幼馴染が熱を出した? どうせいつもの仮病でしょう?【完結】

小平ニコ

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第26話(パメラ視点)

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 そして今、私は、事務所の冷たい床で、正座させられている。

 男は腕組みをし、私を見下ろしながら、言う。

「さて、お嬢さん。あんたの『負け分』はかなりの高額だ。なのにあんたは、銅貨一枚すらも持っていないと言う。この落とし前、どうつける?」

 うううう。
 正座なんて、ほとんどしたことがないから、足が痛い。

 私は涙目になりながら、弱々しく言葉を紡いでいく。

「だ、だから、さっきも言ったでしょ? 私の知り合いのジョセフに頼めば、きっと……」

「黙れ! クソ女! あと一度でもそんなことを言ったら、ぶち殺すぞ!」

 もの凄い声で突然怒鳴られて、私は震えあがった。
 男は、どこかから取り出したタバコに火をつけ、煙を吐いてから、言う。

「俺はなぁ、ギャンブルで負けて、親兄弟友人に、自分の負け分を払わせようとするクズが大っ嫌いなんだよ。自分のやったことくらい、自分で落とし前つけろや。それが、最低限の道理ってもんだろうが」

 なんて重たい、ドスの利いた声。
 聞いてるだけで、怖くて怖くて、涙が溢れてくる。

 うううう。
 助けてジョセフ。
 助けてよぉ……

 助けに来てくれたら、今度から、少しだけ良い子になるから……もうワガママも言わないし、ギャンブルもやめる。あのババア……いえ、おばさまとも、仲良くするわ。だから、だから……

 その時、自分の手にきらりと光る指輪が目に入った。

 そ、そうだわ。
 この指輪。

 そこそこ高かった高級品だから、これで、負け分を払えるはず。
 私はいそいそと指輪を外し、男に差し出した。

「ほ、ほらっ、これ、この指輪っ。これで、負け分、払うわよっ。鑑定証明書つきの、高級品よ。これなら文句ないでしょ?」

 男は指輪を受け取り、じっくりとチェックする。
 そして、小さく頷いた。

「なるほど、なかなか良い品だな。これで、負け分の十分の一は払うことができるだろう」

 私は、叫んだ。

「じゅ、十分の一!? たったの!? 嘘でしょ!?」

「それだけ、あんたの負け分が大きいということだ。なんせ、深夜の『フィーバーナイトタイム』に勝負したんだからな。勝てば大金。負ければ破滅。闇カジノの夜は、そういうもんなんだよ」

「そ、そんなぁ……でも私、『フィーバーナイトタイム』なんて、知らなかったの。本当に、知らなかったのよぉ……」

「甘ったれたこと言ってんじゃないよ。ちゃんと、説明文も書いてあったはずだぜ。知ろうと思えば知ることができた情報を知らなかったのは、あんたの怠慢さ。だいたい、大した金も持たずにふらふらと闇カジノに出入りして、危機感がなさすぎる。あんた、今までよっぽど、優しい誰かに世話を焼いてもらって、生きてきたんだな」

「ううぅ……」
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