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第19話(ジョセフ視点)

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 いや、でも、これで、小遣い程度の金額を賭けただけで、どうして高級な指輪を買えるほどの大金を手にすることができたのか、その謎が解けた。……闇カジノというだけあって、賭けのレートがとてつもなく高いのだろう。恐らく、合法的なギャンブルの十倍以上は。

 こいつ、それがどれだけ危険なことか、わかってるのか?

 ……たぶん、いや、絶対わかってないな。

 パメラの脳みそでは『闇カジノに出入りする私かっこいい!』程度の認識しかないだろう。たまたま勝ったからいいものの、負けていたら、どんな目にあわされていたことか……

 すぐ、やめさせないと。

 僕はパメラに向き直り、真剣な瞳で言う。

「パメラ、ギャンブルがしたいのなら、合法的な賭場で、自由にやればいい。小遣いの範囲内での出費なら、僕も文句は言わない。でも、闇カジノに出入りするのだけはやめるんだ。ああいうところは……」

 説教を最後まで聞くのが面倒だったのか、パメラはつまらなそうに舌打ちをし、僕の話に割り込んだ。

「嫌よ。自分の小遣いをどう使おうと、私の勝手じゃない。偉そうに指図しないでよね」

「そ、その小遣いを渡してるのは僕だぞ!? 僕が毎日、どれだけ危険で、大変な思いをして働いているのか、少しくらいは理解してくれよ!」

 あまりにもこちらを舐め切ったパメラの態度に、僕は思わず怒鳴ってしまう。

 ……怒鳴りながら、思った。
 三年前、僕にふざけた態度を取られ続けたフェリシティアも、こんな気持ちだったのかな。

 パメラは、僕の怒りを鼻で笑い、グラスに残っていたワインを飲み干してから、言う。

「ふん、危険で大変な思いをしてるわりに、大して稼げてないじゃない。あんた、炭鉱夫に向いてないんじゃないの? もうちょっと安全で給料の良い職場を探して、転職したら? そしたら私のお小遣いも増えるでしょうし」

 はあぁぁぁ……
 なんて、馬鹿なことを。

 昔の僕同様、世間知らずにもほどがある。その『安全で給料の良い職場』で働くことが、どれだけ難しいことか、まったくわかっていないんだな。最近は不景気だし、鉱山で働けるだけでも、ありがたいことなんだぞ。

 僕にはもう、パメラをどう説得すればいいか、分からなかった。
 しょぼくれてしまった僕を見て、パメラは勝ち誇ったように言葉を続ける。

「だいたいさぁ、あんたが、あのフェリシティアを怒らせたりしなければ、今頃あの女と結婚してさぁ、あんたにくっついてる私も、もっと良い生活ができてたと思うのよね。……そうよ、あんたが馬鹿なせいで、全部ダメになっちゃったんだから、あんたはこれからも、私を大事にしなきゃならない責任があるのよ」
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