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第二部 獣人武闘祭
第255話
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今現在、勇者の仲間ならともかく、パーティーを離れ、しかも、じわじわと世間様に忘れ去られつつある私の謝罪に、それほどの価値があるとは思えなかった。しかし、フォルスは、出しっぱなしだった禍々しい爪をシュルリと指の間に収納した。
「わかった。確かに、これは充分な落とし前だ。騒がせて、悪かったね」
「えっ、本当に?」
私は、拍子抜けした。
フォルスは、今までからは想像もつかない柔和な笑みを浮かべる。
「ああ。うちのボスは、勇者ラジアスの大ファンなのさ。王都カーブルスを通じて、ひそかに支援もしている」
「嘘でしょ? マフィアがどうして、勇者の支援をするのよ」
フォルスは、おかしそうに笑った。
「くくっ、考えてもみなよ。もしも魔王にこの世界が征服されたら、マフィアも悪事を働くどころじゃない。天下泰平だからこそ、私らみたいな連中は生きていけるのさ」
ふーむ、そういうものなのかしら。
「まあ、理由はそれだけじゃない。勇者ラジアスは、少々キツイ雰囲気だが凛々しい顔してるだろ? うちのボスはああいう男が大好きなんだ。くくっ」
「へ、へぇ……」
「そのラジアスと一緒に戦ってたあんたに頭を下げてもらえりゃ、こちらとしては、何の文句もないよ。むしろ、ボスに怒られちまわないか、心配なくらいさ」
ひとまず、ホッとする。
私は、小さく息を吐いた。
「一応言っておくが、勇者ラジアスの仲間だったっていうのが嘘だったら、あんたの寝床に忍び込んで、その首掻っ切るよ」
「なら安心だわ、嘘じゃないからね。今日もぐっすり眠れそう」
「くくっ、そうかい。……我ながら、今晩は少し喋り過ぎた。それじゃ、帰るよ。邪魔したね」
フォルスはズボンのポケットに手を入れ、ジャケットを翻す。
その背中には、一分の隙も無い。恐らく、いきなり背後から襲っても、難なく攻撃を回避するに違いない。この女、これまでに、どれだけの修羅場をくぐって来たのだろう。
フォルスはつかつかと歩き、バーの門を開ける瞬間、ちらりとこちらに――いや、アニーに向かって振り向いた。
「ガールフレンドに救われたね、ゴリラのお姉さん。いや、救われたのは、私も同じかな。……くくっ、縁があったら、J1グランプリ本戦で会いましょうや」
そう言って、夜の闇に同化するように、フォルスは出ていった。
「わかった。確かに、これは充分な落とし前だ。騒がせて、悪かったね」
「えっ、本当に?」
私は、拍子抜けした。
フォルスは、今までからは想像もつかない柔和な笑みを浮かべる。
「ああ。うちのボスは、勇者ラジアスの大ファンなのさ。王都カーブルスを通じて、ひそかに支援もしている」
「嘘でしょ? マフィアがどうして、勇者の支援をするのよ」
フォルスは、おかしそうに笑った。
「くくっ、考えてもみなよ。もしも魔王にこの世界が征服されたら、マフィアも悪事を働くどころじゃない。天下泰平だからこそ、私らみたいな連中は生きていけるのさ」
ふーむ、そういうものなのかしら。
「まあ、理由はそれだけじゃない。勇者ラジアスは、少々キツイ雰囲気だが凛々しい顔してるだろ? うちのボスはああいう男が大好きなんだ。くくっ」
「へ、へぇ……」
「そのラジアスと一緒に戦ってたあんたに頭を下げてもらえりゃ、こちらとしては、何の文句もないよ。むしろ、ボスに怒られちまわないか、心配なくらいさ」
ひとまず、ホッとする。
私は、小さく息を吐いた。
「一応言っておくが、勇者ラジアスの仲間だったっていうのが嘘だったら、あんたの寝床に忍び込んで、その首掻っ切るよ」
「なら安心だわ、嘘じゃないからね。今日もぐっすり眠れそう」
「くくっ、そうかい。……我ながら、今晩は少し喋り過ぎた。それじゃ、帰るよ。邪魔したね」
フォルスはズボンのポケットに手を入れ、ジャケットを翻す。
その背中には、一分の隙も無い。恐らく、いきなり背後から襲っても、難なく攻撃を回避するに違いない。この女、これまでに、どれだけの修羅場をくぐって来たのだろう。
フォルスはつかつかと歩き、バーの門を開ける瞬間、ちらりとこちらに――いや、アニーに向かって振り向いた。
「ガールフレンドに救われたね、ゴリラのお姉さん。いや、救われたのは、私も同じかな。……くくっ、縁があったら、J1グランプリ本戦で会いましょうや」
そう言って、夜の闇に同化するように、フォルスは出ていった。
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