二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ

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第111話

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「嘘でしょ? あなたがこれまで、一年かけて世界を巡ってもわからなかったのにそんな……」

「お師匠様、これを見てください」

 エリスはそう言うと、小さなチラシを差し出した。ふーむ……エルフの里は、印刷技術も人間の社会より進んでいるらしい。実に色鮮やかで、文字もくっきりとして読みやすいチラシだ。

「ええっと、なになに……『今日より三日後、中枢区の総合体育館にて、エルフ式魔術ボクシングの競技大会が開かれます。腕に自信のある方は、こぞってご参加ください』……ふうん、大会かぁ。面白そうだけど、それがあなたのお義父さんの仇を探し出すことと、何の関係があるの?」

「重要なのはその下です。チラシの下部を、読んでください」

「はいはい……『優勝者には、エルフ族最高の巫女、ヒヒロミカ様から予言をたまわる権利が与えられます』……予言って、あの、未来予知とかの、予言?」

「そうです。その予言です」

 予言とは……こりゃまた、いきなりスピリチュアルな単語が出てきたわね。
 エルフの里は近代的だけど、こういうところは、やっぱりエルフっぽいのね。

 こう言っては何だけど、人間の社会では、予言を信じる者なんて、今はほとんどいない。一時期、怪しげな霊能力者が世界の終末を予言し、救われるためには、ああしなければならない、こうしなければならないと、適当なことを言って、人々をたぶらかしていたが、結局、予言された世界最後の日には何も起こらなかった。

 しかも、そのインチキ霊能力者は、支持者たちから多額のお布施を集めるだけ集めて、消息不明になってしまったのである。……つまり、多くの人間が、詐欺師の戯言に一杯食わされたというわけだ。

 そのため、私たち人間は、『予言』なるものに対して、非常に懐疑的である。『予言』という単語が出た途端、私の視線が生暖かくなったことを感じ取ったエリスは、ちょっとだけ唇を尖らせ、不満そうに言う。

「お、お師匠様。確かに、人間の社会に時折現れる予言者は、そのほとんどがインチキですが、ヒヒロミカ様は違うんです。今年で2000歳を超える、エルフ社会の中でも伝説の巫女であり、彼女の目は千里を見渡し、彼女の耳は過去と未来の声を聞くことができると言われています。本当に、凄い人なんです」
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