだけ強いんだよ……
そんなことを思っていると、バラバラになったアンデッドがすぐに復元を開始し、たったの5秒で元に戻ってしまう。……カザミも凄いが、こいつの再生能力も凄いな。俺の知るアンデッドたちとは、何もかもが違う。まさに、戦闘用って感じだ。
とてもじゃないが、まともにやり合いたくはない。……と言うわけで、俺はアンデッドが再び動き出す前に、『ゾンビが切れる剣』で薙ぎ払った。それでアンデッドは、完全に分解され、大気に溶けるように消え去った。
「あぁ……あぁぁ……」
俺の腕の中で、シエラが恐怖の声を上げ、震えていた。しまった。こんな凄惨な光景を見せるべきじゃなかった。俺は慌てて彼女を抱き寄せ、正面が見えないようにした。……さすがと言うべきか、風の勇者であるカザミは、顔を顰めつつも、目を逸らすことなく眼前の異様な光景を受け止めていた。
「なるほど……これは確かに、地獄みたいな状況だね。しかも、彼らの食欲は半端じゃないみたいだ。廊下にいた人たちをそろそろ平らげて、何体かが僕たちに目を付け始めたよ」
「わかってる。でも、実際に襲ってくるまでは、こちらからあまり刺激しない方がいい。あいつら、いきなり行動が変わるからな。向かってきた奴だけ倒そう」
そして俺は、左手でシエラを抱いたまま、右手で『ゾンビが切れる剣』を出した。光の剣を見て、カザミが好奇心溢れる声で言う。
「それがサトシ君のスキルか。かっこいいね。僕もそういうのやってみたいけど、炎や水ならともかく、風じゃ剣は作れないからなあ」
その時だった。
一番近くにいたアンデッドが、呻き一つ立てず飛びかかってきた。
速い。
信じられない瞬発力。
こいつら、以前戦ったアンデッドとはまるで身のこなしが違う。
やばい。
一瞬反応が遅れた。
慌てて突きで迎撃するが、間に合うかどうか、微妙なタイミング。
しかしアンデッドは、突きが当たる前に、俺の目の前で八つ裂きになった。カザミが、風の勇者のスキルを使い、何重もの真空波を放ったのだ。
すっげ……
なんてえげつない威力。
さっき、『僕は平和主義者だから、攻撃性の塊のアキラ君と戦っても勝てる気がしない』って言ってたけど、このスキルで勝てないとしたら、アキラはどんだけ強いんだよ……
そんなことを思っていると、バラバラになったアンデッドがすぐに復元を開始し、たったの5秒で元に戻ってしまう。……カザミも凄いが、こいつの再生能力も凄いな。俺の知るアンデッドたちとは、何もかもが違う。まさに、戦闘用って感じだ。
とてもじゃないが、まともにやり合いたくはない。……と言うわけで、俺はアンデッドが再び動き出す前に、『ゾンビが切れる剣』で薙ぎ払った。それでアンデッドは、完全に分解され、大気に溶けるように消え去った。
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