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帰還
11-2.
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*****
城門が視界に入る頃、サンザの腕の力はさらに強まった。
馬が速度を落とし、城の中庭へ駆け込むと、サンザはレオを馬から引きずり下ろした。
「お前はわたしの物だと何度言い聞かせれば理解するんだ? たとえ異国に逃げようと、そこが地の果てだろうと、わたしはどこまでもお前を追って探し出し、必ず連れ戻すぞ」
サンザはレオの顎を鷲掴みにし、怒りとも愛しさともつかぬ感情を宿した瞳で射抜いた。
そのままサンザはレオの腕を掴み、人目も憚らず、足早に自室へと引きずっていく。
そして寝室の扉が閉まるや否や、奥の浴室へと乱暴に放り込んだ。
冷たいタイルがレオの背中を打つ。
頭上から湯が叩きつけられ、サンザの手が容赦なくレオの衣服を引き裂いた。
「今は時間がない。優しくしてやる余裕もない。我慢しろ」
湯気の立ち込める浴室で、サンザの声は低く響いた。
「これは罰だ。またわたしから逃げようとするとどうなるか、その身体に刻み込め」
抵抗する隙も与えられないまま、レオの薄い身体は壁に縫い付けられ、脚を強引に開かれる。おざなりに解したそこを容赦なく貫かれる。
サンザが動くたびに激しい痛みが脳まで突き抜けて、レオは声にならない悲鳴を上げた。
頬をつたう雫は、涙なのか、湯なのか、レオ自身にも分からない。
サンザは満足すると、荒い息を吐きながらレオの耳元に囁いた。
「わたしが戻るまで、おとなしくしていろ」
湯気が薄れていく気配だけが静かに漂う。
サンザの足音が遠ざかっても、レオは浴槽に蹲り、まるで時間から取り残されたように動けなかった。
*****
生誕祭を終えたその日、サンザの寝室は甘い混沌と溺れるような熱で満ちていた。
サンザの愛撫は朝から晩まで執拗に繰り返され、ふたりが吐き出した粘りつく体液でレオの身体はどろどろに汚れたままだった。
サンザは国王としての公務をすべて放り出し、食事とトイレのとき以外はベッドから降りず、ひたすらレオを抱き続けた。
扉の外から側近たちが何度も謁見を促す声を上げても、サンザは耳を貸す意思すらもたなかった。
即位してから、いや、生まれてこのかた、これほどまでに怠惰で、心身ともに幸福に溺れた一日を過ごしたのは初めてだった。
半ば眠りに落ちかけたような恍惚とした表情で、サンザはぽつりとつぶやいた。
「幸せというものは、案外、こういうものなのかもしれんな」
自身の性器をレオの身体深くに埋めたまま、内側から伝わる確かな温かさを味わいながら。
「今日を空けるために、仕事のスケジュールを無理に明日へ回したんだ。明日は朝から夜まで分刻みだぞ。おまえのせいだ」
恨み節をこぼしながらも、口元にはかすかな笑みが滲んでいた。
そっと濡れた唇に口づける。その仕草には先ほどまでの荒々しさとは違う、甘い余韻を含んでいる。
「お前の中は温かいな……疲れたから少し眠りたい」
サンザはレオの中にひときわ深く沈み込み、目を閉じた。
「もしまた逃げれば、今度こそ私は、お前の家族や親しい者に手をかけざるを得なくなる。覚えておけ」
静かな脅し。しかし、微睡みに落ちる寸前につぶやいたのは、ひとりの人間としての弱さだった。
「もうどこにも行くな、レオ……」
城門が視界に入る頃、サンザの腕の力はさらに強まった。
馬が速度を落とし、城の中庭へ駆け込むと、サンザはレオを馬から引きずり下ろした。
「お前はわたしの物だと何度言い聞かせれば理解するんだ? たとえ異国に逃げようと、そこが地の果てだろうと、わたしはどこまでもお前を追って探し出し、必ず連れ戻すぞ」
サンザはレオの顎を鷲掴みにし、怒りとも愛しさともつかぬ感情を宿した瞳で射抜いた。
そのままサンザはレオの腕を掴み、人目も憚らず、足早に自室へと引きずっていく。
そして寝室の扉が閉まるや否や、奥の浴室へと乱暴に放り込んだ。
冷たいタイルがレオの背中を打つ。
頭上から湯が叩きつけられ、サンザの手が容赦なくレオの衣服を引き裂いた。
「今は時間がない。優しくしてやる余裕もない。我慢しろ」
湯気の立ち込める浴室で、サンザの声は低く響いた。
「これは罰だ。またわたしから逃げようとするとどうなるか、その身体に刻み込め」
抵抗する隙も与えられないまま、レオの薄い身体は壁に縫い付けられ、脚を強引に開かれる。おざなりに解したそこを容赦なく貫かれる。
サンザが動くたびに激しい痛みが脳まで突き抜けて、レオは声にならない悲鳴を上げた。
頬をつたう雫は、涙なのか、湯なのか、レオ自身にも分からない。
サンザは満足すると、荒い息を吐きながらレオの耳元に囁いた。
「わたしが戻るまで、おとなしくしていろ」
湯気が薄れていく気配だけが静かに漂う。
サンザの足音が遠ざかっても、レオは浴槽に蹲り、まるで時間から取り残されたように動けなかった。
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生誕祭を終えたその日、サンザの寝室は甘い混沌と溺れるような熱で満ちていた。
サンザの愛撫は朝から晩まで執拗に繰り返され、ふたりが吐き出した粘りつく体液でレオの身体はどろどろに汚れたままだった。
サンザは国王としての公務をすべて放り出し、食事とトイレのとき以外はベッドから降りず、ひたすらレオを抱き続けた。
扉の外から側近たちが何度も謁見を促す声を上げても、サンザは耳を貸す意思すらもたなかった。
即位してから、いや、生まれてこのかた、これほどまでに怠惰で、心身ともに幸福に溺れた一日を過ごしたのは初めてだった。
半ば眠りに落ちかけたような恍惚とした表情で、サンザはぽつりとつぶやいた。
「幸せというものは、案外、こういうものなのかもしれんな」
自身の性器をレオの身体深くに埋めたまま、内側から伝わる確かな温かさを味わいながら。
「今日を空けるために、仕事のスケジュールを無理に明日へ回したんだ。明日は朝から夜まで分刻みだぞ。おまえのせいだ」
恨み節をこぼしながらも、口元にはかすかな笑みが滲んでいた。
そっと濡れた唇に口づける。その仕草には先ほどまでの荒々しさとは違う、甘い余韻を含んでいる。
「お前の中は温かいな……疲れたから少し眠りたい」
サンザはレオの中にひときわ深く沈み込み、目を閉じた。
「もしまた逃げれば、今度こそ私は、お前の家族や親しい者に手をかけざるを得なくなる。覚えておけ」
静かな脅し。しかし、微睡みに落ちる寸前につぶやいたのは、ひとりの人間としての弱さだった。
「もうどこにも行くな、レオ……」
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