[完結]18禁乙女ゲームのモブに転生したら逆ハーのフラグを折ってくれと頼まれた。了解ですが、溺愛は望んでません。

紅月

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当事者なので巻き込みます。

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「それと、もしもの事を考えて、イザベルにもゲームの粗筋を話しておくべきだと思います」

シルヴィーの硬い表情にウィリアムは首を傾げる。

「何故?このまま俺たちが潰していけば問題無いだろ」
「いえ。こんなふうに作戦会議をしているのを見られるとイザベルが誤解するかもしれませんし、イザベルにも危機管理をしてもらった方がお花畑のヒロインが登場した時驚かないと思います」

シルヴィーはウィリアムの参謀をしているが見様によっては親しい間柄、とも見れてしまう。

「そうだな。なら俺達が揃っている時に予知夢を、って事で話しておこう」
「来週のトルマリン家のガーデンパーティーで時間を作ります」
「そっちは頼んだ。俺はそれとなく匂わせておくから」

話が纏まりシルヴィーが立ち上がるとウィリアムが手を出して来た。

「シルヴィー、改めて礼を言う。君と言う参謀がいる限り俺たちは馬鹿な女の策略に引っ掛からないし、国をぐらつかせないで済むだろう。これからも頼むな」
「此方こそありがとうございます。殿下の力があったからこそあのアイテムを作り変えられましたし、イザベルの事も守れそうです」
「なんでそんなに自分の事よりイザベルを守ろうとするんだ?従姉妹だからか?」

ウィリアムが不思議そうにシルヴィーを見るとシルヴィーはうーんと考えながら

「前世で、色々なゲームをして来て、イザベルなら味方さえいれば悪役令嬢にならないで済むかも、と思ったし可愛いじゃないですか殿下の為に苦手な勉強とかを頑張っている所なんて」

だから守りたい、と思った、とまたも男前な態度で笑った。

「シルヴィーが女で良かった。君が男だったら俺、間違いなくイザベルに振られてたよ」

ウィリアムの弱気な発言をそんな事ないですよ、と笑ってたのに不意に真面目な顔でウィリアムを見詰めた。

「な、何?」
「殿下と初めて会った時は横暴で横着な無能君だった筈ですが、あれ、演技ですか?」

酷い言われ様だがウィリアムも分かっているからつい、笑ってしまった。

「俺、結構前から前世の記憶があったし、なんでも簡単に出来たから全てが面倒だったんだよ。おべんちゃら言う奴の相手や足を引っ張ろうとする奴の対処とかが」
「だからダメ王子っぽくしてたんですね」
「そ、イザベルの断罪を潰す方法が見つからないし、とかなり苛ついてもいたからなぁ」

成程、とすんなり理解できた。
無能だった筈のウィリアムがたった数日で腹の底まで真っ黒な、策士になった事に。
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