96 / 389
第96話
しおりを挟む
私の問いに、エリスはため息を漏らしながら答える。
「いえ、お師匠様は何もおかしなことはしていません。ただ、エルフの里の住人は、他種族が里に立ち入ることを、あまり快く思っていないのです。それに……」
「それに?」
「私自身も、エルフの里の人たちから、それほど好かれているとは言えない身分なので、今の舌打ちは、私に対しても向けられたものなのだと思います」
言いながら、エリスは歩き出した。
私も、その隣を歩きながら、重ねて問う。
「……あの、『エルフの里の人たちから、それほど好かれているとは言えない身分』って、どういう意味? エルフの世界にも、その、身分制度みたいなものがあるの?」
「人間の世界で言うところの『貴族』『平民』『奴隷』のような、ハッキリとした身分制度はありません。でも、序列はあります。……お師匠様、町を行くエルフたちと、私を見比べて、何か気がつくことはありませんか?」
そう尋ねられて、私は改めて、道を歩くエルフたちを眺める。
……そこでやっと、彼らとエリスの、決定的な違いに気がついた。
それは、耳の長さだ。
エリスの耳は、人間よりは長いが、エルフにしては明らかに短い。
道行く他のエルフたちと比べたら、その長さは半分ほどである。
私は自分の耳を指さしながら、言う。
「あなたと他のエルフの違い……『耳の長さ』で、あってる?」
エリスは、相変わらず歩きながら、首を回してこちらを向き、小さく頷いた。
「そうです。人間が、鼻の高さや目の大きさで容姿に優劣をつけるのと同じように、エルフは耳の長さこそに、美醜の価値基準があるのです。エルフの耳は、長ければ長いほど良く、先端が鋭く尖っている形が、最高に美しいと言われています」
エリスの耳は、それほど長くはなく、先端もどちらかと言えば丸い。
ふむ……人間の美的感覚で判断すれば、エリスは相当な美貌の持ち主だと思うが、エルフの世界では、あまり好ましくない容貌ということか……
エリスは少しだけ歩くスピードを速め、さらに話を続ける。
「そして、耳の長さは、単に美醜を決めるだけではなく、先ほど言った『序列』に大きくかかわってきます。耳の長いエルフは、血筋の良い高貴な存在とされ、耳の短いエルフは『下賤な連中だ』と馬鹿にされ、蔑まれているんです」
「いえ、お師匠様は何もおかしなことはしていません。ただ、エルフの里の住人は、他種族が里に立ち入ることを、あまり快く思っていないのです。それに……」
「それに?」
「私自身も、エルフの里の人たちから、それほど好かれているとは言えない身分なので、今の舌打ちは、私に対しても向けられたものなのだと思います」
言いながら、エリスは歩き出した。
私も、その隣を歩きながら、重ねて問う。
「……あの、『エルフの里の人たちから、それほど好かれているとは言えない身分』って、どういう意味? エルフの世界にも、その、身分制度みたいなものがあるの?」
「人間の世界で言うところの『貴族』『平民』『奴隷』のような、ハッキリとした身分制度はありません。でも、序列はあります。……お師匠様、町を行くエルフたちと、私を見比べて、何か気がつくことはありませんか?」
そう尋ねられて、私は改めて、道を歩くエルフたちを眺める。
……そこでやっと、彼らとエリスの、決定的な違いに気がついた。
それは、耳の長さだ。
エリスの耳は、人間よりは長いが、エルフにしては明らかに短い。
道行く他のエルフたちと比べたら、その長さは半分ほどである。
私は自分の耳を指さしながら、言う。
「あなたと他のエルフの違い……『耳の長さ』で、あってる?」
エリスは、相変わらず歩きながら、首を回してこちらを向き、小さく頷いた。
「そうです。人間が、鼻の高さや目の大きさで容姿に優劣をつけるのと同じように、エルフは耳の長さこそに、美醜の価値基準があるのです。エルフの耳は、長ければ長いほど良く、先端が鋭く尖っている形が、最高に美しいと言われています」
エリスの耳は、それほど長くはなく、先端もどちらかと言えば丸い。
ふむ……人間の美的感覚で判断すれば、エリスは相当な美貌の持ち主だと思うが、エルフの世界では、あまり好ましくない容貌ということか……
エリスは少しだけ歩くスピードを速め、さらに話を続ける。
「そして、耳の長さは、単に美醜を決めるだけではなく、先ほど言った『序列』に大きくかかわってきます。耳の長いエルフは、血筋の良い高貴な存在とされ、耳の短いエルフは『下賤な連中だ』と馬鹿にされ、蔑まれているんです」
44
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて
だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。
敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。
決して追放に備えていた訳では無いのよ?
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
【完結】偽物聖女として追放される予定ですが、続編の知識を活かして仕返しします
ユユ
ファンタジー
聖女と認定され 王子妃になったのに
11年後、もう一人 聖女認定された。
王子は同じ聖女なら美人がいいと
元の聖女を偽物として追放した。
後に二人に天罰が降る。
これが この体に入る前の世界で読んだ
Web小説の本編。
だけど、読者からの激しいクレームに遭い
救済続編が書かれた。
その激しいクレームを入れた
読者の一人が私だった。
異世界の追放予定の聖女の中に
入り込んだ私は小説の知識を
活用して対策をした。
大人しく追放なんてさせない!
* 作り話です。
* 長くはしないつもりなのでサクサクいきます。
* 短編にしましたが、うっかり長くなったらごめんなさい。
* 掲載は3日に一度。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる