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第二部 獣人武闘祭
第196話
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「ネコカラテの女子世界チャンピオン?」
私の声に、タマラは頷く。
「マリエール・カリクラ。若干18歳で女子ネコカラテ会の頂点に立った天才。華麗かつ切れ味鋭い技の数々は、武術を芸術へと昇華させたとさえ言われているんだって」
「へぇ……」
「あたしの友達がね、『ここの予選では間違いなく彼女が最強だから、戦いぶりを一緒に見に行こう』って言うから、はるばる北からやって来たんだ」
「タマちゃんって、北方に住んでるの?」
「うん。こっちの方は日差しが強くて、びっくりしちゃった。長袖を着てないと、すぐに肌が赤くなって、痛くなっちゃう」
「それで、夏でも長袖なんだ。でも、日差しを防ぐなら、帽子もあった方がいいわね」
「そうなの?」
「ええ。……そうだ、私の帽子で良かったら使う? 大人用だから、サイズはちょっと大きいと思うけど、日よけにはなるだろうから」
私は、それまでかぶっていた帽子を、タマラに差し出した
「えっ、いいの? でも、それじゃディーナが暑くなっちゃうよ?」
「私はこれくらい平気よ。でも北方出身のタマちゃんにとっては、この日差しはかなり辛いでしょう? ほら、遠慮しないで」
「えへ、それじゃお言葉に甘えて……」
タマラは帽子を受け取ってかぶると、シャンとお澄まししたポーズをとった。
「どう、似合う?」
私は、頷く。
「うん、とっても可愛いわ。まるでモデルさんみたい」
お世辞ではなく、本当のことだった。この子は、どこか神秘的なほどの美少女だ。このまま写真を撮れば、ブランド物の子供服の広告にだって使えるだろう。
タマラは白い頬を少しだけ紅潮させて、はにかむ。
「えへへ……ありがとね、ディーナ。凄く楽になったよ」
私とタマラは、互いの顔を見て、微笑みあった。
帽子を貸したことで若干目の前が眩しいので、私は手で陽光を遮るようにして、試合会場を見る。ミャオの姿は人ごみに紛れ、もうどこにいるのか分からなくなってしまった。
仕方ないので、他の選手たちをチェックする。それぞれ思い思いにストレッチしたり、話し合ったりしている選手たちを眺めるうち、私はあることに気がつく。
なんか、右を見ても、左を見ても、女の子ばっかりね……
そう。
男性の選手の姿がほとんどないのだ。
私の声に、タマラは頷く。
「マリエール・カリクラ。若干18歳で女子ネコカラテ会の頂点に立った天才。華麗かつ切れ味鋭い技の数々は、武術を芸術へと昇華させたとさえ言われているんだって」
「へぇ……」
「あたしの友達がね、『ここの予選では間違いなく彼女が最強だから、戦いぶりを一緒に見に行こう』って言うから、はるばる北からやって来たんだ」
「タマちゃんって、北方に住んでるの?」
「うん。こっちの方は日差しが強くて、びっくりしちゃった。長袖を着てないと、すぐに肌が赤くなって、痛くなっちゃう」
「それで、夏でも長袖なんだ。でも、日差しを防ぐなら、帽子もあった方がいいわね」
「そうなの?」
「ええ。……そうだ、私の帽子で良かったら使う? 大人用だから、サイズはちょっと大きいと思うけど、日よけにはなるだろうから」
私は、それまでかぶっていた帽子を、タマラに差し出した
「えっ、いいの? でも、それじゃディーナが暑くなっちゃうよ?」
「私はこれくらい平気よ。でも北方出身のタマちゃんにとっては、この日差しはかなり辛いでしょう? ほら、遠慮しないで」
「えへ、それじゃお言葉に甘えて……」
タマラは帽子を受け取ってかぶると、シャンとお澄まししたポーズをとった。
「どう、似合う?」
私は、頷く。
「うん、とっても可愛いわ。まるでモデルさんみたい」
お世辞ではなく、本当のことだった。この子は、どこか神秘的なほどの美少女だ。このまま写真を撮れば、ブランド物の子供服の広告にだって使えるだろう。
タマラは白い頬を少しだけ紅潮させて、はにかむ。
「えへへ……ありがとね、ディーナ。凄く楽になったよ」
私とタマラは、互いの顔を見て、微笑みあった。
帽子を貸したことで若干目の前が眩しいので、私は手で陽光を遮るようにして、試合会場を見る。ミャオの姿は人ごみに紛れ、もうどこにいるのか分からなくなってしまった。
仕方ないので、他の選手たちをチェックする。それぞれ思い思いにストレッチしたり、話し合ったりしている選手たちを眺めるうち、私はあることに気がつく。
なんか、右を見ても、左を見ても、女の子ばっかりね……
そう。
男性の選手の姿がほとんどないのだ。
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