【完結】お父様。私、悪役令嬢なんですって。何ですかそれって。

紅月

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アルレスの独白

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もうすぐ運命の時。
新入生の属性判定が行われる。
最終学年になったアルレスは窓の外を見ながら、少し過去を振り返った。

気が付けば、何度も何度も同じ事を繰り返してきた。
どれ程抗っても結果はいつも同じ。

何故、大切に思っている彼女に毒杯を渡さなければならない?
何故、俺の側には彼女では無く頭がおかしい嘘吐き女が居るんだ?

もう、彼女を殺したく無い。
どうにかして変わらない結末を変えたくて前回は毒杯では無く、彼女を絞首刑にした。

処刑台の前で、体の自由が効かない俺は、処刑を止める事も彼女の為に泣くことも出来ない。

腕に絡みついて、彼女が死ぬ所を俺の側で嗤う女。
こいつもすぐに殺してやる。

前の時と同じように、結婚式で、こいつの幸せの絶頂の時、ミュラの毒で。

身動きできない絶望の中、細やかな抗いのお陰か今までと違い、彼女が死んだ事を彼女の家族はすぐに知った。

自分や自分以外のものがあいつの相手でもミルフィリアは断罪され、毒杯で死んでいた。
彼女の亡骸は荒野に捨てられたが、今回は家族の元に戻せた。

そして、初めて手元に残せた彼女の遺髪は俺の胸ポケットに入っている。

誰か、この繰り返しを止めてくれ。
彼女が生きる未来のために俺が死んだって構わない。

兄が病に倒れ、妹は母の権力欲の為遠くに捨てられるよう嫁がされて孤独だった俺の、たった一つの光。

誰か、ミルフィリアを助けてくれ。
また新しい時間が始まったが、この事は誰にも言えない、と思っていたのに。
始まった時間が変わり、未来が変わって行く。

兄、ゼウリスの病気が治り、もうすぐ学園に入る。
妹、テーミスが他国に嫁がなくて、俺達の側で笑っている。
そして、ミルフィリアが俺の婚約者になっていない。

俺は全てを話そうと兄、ゼウリスに面会を求めた。
まだ何も始まっていない今なら何かしらの手が打てるかもしれない。

信じてもらえなくても良い。
世迷言を言う奴だと思われても良い。
何一つ変わらなかった未来が、少しずつ変わって行くのが嬉しいから。

「驚くべき事実だ」

ゼウリスがアルレスの話に、苦い顔をした。

「信じてくださるのですね。良かった」

ホッと安堵の息を吐き、アルレスが潤んだ目でゼウリスを見詰めた。

「この話、トーラス侯爵にも話す」

まだ数年あるがこれから通う学園でエリスがミルフィリアに接触した時のことを考えたゼウリスは、今後の対策の為にもトーラス侯爵達と情報を共有しておきたかった。
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