追放された魔女は、実は聖女でした。聖なる加護がなくなった国は、もうおしまいのようです【第一部完】

小平ニコ

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第118話(リーゼル視点)

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 まさに、魔女だ。

 それも、人類の死滅を願う、狂った魔女である。

 そして、妹を魔女にしてしまった原因の一つは、俺にあるのだ。
 俺の、身勝手で冷酷な態度が、フェルヴァを魔女にしてしまったのだ。

 止めなければ。
 フェルヴァの狂った計画を、止めなければ。

 そんな俺の内心を表情から読み取ったのか、フェルヴァはくすくすと笑いながら問いかけてくる。

「姉さん、私のやること、やめさせたいと思ってる?」

 俺は力強く頷き、言った。

「当然だ。知ってしまった以上、俺には止めなきゃいけない責任がある」

「さすが姉さん、真面目ね。で、具体的にどうやって止める? 『至高なる魔女の会』の会員たちに、今聞いたことを話して回る? 一応言っておくけど、そんなことしても無駄よ。あの子たち、骨の髄まで私に蕩け切ってるもの。すべてを聞いても、大喜びで私に協力するわ」

「だろうな。……じゃあ、『危険思想の団体が怪しい活動をしている』って告発するのはどうだ? それで、警察と騒動になり、マークされるようになったら、さっきお前がペラペラ言ってた通り、静かに静かに『至高なる魔女の会』のネットワークを広げていくのは難しくなるだろ?」

「わぁ、なるほど。単純で当たり前だけど、けっこう有効な手ね。この国の警察や軍隊ごとき、壊滅させるのは簡単だけど、目立ってしまったら、静かに活動範囲を広げるのはかなり面倒になるから、結果的に人類絶滅が凄く遅れることになっちゃうわ。ふふ、困ったわね」

 困ったわねと言う割に、フェルヴァは、なんだか嬉しそうだった。

 俺がどうやって自分の計画を止めるつもりなのか、そして、そんな俺の行動に対し、自分はどう対処すべきか。その知恵比べと駆け引きを、楽しんでいるようにも見えた。

 フェルヴァは、長話をしていたせいですっかり冷めてしまったであろうカフェオレを美味しそうに飲み、ニコニコと言葉を紡いでいく。

「まあ、姉さんが『至高なる魔女の会』を告発したいっていうなら、別にすればいいわよ。そうなったら、私たちはこの国の警察や軍隊と真正面から戦い、勝利し、国中の人間を皆殺しにするだけ。そして、そのニュースが世界に広まる頃には、私は『至高なる魔女の会』の連中を見捨てて、どこかに姿を消すわ」
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