107 / 389
第107話
しおりを挟む
そんなことを思いながら、私は出された食事をもりもりと食べる。
リビングには、私とエリス、二人だけだ。
旅行でしばらく家を空けると言っていたユーゲンスはもちろんいないし、マッギロウもいない。私はむしゃむしゃお肉を貪りながらも、少し不思議に思い、口の中のものを飲み込んでから、エリスに尋ねる。
「ねえエリス。マッギロウさんは、一緒に食事、しなくていいの? こんなに美味しいお肉なのに、私たちだけで食べるなんて、なんだか悪いわ」
エリスもまた、私と同じように口の中のものを飲み込んでから、答える。
「お兄ちゃんは菜食主義で、お肉は食べないんです。それに、超早寝早起きですから、ほとんどの場合、日暮れ前には森の奥の決まった場所で食事を済ませて、日が沈むと同時に眠ってしまうんです」
「あ、そうなの……」
ということは、さっき私に花を渡してから、森に入って自分の食事を済ませ、今はもうぐっすりというわけね。……いったい、どこで寝てるんだろう。この家は割と大きい方だと思うが、マッギロウの巨躯が横になれるほどのスペースはないように思える。
そんな私の考えを表情から読み取ったのか、エリスは苦笑しながら答える。
「お兄ちゃんは、家の中に入るのがあんまり好きじゃなくて、基本的には外で寝起きして、自然のままの暮らしをしているんです」
「年がら年中野宿してるってこと? 雨とかが降ったらどうするの?」
「森の中には、『天然の屋根』とでもいうべきものが、たくさんあるから大丈夫ですよ。せり出た岩壁の下や、大木の陰にいれば、雨に濡れることはありません。お兄ちゃんにとっては、狭い家の中より、そういうところの方が、ずっと過ごしやすいんだと思います」
ふーむ。
まあ、超巨体の彼にとっては、家の中に入るのは、窮屈な箱の中に押し込められるようなものだろう。見るからに頑丈そうな体だから、多少の寒暖差や風なんて屁でもないだろうし、外の方がよっぽど快適なのね。
しかし、お肉を食べない菜食主義で、よくあれだけ大きくなったわね。
……いや、菜食主義とか、肉食主義とか、そういう問題じゃない。
マッギロウの巨体は、どう考えてもエルフの一般的な体格からは逸脱している。
私も武術に携わる者として、これまで何度も、大きな人と出会ったことがあるし、戦ったこともある。だがそれでも、2メートル40cm以上の巨漢を見たのは、初めてだ。
リビングには、私とエリス、二人だけだ。
旅行でしばらく家を空けると言っていたユーゲンスはもちろんいないし、マッギロウもいない。私はむしゃむしゃお肉を貪りながらも、少し不思議に思い、口の中のものを飲み込んでから、エリスに尋ねる。
「ねえエリス。マッギロウさんは、一緒に食事、しなくていいの? こんなに美味しいお肉なのに、私たちだけで食べるなんて、なんだか悪いわ」
エリスもまた、私と同じように口の中のものを飲み込んでから、答える。
「お兄ちゃんは菜食主義で、お肉は食べないんです。それに、超早寝早起きですから、ほとんどの場合、日暮れ前には森の奥の決まった場所で食事を済ませて、日が沈むと同時に眠ってしまうんです」
「あ、そうなの……」
ということは、さっき私に花を渡してから、森に入って自分の食事を済ませ、今はもうぐっすりというわけね。……いったい、どこで寝てるんだろう。この家は割と大きい方だと思うが、マッギロウの巨躯が横になれるほどのスペースはないように思える。
そんな私の考えを表情から読み取ったのか、エリスは苦笑しながら答える。
「お兄ちゃんは、家の中に入るのがあんまり好きじゃなくて、基本的には外で寝起きして、自然のままの暮らしをしているんです」
「年がら年中野宿してるってこと? 雨とかが降ったらどうするの?」
「森の中には、『天然の屋根』とでもいうべきものが、たくさんあるから大丈夫ですよ。せり出た岩壁の下や、大木の陰にいれば、雨に濡れることはありません。お兄ちゃんにとっては、狭い家の中より、そういうところの方が、ずっと過ごしやすいんだと思います」
ふーむ。
まあ、超巨体の彼にとっては、家の中に入るのは、窮屈な箱の中に押し込められるようなものだろう。見るからに頑丈そうな体だから、多少の寒暖差や風なんて屁でもないだろうし、外の方がよっぽど快適なのね。
しかし、お肉を食べない菜食主義で、よくあれだけ大きくなったわね。
……いや、菜食主義とか、肉食主義とか、そういう問題じゃない。
マッギロウの巨体は、どう考えてもエルフの一般的な体格からは逸脱している。
私も武術に携わる者として、これまで何度も、大きな人と出会ったことがあるし、戦ったこともある。だがそれでも、2メートル40cm以上の巨漢を見たのは、初めてだ。
45
あなたにおすすめの小説
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて
だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。
敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。
決して追放に備えていた訳では無いのよ?
婚約者を奪った妹と縁を切り、辺境領を継いだら勇者一行がついてきました
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
妹が聖女に選ばれました。姉が闇魔法使いだと周囲に知られない方が良いと思って家を出たのに、何故か王子様が追いかけて来ます。
向原 行人
ファンタジー
私、アルマには二つ下の可愛い妹がいます。
幼い頃から要領の良い妹は聖女に選ばれ、王子様と婚約したので……私は遠く離れた地で、大好きな魔法の研究に専念したいと思います。
最近は異空間へ自由に物を出し入れしたり、部分的に時間を戻したり出来るようになったんです!
勿論、この魔法の効果は街の皆さんにも活用を……いえ、無限に収納出来るので、安い時に小麦を買っていただけで、先見の明とかはありませんし、怪我をされた箇所の時間を戻しただけなので、治癒魔法とは違います。
だから私は聖女ではなくて、妹が……って、どうして王子様がこの地に来ているんですかっ!?
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる