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第5話
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いきなり『自分の身を捧げものにしたい』などと言い出した私に受付の人が憤慨し、罰を与えられるならそれはそれでいいと思っていました。本当に、もう何もかも、どうでも良かったのです。
しかし受付の人は、怒ることも、驚くこともしませんでした。
ただ短く「そうですか、ではこちらへ」と言い、私を連れてお屋敷に入ります。
驚きました。
こんなにもスムーズに話が運ぶなんて。
お母さんは『他の領地じゃ、若い娘を領主に差し出すってこと、結構あるんだよ』と言っていましたが、この領地でも、私が知らないだけで、こういったことは良くあることなのでしょうか。
そんなことを考えながら、お屋敷の長い廊下を、私は歩いて行きます。
私を先導していた受付の人が、ちらりとこちらを見て、口を開きました。
「わたくしは当屋敷の執事、シュベールと申します。あなたのお名前と年齢を教えていただいてもよろしいですか?」
二十代半ばほどのシュベールさんが執事と聞き、少しだけ、ビックリしました。執事という役職に就くのは、それなりに年齢を重ねた男性だと思っていたからです。しかし、私が知らないだけで、世の中には若い執事さんもたくさんいるのでしょう。
私は聞かれた通り、名前と年齢だけを答えました。
「リネットといいます。年齢は、14歳になったばかりです」
感情のこもってない、機械的な言葉でした。
自分自身の心から、魂がなくなってしまったように私は感じていました。
シュベールさんは、先程と同じように「そうですか」と言うと、もう何を尋ねることもなく、黙々と廊下を歩き続けます。私も、黙々とその後に続きます。
やがて、廊下の端に来ると、大きな階段を上り、二階の突き当りにある部屋の前に到着しました。美しい装飾が施された、立派なドア。シュベールさんはそのドアを、二回ノックします。
「侯爵様、お客様をお連れしました」
部屋の中から、ややいかめしい声が返ってきます。
「今日は来客の予定はないはずだが?」
若い男の人の声でした。
しばしの沈黙の後、部屋の中にいる男性は、入室の許可を出します。
「……まあいい、入ってくれ」
「失礼いたします」
そう言ってドアを開けるシュベールさんに続いて、私も部屋に入りました。
美しい装飾がなされたドアと同様に、美しい部屋でした。壁、床、調度品。どれをとっても粗末なものはなく、私がイメージする『貴族様のお部屋』そのものです。
しかし受付の人は、怒ることも、驚くこともしませんでした。
ただ短く「そうですか、ではこちらへ」と言い、私を連れてお屋敷に入ります。
驚きました。
こんなにもスムーズに話が運ぶなんて。
お母さんは『他の領地じゃ、若い娘を領主に差し出すってこと、結構あるんだよ』と言っていましたが、この領地でも、私が知らないだけで、こういったことは良くあることなのでしょうか。
そんなことを考えながら、お屋敷の長い廊下を、私は歩いて行きます。
私を先導していた受付の人が、ちらりとこちらを見て、口を開きました。
「わたくしは当屋敷の執事、シュベールと申します。あなたのお名前と年齢を教えていただいてもよろしいですか?」
二十代半ばほどのシュベールさんが執事と聞き、少しだけ、ビックリしました。執事という役職に就くのは、それなりに年齢を重ねた男性だと思っていたからです。しかし、私が知らないだけで、世の中には若い執事さんもたくさんいるのでしょう。
私は聞かれた通り、名前と年齢だけを答えました。
「リネットといいます。年齢は、14歳になったばかりです」
感情のこもってない、機械的な言葉でした。
自分自身の心から、魂がなくなってしまったように私は感じていました。
シュベールさんは、先程と同じように「そうですか」と言うと、もう何を尋ねることもなく、黙々と廊下を歩き続けます。私も、黙々とその後に続きます。
やがて、廊下の端に来ると、大きな階段を上り、二階の突き当りにある部屋の前に到着しました。美しい装飾が施された、立派なドア。シュベールさんはそのドアを、二回ノックします。
「侯爵様、お客様をお連れしました」
部屋の中から、ややいかめしい声が返ってきます。
「今日は来客の予定はないはずだが?」
若い男の人の声でした。
しばしの沈黙の後、部屋の中にいる男性は、入室の許可を出します。
「……まあいい、入ってくれ」
「失礼いたします」
そう言ってドアを開けるシュベールさんに続いて、私も部屋に入りました。
美しい装飾がなされたドアと同様に、美しい部屋でした。壁、床、調度品。どれをとっても粗末なものはなく、私がイメージする『貴族様のお部屋』そのものです。
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