二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ

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第88話

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「なんですって……」

「あはっ、最初は『私は辱めを受けるくらいなら死を選ぶ』なんて、カッコいいこと言ってたくせに、目の前でお友達の体を少しずつちぎりながら食べるところを見せてやったら、おしっこ漏らしながら泣き叫びましてね、それ以降は、すっかり従順なペットですよ」

「…………」

「さっきはうっかり背骨を潰し、殺してしまうところでしたが、あなたたちが助けてくれたんですね。飼い主としてお礼を言っておきます。いやいや、蹴ったり殴ったりほじったり、時折やり過ぎて、ついつい殺してしまいそうになるんですよ」

「…………」

「でも、このペットにも、最近ちょっと飽きてきたし、そろそろ別の遊び方を考えないとなあ。ふふふ、そうだ、こういうのはどうです? どこかの村から子供を攫ってきて、彼女の前で、少しずつ、少しずつ、時間をかけて食べてやるんですよ。足の指から一本ずつ、ゆっくり、ゆっくりとね。ふふふふ、彼女、子供好きですから、きっと凄い声で悲鳴を……」

 私は再び、このゲス野郎の言葉を遮った。

「黙れ、その下劣な口を閉じろ。もう喋るな」

 怒った私を見て、ヒューマンゴブリンは嬉しそうに微笑んだ。

「ああ、いいなあ……その怒った顔。あなたの強気な顔が、恐怖と苦痛に歪み、卑屈に命乞いするところが是非見たい……。気の強い女性が命乞いするところって、凄く素敵ですよね。あなたはいったい、どんな声で囀ってくれるのかなあ。うん、あなたを新しいペットにするから、他のペットはもういらないや。世話も面倒だし、全員殺してしまおう」

 その言葉を聞いた瞬間。

 私は……
 私は……

 完全にキレてしまった。

 爆発的な勢いで大地を蹴り、私は先程と同じように、風のごとき速さでヒューマンゴブリンに突進する。ヒューマンゴブリンは、人を舐め切ったぬるい笑顔で、こっちを見ていた。

『私は不死身です。人間ごときが何をしようと、決して殺せません』

 きっと、そう思っているのだろう。

『蹴るのでも、殴るのでも、好きなように攻撃させてあげましょう。そして、何をしても死なない私を見て、絶望するといい』

 そんなふうにも、思っているのだろう。

 死ぬまで勝手にそう思っていろ。
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