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EP1 狐と新緑5 始まりの終わり
グリーゾス
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「驍ェ鬲斐□?√↑繧薙□縺薙l縺ッ縺」?∵ョコ縺呻シ√≠縺?▽繧峨°縲√%繧阪☆?」
絶叫に近い咆哮。それとほぼ同時にいくつもの爆発音とガラガラと崩れる音が耳に届く。
「……手筈通りにやれよ」
「わーってるよ」
「はいっ!」
俺と夏輝は廃屋の屋上から脚力強化の魔法を使いながら軽快に飛び降りる。瑞雪から可能な限り遠ざけ、注意を惹かなければならない。
腕に巻いたロザリオはしっかりとした造りではあったが、さっき耐久テストで俺が思い切り叩いたら弾けたので、本当に心ばかりの効果しかないらしい。
あるだけじゃらじゃらと腕に巻き、俺と夏輝は互いに構え竜の元へと駆けていく。
「いつも不意打ちされてたからな、今回はこっちも準備してるんだ、よっ!」
俺達がある程度近づいたところで竜もこちらに気づき、俺に向かって真っすぐ走ってくる。相変わらずのスピードで、俺達は左右の道へと分かれる。
今日の夏輝は指輪は当然つけているが、白い服は着ていない。つまり、共鳴している俺の方を優先的に狙うということだ。
『予測通りラテアの方に行ってるわ!』
トロンのナビとともに竜が腕を振り上げ、思い切り地面に叩きつける。
「風の刃っ!」
コンクリートが割れ、瓦礫が飛び散る。超高速で叩き割られたせいで瓦礫が勢いのままに四方へと飛び散る。当然俺達にも大量の瓦礫が襲い掛かり、夏輝がそれを突風で払う。
勢いを殺しきれなかった瓦礫がコンクリートへとぶつかり、さらに細かく砕けた。
「炎よ、炎よ、炎よっ!」
耳と尾の毛を逆立てながら、手をかざし火の玉を走りながらばらまくように飛ばす。指向性もなにもない言葉の詠唱だけの魔法。
どうせ威力なんてたかが知れている。ただ、時間が稼げればそれでよかった。
竜は巨大な赤子のように体中の筋肉を使い、我武者羅に隻腕を振り回し、脚でこちらを蹴っ飛ばそうとする。翼は一つはばたくだけで突風を生む。
「腕を片方瑞雪が持って行ってくれて助かった、な!」
狭い廃墟の中で踊るように逃げる。あわよくば生き埋めを狙う瑞雪の作戦だった。
動きが止まればその上からさらに攻撃魔法で追い討ちをかける。まあ、そんなことは多分難しいのだろうが。
だって廃墟を崩しては別の建物に移動を繰り返しているが、奴が衰える気配はまるで見えない!
ただ、瑞雪がこの間の一撃で腕を片方捥いだおかげで奴の攻撃範囲は確実に狭くなっている。
「うん……!おかげでまだ対応ができ、るっ!トロン、あっちの建物にいくから瑞雪さんにルートの通知をお願い!」
少しずつ、少しずつ。俺が攻撃を受け、夏輝が少し休み、今度は逆。その繰り返し。
罠へ誘導しつつ、力を削いで瑞雪の攻撃する時間を稼ぐという寸法。むしろそれしか勝機がない。
『瑞雪の攻撃魔法がもう少しで詠唱完了するって!建物の外に誘導お願い!』
俺たちの耳に吉報が届く。先ほどのルートを切り替え、大通りへと出るルートを取る。
すでに夜はすっかり明けており、初春特有の爽やかな日差しが降り注ぐ。
崩された廃墟の瓦礫で土埃と細かな破片が舞い、キラキラと輝くさまはこの場に酷く不釣り合いだった。
俺たちの背後で建物ががらがらと崩壊する。周辺に人間がいないというのは気楽なものだ。命の危険がなければなおのこといい。
路上には罠は仕掛けていない。万が一一般人を巻き込んでしまった場合がヤバいからだ。狂って尚、フラついて尚俺と夏輝の全速力より直線を走るのは竜のほうが速い。
追いつかれないようには周囲の廃墟に出たり入ったり、蛇行しつつ走るしか、ない。
『雷の槍が発射されたわ、間違っても当たらないように注意なさい!』
トロンの叫びとともに雷の轟く音。俺と夏輝は瑞雪の攻撃に当たらないように上空に気を配る。一呼吸分の時間を置いて、空から蒼白く輝く雷の槍が竜に向かって降ってくる。
竜は瞬時に反応、しかし逃がさないように俺と夏輝で左右を塞ぐ。風と炎を目くらましに、視界も塞ぎ行動範囲を狭くする。
「縺?◆縺?▲縺?◆縺?>縺溘>縺?◆縺?▲?」
ごぼりと竜の口から泥のような血の塊が吐き出される。槍は見事に竜の下腹部に刺さっていた。バチバチと強烈な電流がほとばしり、竜が苦鳴を上げる。
しかし、致命傷には至らない。あの時みたいな一撃で全てを持っていくようなレベルの魔法を詠唱するにはあまりにも時間が足りな過ぎた。
「夏輝、今のうちにボコるぞ!」
「うんっ……!」
短剣を、爪を腕力強化で強化された腕で振り下ろす。度重なる交戦で、肌の上に散らばる艶やかだったはずの鱗は最早見る影もなくボロボロだ。
ひび割れた肌からは濁った血液が零れ落ちている。
『第二射準備中!』
口や腹部からどろどろと血を流す竜。何回か相まみえてやっと手傷をまともに負わせることが出来た瞬間だった。
このまま押し切れる!希望が見えてきて、興奮から心臓が早鐘を打つ。
「繧?a繧阪?√←縺薙°繧峨≧縺」縺ヲ縺?k?√◎縺薙°縺」?」
二射、三射と瑞雪の雷が竜を打ち抜く。腕、肩と貫くが、致命傷には至らない。
細かく観察すればわかるが、竜は絶妙に被弾箇所が致命傷に至る部分からズレるように動いていた。しかも、それどころか。
「おい、どこ行くんだお前っ!」
何発か攻撃を受けた竜が突如くるりと俺達に背を向ける。
見据えた先は、高所ー瑞雪のいる建物の屋上だった。
「ヤバい、瑞雪さんのいるところっ!」
瑞雪のいる建物に行くには何度か道を曲がったりして遠回りをしなければ本来たどり着けない。はずだった。
「縺ソ縺?▽縺代◆縺√≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゑシ」
空を飛べなかろうが関係ない。そう言わんばかりに竜は自前の身体能力を生かし、壁を駆けあがり、最短距離を突っ走る。やばい、普通に走ったら追いつけない!
頬をだらりと冷や汗が伝う。瑞雪は俺達よりよっぽど強いが、バリバリの後衛タイプ。俺達でやっとなんとか対応できるくらいのスピードと人体を片手で潰せるような腕力を持った化け物相手にはあまりにも分が悪すぎた。
「ラテア、こっち!」
一歩後ろを走っている夏輝から声が届く。振り返ると、夏輝は短剣をぎゅっと握りしめ何か魔法を詠唱していた。
「決まった形じゃなくて、イメージをもとに組み上げるのが魔法なら、これだって……!」
ぶわりと突風が地面から巻き起こる。人間なんて簡単に吹き飛ばしてしまいそうなほどの強い風。
夏輝は俺の腕を掴み、その風に乗って空へと舞いあがった。
ビルの上に着地し、そこからさらに側面を伝い、飛ぶ。ああ、脚力強化の魔法を間違って切らしたら死ぬなあと他人事のように思う。
けれど、おかげで竜とはつかず離れずの距離を保つことが出来た。
『瑞雪、瑞雪!そっちに竜が向かってるわ、こっちも追いかけているけれど!詠唱を中断して迎撃態勢を整えて!』
未だ竜の動きは鈍らない。血を流し続け、治癒魔法を発動している気配もないのに、この馬鹿体力め!おかしくなったとはいえ、これが竜のスペックなのだと思うと変な笑いが漏れそうになる。
これで魔法やブレスが使えたらどれだけの強さなのだろう。
そして見えてくる瑞雪のいる建物。瑞雪が習得している身体強化魔法は腕力強化だけ。ビルの屋上から飛び降りて逃げることなんてできないわけで。
「もう来やがったか……くそったれめ」
屋上で戦ってビルの崩落に巻き込まれれば絶対に死ぬと判断したのだろう。瑞雪はビルを駆け下りていた。
瑞雪の周囲でバチバチとイオが跳ねる。詠唱しながら逃げているようだった。
「止まれ、止まれってば!」
夏輝が風の刃を竜の無防備な背中に向かって打ち込む。かすり傷程度はついているが、竜に脅威だと思わせるようなパワーは、ない。
竜はそのまま瑞雪のいたビルを突き崩し、地表へと降りていく。瓦礫が吹き荒れる合間から、舗装された道路を走る瑞雪の姿が確認できた。どうにか地表までは降りられたようだった。
でも、俺達のスピードでは竜より先に瑞雪の元へたどり着くことはできない。当然瑞雪はあと数秒で竜に追いつかれる。
「チッ、間に合わねえか」
瑞雪はそう呟くと足を止め、振り返る。その手には弓。指輪が強く輝き、血を吸い上げる。マナタブレットをかみ砕き、イオをさらに練り上げる。
周囲のイオの色が蒼から美しい薄氷色へと変わる。雷から氷への転換だった。氷の盾を発動するのだろうか。
「貫け 飲み込め 氷の柱っ!(ピアシング スワロウ グラキエラ)」
矢を地面へと打ち込む。すると何本もの巨大な氷柱が竜を迎え撃つように顕現し、伸びる。
全身を柱で貫かれながら、竜はそれでも止まらない。
「っが、ぐ……っ!」
翼と尻尾で氷柱を砕き、払いつつ前進する。伸びる爪が瑞雪を貫き、そのまま腕を薙ぎコンクリートの壁へと叩きつけられた。
血反吐を吐き、目を見開く瑞雪。つけていたロザリオがパキン、といともたやすく砕ける。下腹部が真っ赤に染まり、ぽたぽたと地面に染みを作る。
「瑞雪さんっ!」
「瑞雪っ!」
俺と夏輝の悲鳴じみた叫びがこだました。
絶叫に近い咆哮。それとほぼ同時にいくつもの爆発音とガラガラと崩れる音が耳に届く。
「……手筈通りにやれよ」
「わーってるよ」
「はいっ!」
俺と夏輝は廃屋の屋上から脚力強化の魔法を使いながら軽快に飛び降りる。瑞雪から可能な限り遠ざけ、注意を惹かなければならない。
腕に巻いたロザリオはしっかりとした造りではあったが、さっき耐久テストで俺が思い切り叩いたら弾けたので、本当に心ばかりの効果しかないらしい。
あるだけじゃらじゃらと腕に巻き、俺と夏輝は互いに構え竜の元へと駆けていく。
「いつも不意打ちされてたからな、今回はこっちも準備してるんだ、よっ!」
俺達がある程度近づいたところで竜もこちらに気づき、俺に向かって真っすぐ走ってくる。相変わらずのスピードで、俺達は左右の道へと分かれる。
今日の夏輝は指輪は当然つけているが、白い服は着ていない。つまり、共鳴している俺の方を優先的に狙うということだ。
『予測通りラテアの方に行ってるわ!』
トロンのナビとともに竜が腕を振り上げ、思い切り地面に叩きつける。
「風の刃っ!」
コンクリートが割れ、瓦礫が飛び散る。超高速で叩き割られたせいで瓦礫が勢いのままに四方へと飛び散る。当然俺達にも大量の瓦礫が襲い掛かり、夏輝がそれを突風で払う。
勢いを殺しきれなかった瓦礫がコンクリートへとぶつかり、さらに細かく砕けた。
「炎よ、炎よ、炎よっ!」
耳と尾の毛を逆立てながら、手をかざし火の玉を走りながらばらまくように飛ばす。指向性もなにもない言葉の詠唱だけの魔法。
どうせ威力なんてたかが知れている。ただ、時間が稼げればそれでよかった。
竜は巨大な赤子のように体中の筋肉を使い、我武者羅に隻腕を振り回し、脚でこちらを蹴っ飛ばそうとする。翼は一つはばたくだけで突風を生む。
「腕を片方瑞雪が持って行ってくれて助かった、な!」
狭い廃墟の中で踊るように逃げる。あわよくば生き埋めを狙う瑞雪の作戦だった。
動きが止まればその上からさらに攻撃魔法で追い討ちをかける。まあ、そんなことは多分難しいのだろうが。
だって廃墟を崩しては別の建物に移動を繰り返しているが、奴が衰える気配はまるで見えない!
ただ、瑞雪がこの間の一撃で腕を片方捥いだおかげで奴の攻撃範囲は確実に狭くなっている。
「うん……!おかげでまだ対応ができ、るっ!トロン、あっちの建物にいくから瑞雪さんにルートの通知をお願い!」
少しずつ、少しずつ。俺が攻撃を受け、夏輝が少し休み、今度は逆。その繰り返し。
罠へ誘導しつつ、力を削いで瑞雪の攻撃する時間を稼ぐという寸法。むしろそれしか勝機がない。
『瑞雪の攻撃魔法がもう少しで詠唱完了するって!建物の外に誘導お願い!』
俺たちの耳に吉報が届く。先ほどのルートを切り替え、大通りへと出るルートを取る。
すでに夜はすっかり明けており、初春特有の爽やかな日差しが降り注ぐ。
崩された廃墟の瓦礫で土埃と細かな破片が舞い、キラキラと輝くさまはこの場に酷く不釣り合いだった。
俺たちの背後で建物ががらがらと崩壊する。周辺に人間がいないというのは気楽なものだ。命の危険がなければなおのこといい。
路上には罠は仕掛けていない。万が一一般人を巻き込んでしまった場合がヤバいからだ。狂って尚、フラついて尚俺と夏輝の全速力より直線を走るのは竜のほうが速い。
追いつかれないようには周囲の廃墟に出たり入ったり、蛇行しつつ走るしか、ない。
『雷の槍が発射されたわ、間違っても当たらないように注意なさい!』
トロンの叫びとともに雷の轟く音。俺と夏輝は瑞雪の攻撃に当たらないように上空に気を配る。一呼吸分の時間を置いて、空から蒼白く輝く雷の槍が竜に向かって降ってくる。
竜は瞬時に反応、しかし逃がさないように俺と夏輝で左右を塞ぐ。風と炎を目くらましに、視界も塞ぎ行動範囲を狭くする。
「縺?◆縺?▲縺?◆縺?>縺溘>縺?◆縺?▲?」
ごぼりと竜の口から泥のような血の塊が吐き出される。槍は見事に竜の下腹部に刺さっていた。バチバチと強烈な電流がほとばしり、竜が苦鳴を上げる。
しかし、致命傷には至らない。あの時みたいな一撃で全てを持っていくようなレベルの魔法を詠唱するにはあまりにも時間が足りな過ぎた。
「夏輝、今のうちにボコるぞ!」
「うんっ……!」
短剣を、爪を腕力強化で強化された腕で振り下ろす。度重なる交戦で、肌の上に散らばる艶やかだったはずの鱗は最早見る影もなくボロボロだ。
ひび割れた肌からは濁った血液が零れ落ちている。
『第二射準備中!』
口や腹部からどろどろと血を流す竜。何回か相まみえてやっと手傷をまともに負わせることが出来た瞬間だった。
このまま押し切れる!希望が見えてきて、興奮から心臓が早鐘を打つ。
「繧?a繧阪?√←縺薙°繧峨≧縺」縺ヲ縺?k?√◎縺薙°縺」?」
二射、三射と瑞雪の雷が竜を打ち抜く。腕、肩と貫くが、致命傷には至らない。
細かく観察すればわかるが、竜は絶妙に被弾箇所が致命傷に至る部分からズレるように動いていた。しかも、それどころか。
「おい、どこ行くんだお前っ!」
何発か攻撃を受けた竜が突如くるりと俺達に背を向ける。
見据えた先は、高所ー瑞雪のいる建物の屋上だった。
「ヤバい、瑞雪さんのいるところっ!」
瑞雪のいる建物に行くには何度か道を曲がったりして遠回りをしなければ本来たどり着けない。はずだった。
「縺ソ縺?▽縺代◆縺√≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゑシ」
空を飛べなかろうが関係ない。そう言わんばかりに竜は自前の身体能力を生かし、壁を駆けあがり、最短距離を突っ走る。やばい、普通に走ったら追いつけない!
頬をだらりと冷や汗が伝う。瑞雪は俺達よりよっぽど強いが、バリバリの後衛タイプ。俺達でやっとなんとか対応できるくらいのスピードと人体を片手で潰せるような腕力を持った化け物相手にはあまりにも分が悪すぎた。
「ラテア、こっち!」
一歩後ろを走っている夏輝から声が届く。振り返ると、夏輝は短剣をぎゅっと握りしめ何か魔法を詠唱していた。
「決まった形じゃなくて、イメージをもとに組み上げるのが魔法なら、これだって……!」
ぶわりと突風が地面から巻き起こる。人間なんて簡単に吹き飛ばしてしまいそうなほどの強い風。
夏輝は俺の腕を掴み、その風に乗って空へと舞いあがった。
ビルの上に着地し、そこからさらに側面を伝い、飛ぶ。ああ、脚力強化の魔法を間違って切らしたら死ぬなあと他人事のように思う。
けれど、おかげで竜とはつかず離れずの距離を保つことが出来た。
『瑞雪、瑞雪!そっちに竜が向かってるわ、こっちも追いかけているけれど!詠唱を中断して迎撃態勢を整えて!』
未だ竜の動きは鈍らない。血を流し続け、治癒魔法を発動している気配もないのに、この馬鹿体力め!おかしくなったとはいえ、これが竜のスペックなのだと思うと変な笑いが漏れそうになる。
これで魔法やブレスが使えたらどれだけの強さなのだろう。
そして見えてくる瑞雪のいる建物。瑞雪が習得している身体強化魔法は腕力強化だけ。ビルの屋上から飛び降りて逃げることなんてできないわけで。
「もう来やがったか……くそったれめ」
屋上で戦ってビルの崩落に巻き込まれれば絶対に死ぬと判断したのだろう。瑞雪はビルを駆け下りていた。
瑞雪の周囲でバチバチとイオが跳ねる。詠唱しながら逃げているようだった。
「止まれ、止まれってば!」
夏輝が風の刃を竜の無防備な背中に向かって打ち込む。かすり傷程度はついているが、竜に脅威だと思わせるようなパワーは、ない。
竜はそのまま瑞雪のいたビルを突き崩し、地表へと降りていく。瓦礫が吹き荒れる合間から、舗装された道路を走る瑞雪の姿が確認できた。どうにか地表までは降りられたようだった。
でも、俺達のスピードでは竜より先に瑞雪の元へたどり着くことはできない。当然瑞雪はあと数秒で竜に追いつかれる。
「チッ、間に合わねえか」
瑞雪はそう呟くと足を止め、振り返る。その手には弓。指輪が強く輝き、血を吸い上げる。マナタブレットをかみ砕き、イオをさらに練り上げる。
周囲のイオの色が蒼から美しい薄氷色へと変わる。雷から氷への転換だった。氷の盾を発動するのだろうか。
「貫け 飲み込め 氷の柱っ!(ピアシング スワロウ グラキエラ)」
矢を地面へと打ち込む。すると何本もの巨大な氷柱が竜を迎え撃つように顕現し、伸びる。
全身を柱で貫かれながら、竜はそれでも止まらない。
「っが、ぐ……っ!」
翼と尻尾で氷柱を砕き、払いつつ前進する。伸びる爪が瑞雪を貫き、そのまま腕を薙ぎコンクリートの壁へと叩きつけられた。
血反吐を吐き、目を見開く瑞雪。つけていたロザリオがパキン、といともたやすく砕ける。下腹部が真っ赤に染まり、ぽたぽたと地面に染みを作る。
「瑞雪さんっ!」
「瑞雪っ!」
俺と夏輝の悲鳴じみた叫びがこだました。
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