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第62話
だから私は、最初から『ライトニング・スマッシュ』を見切ろうとは思わなかった。いや、もっと言うなら、見ようともしなかった。瞳を閉じ、無心でタイミングだけをはかり、聖女拳法の奥義『バリア・リフレクション』を発動させる。
数秒後、私は閉じていた目を、ゆっくりと開く。
ラジアスは、地面に倒れ伏していた。
……どうやら、『バリア・リフレクション』が、成功したみたいね。
名前でなんとなくわかるかもしれないが、『バリア・リフレクション』は、相手の攻撃をそのまま反射する技である。『聖女の結界』を、防御にも攻撃にも使わず、ただ『反射する』という一点だけに集中する、聖女拳法の奥義の中でも非常に異質な技だ。
理屈上は、どんな攻撃でも反射できる凄い技なのだが、私はこの技を、ほとんど使ったことがない。……いや、もしかしたら、実戦で使うのは今日が初めてかもしれない。何故なら、この技、あまりにも危険が大きすぎるのだ。
攻撃を反射することのできるタイミングは、相手の一撃がこちらの体に触れるほんの一瞬だけなので、コンマ一秒でも『バリア・リフレクション』を使うタイミングがずれてしまったら、防御結界なしで、もろに相手の攻撃を食らうことになってしまう。いわば、捨て身の技なのである。
何故、そんな捨て身の技を、『ライトニング・スマッシュ』のような超高速の一撃に合わせることができたのかと言うと、理由は主に二つだ。
一つは、私が『ライトニング・スマッシュ』のタイミングを、熟知していたこと。……私はこれまで何度も、ラジアスが『では、行くぞ』と言ってから、即座に攻撃を開始するのを見ている。だから今回も、上手く『バリア・リフレクション』を合わせることができたのだ。
そして、もう一つは、ラジアスが『バリア・リフレクション』という技を知らなかったことだ。そりゃそうよね。これまで一度だって、私はラジアスの前で『バリア・リフレクション』を使ったことなんてないし、『相手の攻撃を反射する技があるの』って話をしたこともないんだから。
もしもラジアスが『バリア・リフレクション』がどういう技かを知っていたら、攻撃の前に軽くフェイントを入れるだけで、反射のタイミングがずれ、私は倒されていただろう。
私は、なんとか生き残ることのできた安堵感で、大きく息を吐いた。
……ハッキリ言って、ギリギリの勝利だ。
いかに『ライトニング・スマッシュ』のタイミングを熟知していたとはいえ、本当に、あと少しでも『バリア・リフレクション』を発動させるのが遅れていたら、今頃地面に寝転がっているのは私の方だったに違いない。
……ラジアスは、死んでしまったかしら?
必殺の『ライトニング・スマッシュ』が、言うなればカウンターで自分の体に返って来たのだ。即死していてもおかしくない。私は、倒れ伏したままピクリとも動かないラジアスのそばにしゃがみ込み、息を見る。
数秒後、私は閉じていた目を、ゆっくりと開く。
ラジアスは、地面に倒れ伏していた。
……どうやら、『バリア・リフレクション』が、成功したみたいね。
名前でなんとなくわかるかもしれないが、『バリア・リフレクション』は、相手の攻撃をそのまま反射する技である。『聖女の結界』を、防御にも攻撃にも使わず、ただ『反射する』という一点だけに集中する、聖女拳法の奥義の中でも非常に異質な技だ。
理屈上は、どんな攻撃でも反射できる凄い技なのだが、私はこの技を、ほとんど使ったことがない。……いや、もしかしたら、実戦で使うのは今日が初めてかもしれない。何故なら、この技、あまりにも危険が大きすぎるのだ。
攻撃を反射することのできるタイミングは、相手の一撃がこちらの体に触れるほんの一瞬だけなので、コンマ一秒でも『バリア・リフレクション』を使うタイミングがずれてしまったら、防御結界なしで、もろに相手の攻撃を食らうことになってしまう。いわば、捨て身の技なのである。
何故、そんな捨て身の技を、『ライトニング・スマッシュ』のような超高速の一撃に合わせることができたのかと言うと、理由は主に二つだ。
一つは、私が『ライトニング・スマッシュ』のタイミングを、熟知していたこと。……私はこれまで何度も、ラジアスが『では、行くぞ』と言ってから、即座に攻撃を開始するのを見ている。だから今回も、上手く『バリア・リフレクション』を合わせることができたのだ。
そして、もう一つは、ラジアスが『バリア・リフレクション』という技を知らなかったことだ。そりゃそうよね。これまで一度だって、私はラジアスの前で『バリア・リフレクション』を使ったことなんてないし、『相手の攻撃を反射する技があるの』って話をしたこともないんだから。
もしもラジアスが『バリア・リフレクション』がどういう技かを知っていたら、攻撃の前に軽くフェイントを入れるだけで、反射のタイミングがずれ、私は倒されていただろう。
私は、なんとか生き残ることのできた安堵感で、大きく息を吐いた。
……ハッキリ言って、ギリギリの勝利だ。
いかに『ライトニング・スマッシュ』のタイミングを熟知していたとはいえ、本当に、あと少しでも『バリア・リフレクション』を発動させるのが遅れていたら、今頃地面に寝転がっているのは私の方だったに違いない。
……ラジアスは、死んでしまったかしら?
必殺の『ライトニング・スマッシュ』が、言うなればカウンターで自分の体に返って来たのだ。即死していてもおかしくない。私は、倒れ伏したままピクリとも動かないラジアスのそばにしゃがみ込み、息を見る。
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※3/6~ プチ改稿中