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[アリッサの奮闘記]やはり聞きたいと彼は言って来た
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[アリッサの奮闘記]
「モルセラ、やはり知りたいのだが……」
夏の休みに入った頃、エリンジウムが意を決した顔でモルセラに内務省と魔法省の醜聞の詳細を話してくれ、と言って来た。
「私より適任者がいるので、声を掛けておきます」
やっぱりな、とモルセラの目が言っているが、エリンジウムとしては詳細を確認する事は悪い事では無い、と思っていた。
数日後、1人の青年がエリンジウムの前に現れた。
短いが見事な銀髪に眼鏡の奥に深い蒼の瞳をした、何処となくアリッサに似ている。
「エリンジウム王太子殿下。彼はアリッサ嬢の兄、クレスト・リスリム伯爵令息です」
「クレスト卿、無理を言ってすまない」
ソファに座り、アリッサに似ているクレストに声を掛けると、クレストはゆったりと臣下の礼をとった。
「モルセラ卿の話では、アリッサの話とお聞きしましたが」
「そう。あの醜聞の時の話を聞きたくて」
「お時間はありますか?」
クレストの言葉にエリンジウムが首を傾げた。
「詳細を話すとなると、短くて2週間程掛かりますが」
えっ?とエリンジウムが驚くと、背後に立っているモルセラが頷いている。
「何故それ程?」
「アリッサは計画の立案、実行全てに関わっておりますので」
クレストの言葉に、聞きたいがそんなに時間は取れないとエリンジウムは考え
「出来れば、ファルシオンとの絆を見せ付けた所を聞きたいのだが、どのくらい掛かる?」
「某伯爵家の馬鹿を捕らえた時だけでしたら、1時間くらいでしょう」
1時間で終わるか?と疑問に思うがこの後予定は無いのでエリンジウムは2人をソファに座らせ、話を聞くことを決めた。
「では、某伯爵の邸宅を取り囲んでいた防御魔法の解除からお話しします」
そう言ってクレストは話を始めた。
「やたら強固な防御壁、ですか?」
カーバンクルの密猟者を捕掴した後、アリッサはファルシオンと共に密猟者の上前を刎ねていた伯爵家に来ていた。
「魔法省お墨付きの面倒な奴だ」
クレストが苦虫を噛み潰したよう顔で防御壁を睨んでいる。
「強固、ですか?師匠」
「強固だが、やり方はある」
目の前にある半透明の防御壁は煉瓦で組み上げられた、強固な壁に見える。
ファルシオンが何かをアリッサに話すとアリッサはこくん、と頷き魔法使いの杖を取り出した。
「では、魔法省の方にお伝え下さい。強固な防御壁を作りたいなら、継ぎ目のない物に、と」
えっ?と周りの者達が驚き、アリッサの背中を見ると防御壁に杖を突き立てたと同時に行く手を阻んでいた防御壁がガラガラと崩れて行く。
「漆喰で固めていないレンガの壁と同じです」
いや、それでも……、と皆の顔が言ってるがファルシオンはうんうんと頷いている。
「壁を崩したら馬鹿が逃げるからアリッサ、君の魔力で今度こそ強固な防御壁を張っておきなさい」
「はい、師匠」
良い子のお返事ですね、なんて周りがほっこりしたのも束の間、アリッサが作った壁はガラスの様な継ぎ目の無い、美しくて強固な壁だ。
「これは助かる。馬鹿が逃げ出せない」
クレストの言葉に周りは、少しは驚け、と心の中で喚いているが、誰も表には見せなかった。
「なるほど。だから魔法省の研究員が泣きながら改良に励んでいたのか」
エリンジウムがクスッと笑う。
「報奨金まで貰った物が一瞬で壊れましたから、必死ですよ」
「その研究員は悪事に加担していなかった様ですから研究は継続してます」
笑ってしまいそうなほど気の抜けた会話で、泣きながら改良している研究員に同情してしまった。
「話が逸れましたが、お陰で伯爵家に入れました」
話を戻すクレストが、真面目な顔で続きを口にした。
「モルセラ、やはり知りたいのだが……」
夏の休みに入った頃、エリンジウムが意を決した顔でモルセラに内務省と魔法省の醜聞の詳細を話してくれ、と言って来た。
「私より適任者がいるので、声を掛けておきます」
やっぱりな、とモルセラの目が言っているが、エリンジウムとしては詳細を確認する事は悪い事では無い、と思っていた。
数日後、1人の青年がエリンジウムの前に現れた。
短いが見事な銀髪に眼鏡の奥に深い蒼の瞳をした、何処となくアリッサに似ている。
「エリンジウム王太子殿下。彼はアリッサ嬢の兄、クレスト・リスリム伯爵令息です」
「クレスト卿、無理を言ってすまない」
ソファに座り、アリッサに似ているクレストに声を掛けると、クレストはゆったりと臣下の礼をとった。
「モルセラ卿の話では、アリッサの話とお聞きしましたが」
「そう。あの醜聞の時の話を聞きたくて」
「お時間はありますか?」
クレストの言葉にエリンジウムが首を傾げた。
「詳細を話すとなると、短くて2週間程掛かりますが」
えっ?とエリンジウムが驚くと、背後に立っているモルセラが頷いている。
「何故それ程?」
「アリッサは計画の立案、実行全てに関わっておりますので」
クレストの言葉に、聞きたいがそんなに時間は取れないとエリンジウムは考え
「出来れば、ファルシオンとの絆を見せ付けた所を聞きたいのだが、どのくらい掛かる?」
「某伯爵家の馬鹿を捕らえた時だけでしたら、1時間くらいでしょう」
1時間で終わるか?と疑問に思うがこの後予定は無いのでエリンジウムは2人をソファに座らせ、話を聞くことを決めた。
「では、某伯爵の邸宅を取り囲んでいた防御魔法の解除からお話しします」
そう言ってクレストは話を始めた。
「やたら強固な防御壁、ですか?」
カーバンクルの密猟者を捕掴した後、アリッサはファルシオンと共に密猟者の上前を刎ねていた伯爵家に来ていた。
「魔法省お墨付きの面倒な奴だ」
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「強固、ですか?師匠」
「強固だが、やり方はある」
目の前にある半透明の防御壁は煉瓦で組み上げられた、強固な壁に見える。
ファルシオンが何かをアリッサに話すとアリッサはこくん、と頷き魔法使いの杖を取り出した。
「では、魔法省の方にお伝え下さい。強固な防御壁を作りたいなら、継ぎ目のない物に、と」
えっ?と周りの者達が驚き、アリッサの背中を見ると防御壁に杖を突き立てたと同時に行く手を阻んでいた防御壁がガラガラと崩れて行く。
「漆喰で固めていないレンガの壁と同じです」
いや、それでも……、と皆の顔が言ってるがファルシオンはうんうんと頷いている。
「壁を崩したら馬鹿が逃げるからアリッサ、君の魔力で今度こそ強固な防御壁を張っておきなさい」
「はい、師匠」
良い子のお返事ですね、なんて周りがほっこりしたのも束の間、アリッサが作った壁はガラスの様な継ぎ目の無い、美しくて強固な壁だ。
「これは助かる。馬鹿が逃げ出せない」
クレストの言葉に周りは、少しは驚け、と心の中で喚いているが、誰も表には見せなかった。
「なるほど。だから魔法省の研究員が泣きながら改良に励んでいたのか」
エリンジウムがクスッと笑う。
「報奨金まで貰った物が一瞬で壊れましたから、必死ですよ」
「その研究員は悪事に加担していなかった様ですから研究は継続してます」
笑ってしまいそうなほど気の抜けた会話で、泣きながら改良している研究員に同情してしまった。
「話が逸れましたが、お陰で伯爵家に入れました」
話を戻すクレストが、真面目な顔で続きを口にした。
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