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第7話
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さらに数時間たち、日没が近づく。
やはり、何も起こらない。
私は、自分の今の状況を理解しつつあった。
最初から分かっていたことだが、『山の神』なんていないのだ。
馬鹿な村人が、馬鹿な迷信を信じているだけ。
これまでに連れてこられたいけにえたちも、私のように衰弱しきっており、この場から動くことはできず、そのうち野生動物に食べられたのだろう。
死ぬこと自体は怖くなかったが、生きたまま野生動物に食べられることを想像すると、さすがに身震いした。舌を噛めば、一息に死ねるかもしれないと思ったが、弱った顎では、舌を噛みきることすらできそうになかった。
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それからさらに数時間。
完全に日は沈み、暗黒の夜がやって来た。
明かりひとつない闇の中。吐息すらかすかな衰弱した体で横たわっていると、まだ自分が生きているのか、それともすでに死んでしまっているのか、よくわからなくなってくる。
もう死んでたらいいな。
獣に食べられて死ぬのは嫌だから。
しかし、そんなことを考えているということは、まだ生きているのだろう。
早く死なないかな。
私は目を閉じた。
なんだか無性に眠たかった。
このまま、眠るように死にたかった。
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次に目が覚めた時、私は大きな綿のような、何か温かなものの上に横たわっていた。綿はふかふかとやわらかく、とても心地よい。こんな心地良い感触のものが、地獄そのものの『私の現実』にあるわけがない。
それで、直感的に理解した。
私は死んだのだと。
だとしたら、ここは天国だろうか。図々しい考え方だが、村の皆の犠牲として命を捧げたのだから、地獄に落ちるよりは天国に招かれる可能性の方が高い気がする。というか、そう思ってないとやっていられない。
体は、思い通りにならない。まったく動けないわけではないが、死ぬ直前と同じく衰弱したままであり、手足は相変わらず鳥ガラのように細い。
不思議だ。死んでしまったのだから、もう魂だけのはずなのに、その魂までやせ細っているなんて。長い虐待生活のせいで、魂までもが衰弱してしまったということなのだろうか。
そんなことを思っていると、不意に人の気配を感じる。誰かが近づいて来る。視力がぼけており、誰が近づいて来るのかハッキリと見えない。
しかし私は、怯えていなかった。何せ、もう死んでしまったのだ。これ以上恐れることはない。ここが天国に見せかけた地獄というなら、別にそれでもよかった。生きているときも地獄だったのだ。それと、大して変わらない。
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さらに数時間たち、日没が近づく。
やはり、何も起こらない。
私は、自分の今の状況を理解しつつあった。
最初から分かっていたことだが、『山の神』なんていないのだ。
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これまでに連れてこられたいけにえたちも、私のように衰弱しきっており、この場から動くことはできず、そのうち野生動物に食べられたのだろう。
死ぬこと自体は怖くなかったが、生きたまま野生動物に食べられることを想像すると、さすがに身震いした。舌を噛めば、一息に死ねるかもしれないと思ったが、弱った顎では、舌を噛みきることすらできそうになかった。
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それからさらに数時間。
完全に日は沈み、暗黒の夜がやって来た。
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もう死んでたらいいな。
獣に食べられて死ぬのは嫌だから。
しかし、そんなことを考えているということは、まだ生きているのだろう。
早く死なないかな。
私は目を閉じた。
なんだか無性に眠たかった。
このまま、眠るように死にたかった。
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次に目が覚めた時、私は大きな綿のような、何か温かなものの上に横たわっていた。綿はふかふかとやわらかく、とても心地よい。こんな心地良い感触のものが、地獄そのものの『私の現実』にあるわけがない。
それで、直感的に理解した。
私は死んだのだと。
だとしたら、ここは天国だろうか。図々しい考え方だが、村の皆の犠牲として命を捧げたのだから、地獄に落ちるよりは天国に招かれる可能性の方が高い気がする。というか、そう思ってないとやっていられない。
体は、思い通りにならない。まったく動けないわけではないが、死ぬ直前と同じく衰弱したままであり、手足は相変わらず鳥ガラのように細い。
不思議だ。死んでしまったのだから、もう魂だけのはずなのに、その魂までやせ細っているなんて。長い虐待生活のせいで、魂までもが衰弱してしまったということなのだろうか。
そんなことを思っていると、不意に人の気配を感じる。誰かが近づいて来る。視力がぼけており、誰が近づいて来るのかハッキリと見えない。
しかし私は、怯えていなかった。何せ、もう死んでしまったのだ。これ以上恐れることはない。ここが天国に見せかけた地獄というなら、別にそれでもよかった。生きているときも地獄だったのだ。それと、大して変わらない。
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