[完結]7回も人生やってたら無双になるって

紅月

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ダンジョンはやはり危険な場所です

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ダンジョンは転移魔法を使えばあっという間に着く場所で、今回は鬱蒼とした森の中にある比較的難易度の低い場所だ。

だが、森の中にはウサギの様な長い耳を持つカーバンクルなど危険な魔獣もおり安心は出来ない。

「カーバンクルが居ますね」

エニシダが警戒しながら息を吐いた。

「B級の、レベルは高い魔獣ですから、こちらから攻撃をしなければ大丈夫です」

額に赤い宝石を持つカーバンクルは、見た目はウサギか猫の様な愛らしい姿だが、攻撃力や魔力はあの猿型の魔獣よりも強い。
所謂、外見詐欺の魔獣だ。

「ダンジョンに入ります。お2人は剣を抜いて警戒してください」

アリッサはカーバンクルからダンジョンの入り口に目を向けて、魔法使いのローブのフードを被り直した。

アンサシアと言う木は、ダンジョンの比較的浅い階層に生えるので、手順さえ間違わなければ短時間で採取できる。

そう、出来るのだが、アンサシアは獰猛な肉食植物で、その根の採取方法がかなり特殊な為、冒険者達が採取を嫌がるので希少素材になっている。

「モルセラ様、アンサシアの採取はちょっと特殊なので、驚かないで下さい」

エニシダが申し訳なさそうに言うのが気になり、どの様に?と聞こうとした時、先を歩いているアリッサに木の根が襲い掛かるのが見えた。

「アリッサ嬢!」

最悪の事を想像し、走り出そうとするモルセラをエニシダが止めた。

「これがアンサシアの根の採取方法なんです」

エニシダ曰く、アンサシアの根を採取するにはアンサシア自身に獲物捕獲の為に根を出させる必要があり、剣を持たない囮が必要なのだ。

「し、しかし……」
「アリッサさんは完璧な防御膜を使用してますので、アンサシアの根が貫通する事はありません」

オリハルコンの錬成に必要な根は捕獲根では無く、人間の胃袋に相当する消化袋が付いている本体に近いもの。

それを踏まえてアリッサが囮として前を歩いている、と説明されモルセラは戸惑った。
エニシダが嘘や嫌がらせの為にアリッサを使っているのでは無い、と解ってもその手を振り解きそうになってしまう。

「私は剣は使えますが、アリッサさんほど強い魔力が無いので囮にはなれません」

研究の為とはいえ、何度もアリッサを危険に晒している事への罪悪感に泣きそうになっていた。

「エニシダ様、消化袋が出ます」

攻撃を受けているのにアリッサの普段と変わりない、涼しげな声にエニシダはモルセラに頭を下げ、剣を抜いて走り出した。
半透明な消化袋をブヨブヨと揺らしながら本体の根が地中から現れた。

「今回は袋ごと切り落としてください」
「はい」

防御膜に阻まれアリッサを串刺しに出来ない事に苛立っているのかアンサシアは防御膜ごと消化袋に飲み込もうと袋の口を広げている。

「捕獲根は俺が切るから、エニシダ嬢は本体を狙え」
「ありがとうございます」

出遅れたのにエニシダよりも一歩早くアリッサのもとに着いたモルセラが暴れる捕獲根を切り落とし始め、エニシダが渾身の一撃で消化袋ごと本体の根を切った。

アンサシアの根が見事に切断され、消化袋がボヨン、と跳ね中身が辺りに流れ出した。
と、同時に攻撃根は地中に潜ってアンサシアは大人しくなった。

「消化液は空気に触れると無毒になりますから触っても大丈夫です」

エニシダは手際良く消化袋を切断した根を抱え、引き摺っていく。

「俺が持つ」

モルセラがエニシダが引き摺っていた根を持ち上げるとスタスタと出口へと歩き始めた。

「アンサシア、伝言は?」

モルセラ達の姿が遠くなった時、アリッサが自分に襲い掛かったアンサシアに声を掛けた。

『……仇は打った、と』
「分かりました。完全回復は出来ませんが……」

アリッサの魔力で切断された消化袋が付いた根が再構築されて行く。

『面白い子供だ。ワシにまで温情をかけるのか?』
「自分から消化袋を見せたから、頼み事があるのでは?と思いました」

アンサシアが葉を揺らし、アリッサの言葉を肯定する。

「では失礼します」

アンサシアにもう一度、簡易的な回復魔法を掛け、地面に落ちた赤い宝石を拾った。
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