二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ

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第106話

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 色は、鮮やかなピンク色で、形状はどことなく薔薇に似ている。
 香りも素晴らしく、どんな香水よりも優美な芳香に、私は酔いしれた。

 いったい、なんという種類の花かしら?

 私も、勇者パーティーの一員として様々な所を旅してきたので、野に咲く花を色々と見てきたが、こんな花は一度も見たことがない。きっと、エルフの里のみに咲いている種類なのだろう。

 切り花は、なるべく早く水に入れないと、駄目になってしまう。水道のないエルフの里で、勝手に生活用水を使うのはどうかとも思ったが、せっかくのプレゼントである花を粗末に扱う方が無礼であると考えた私は、必要最低限の水を借り、小さな花瓶に花を挿した。

 うん。シンプルだが、とても美しい一輪挿しの完成だ。

 テーブルに頬杖を突き、視線を下げてそれを眺めると、何とも言えない良い気分になる。……こうやって、一人落ち着いて花を見るなんて、どれだけぶりだろう。私は穏やかな気持ちで、他に何をするでもなく、静かに静かに花を眺め、ゆったりとした時間を楽しんだ。





 しばらくして、完全に日は落ち、エリスが狩りから帰って来た。

 今日の夕飯は、その『狩り』でエリスがとってきた、よくわからない獣のステーキと、よくわからない鳥の卵、そして、よくわからない野草のサラダだ。

 ……こんなふうに書くと、『そんな得体の知れないものをよく食べられるな』と思うかもしれないが、エリスの食材を選ぶ目と調理技術は確かであり、どんなものでもちゃんとした料理に変えてしまうので、私は何が出されても心配していないのである。

 ちなみに、私は料理が苦手だ。

 できることと言ったら、肉か魚を焼くことくらいなので、かつて、勇者パーティーの一員として旅をしていた頃、私が食事当番をするときは、常に焼いた肉か焼いた魚を出すだけの、超シンプルメニューだった。

 本当に、ただ食材を焼いたものを出すだけだったので、一度勇者ラジアスに、『せめて塩くらいは振ってくれないか』と言われたことがある。

 でも、ちょうどいい塩加減って、けっこう難しいのよね。少ないと意味ないし、やりすぎると塩味がきついだけになっちゃうし。料理のセンスがある人は、そこらへん、感覚でうまくやれちゃうんでしょうけど、私、そういうの全然だめなのよね。
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