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EP3 復讐の黄金比4 秘されたモノ
偶然の再会
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「え、知り合い?」
「知り合いっスか?」
俺と緑髪がほぼ同時に言葉を口にする。
エヴァンと呼ばれた男はわなわなと戦慄きつつロセを凝視している。
一方のロセは普段通りの態度を崩さない。
「うん。私が童貞奪っちゃった人♡」
くすくす。
ロセが蠱惑的な笑みを浮かべながらあほなことを抜かす。
いや、あながちあほなことでもないのかもしれない。
だって、エヴァンは口をぱくぱくさせながら顔を真っ赤にしてフリーズしていたからだ。
緑髪はと言えば、目玉が飛び出そうなくらい目を大きく見開き、口もぽかんと開けっ放し。
なんとも情けない面構えである。
「あは、まあ私のファンってところかな」
「あ、そう……」
俺の口からは何とも言えない、微妙な声音が飛び出した。
実際さ、なんて返せばいいんだよ!
俺とロセはそうだけど、逆にエヴァンと緑髪はそうでもないらしい。
「どどどどどどどういうことっスか!?エヴァン先輩!」
「……うるせえよ、ヴェルデ。つうか適当にお前は席に座ってろ」
喚き散らす緑髪、基ヴェルデ。
エヴァンはヴェルデに見向きもせず、こちらへとつかつかと歩み寄ってくる。
「ロセ……会いたかった」
「ふふ、久しぶりだねエヴァン。何年ぶりだっけ、忘れちゃった」
「七年ぶりだ」
エヴァンは俺の事になんて目もくれず、ロセしか見えないとでもいうようにじぃっと熱っぽいどころか熱すぎる視線を送っている。
なんなら跪いて手でも握りそうな勢いだ。
「なあ、こいつっていつもこうなの?」
「違うっス……俺の知ってる先輩はもっといつも冷静で、クールで……こんなの、こんなのエヴァン先輩じゃないッス……!」
ヴェルデに目を向けて問えば、ぶんぶんと首を横に振っている。
哀れなことに酷く憔悴していた。
そんなヴェルデに八潮がアイスティーをそっと出した。
「あ、ありがとうございますッス」
「いえいえ」
八潮の気配りが光る。
俺はロセの席に一緒に居づらくなり、お盆を持ってヴェルデの座った席の方へと移動した。
「ロセさんでしたっけ……彼?彼女?はいつもこうなんスか?」
「おう。あいつはいつも通りだぜ」
「あ、マスター!オムライスランチを一つお願いするッス」
俺とヴェルデは傍観者に徹することを決め、二人の様子を見守る。
オムライスもいいな、美味そう……。
今度はオムライスを頼もう。うん。
「日本でモデルをしていると聞いて……君の出ている雑誌は全部買った」
「私を追いかけてきてくれたの?」
「ああ」
従順な犬のように、ロセに聞かれるとエヴァンはこくりと首を縦に振った。
まさに大型犬って感じに見える、けど。
「ロセ、この後ひ」
と、そんな風にデートのお誘いをしようとしたところで再び扉に備え付けられた鈴がちりんちりんといい音を立てた。
その音は断続的に続きばたばたと荒い足音が続く。
「おい!ここにラテアっていう狐の獣人がいるだろ?大人しく出せよぉっ!」
「大人しく出せばこの店に手を出さないでやる!」
「ラテアはどいつだ?ん?」
入ってきたのは団体様。
日本人の他にも違う人種も混ざっている。
カタコトの日本語やら流ちょうな日本語やら、あるいは聞いたことのない言語だったりと様々だ。
一つ言えるのはそいつらが殺気立っていて、俺を探しているということだった。
「なんだぁ……?」
ロセに対してとは全く異なるドスの効いた声音。
エヴァンはぎろりと小心者なら裸足で逃げだしそうな威圧感を全身から出している。
カフェの中にいた客たちはなんだなんだと皆注目していた。
昼間のここは羊飼いたちの集まる場ではなく、ただの一般人向けのカフェなのだ。
どうすべきか考えあぐね、ロセを見る。
しかし、ロセはちんぴら、ごろつきどもを気の毒そうな目で見ていた。
「やれやれ、ここではお行儀よくルールに従わなければならないと、ちゃんと書かれているはずなのですが」
立ち上がったのは俺でもロセでもエヴァンでもなく、八潮だった。
「知り合いっスか?」
俺と緑髪がほぼ同時に言葉を口にする。
エヴァンと呼ばれた男はわなわなと戦慄きつつロセを凝視している。
一方のロセは普段通りの態度を崩さない。
「うん。私が童貞奪っちゃった人♡」
くすくす。
ロセが蠱惑的な笑みを浮かべながらあほなことを抜かす。
いや、あながちあほなことでもないのかもしれない。
だって、エヴァンは口をぱくぱくさせながら顔を真っ赤にしてフリーズしていたからだ。
緑髪はと言えば、目玉が飛び出そうなくらい目を大きく見開き、口もぽかんと開けっ放し。
なんとも情けない面構えである。
「あは、まあ私のファンってところかな」
「あ、そう……」
俺の口からは何とも言えない、微妙な声音が飛び出した。
実際さ、なんて返せばいいんだよ!
俺とロセはそうだけど、逆にエヴァンと緑髪はそうでもないらしい。
「どどどどどどどういうことっスか!?エヴァン先輩!」
「……うるせえよ、ヴェルデ。つうか適当にお前は席に座ってろ」
喚き散らす緑髪、基ヴェルデ。
エヴァンはヴェルデに見向きもせず、こちらへとつかつかと歩み寄ってくる。
「ロセ……会いたかった」
「ふふ、久しぶりだねエヴァン。何年ぶりだっけ、忘れちゃった」
「七年ぶりだ」
エヴァンは俺の事になんて目もくれず、ロセしか見えないとでもいうようにじぃっと熱っぽいどころか熱すぎる視線を送っている。
なんなら跪いて手でも握りそうな勢いだ。
「なあ、こいつっていつもこうなの?」
「違うっス……俺の知ってる先輩はもっといつも冷静で、クールで……こんなの、こんなのエヴァン先輩じゃないッス……!」
ヴェルデに目を向けて問えば、ぶんぶんと首を横に振っている。
哀れなことに酷く憔悴していた。
そんなヴェルデに八潮がアイスティーをそっと出した。
「あ、ありがとうございますッス」
「いえいえ」
八潮の気配りが光る。
俺はロセの席に一緒に居づらくなり、お盆を持ってヴェルデの座った席の方へと移動した。
「ロセさんでしたっけ……彼?彼女?はいつもこうなんスか?」
「おう。あいつはいつも通りだぜ」
「あ、マスター!オムライスランチを一つお願いするッス」
俺とヴェルデは傍観者に徹することを決め、二人の様子を見守る。
オムライスもいいな、美味そう……。
今度はオムライスを頼もう。うん。
「日本でモデルをしていると聞いて……君の出ている雑誌は全部買った」
「私を追いかけてきてくれたの?」
「ああ」
従順な犬のように、ロセに聞かれるとエヴァンはこくりと首を縦に振った。
まさに大型犬って感じに見える、けど。
「ロセ、この後ひ」
と、そんな風にデートのお誘いをしようとしたところで再び扉に備え付けられた鈴がちりんちりんといい音を立てた。
その音は断続的に続きばたばたと荒い足音が続く。
「おい!ここにラテアっていう狐の獣人がいるだろ?大人しく出せよぉっ!」
「大人しく出せばこの店に手を出さないでやる!」
「ラテアはどいつだ?ん?」
入ってきたのは団体様。
日本人の他にも違う人種も混ざっている。
カタコトの日本語やら流ちょうな日本語やら、あるいは聞いたことのない言語だったりと様々だ。
一つ言えるのはそいつらが殺気立っていて、俺を探しているということだった。
「なんだぁ……?」
ロセに対してとは全く異なるドスの効いた声音。
エヴァンはぎろりと小心者なら裸足で逃げだしそうな威圧感を全身から出している。
カフェの中にいた客たちはなんだなんだと皆注目していた。
昼間のここは羊飼いたちの集まる場ではなく、ただの一般人向けのカフェなのだ。
どうすべきか考えあぐね、ロセを見る。
しかし、ロセはちんぴら、ごろつきどもを気の毒そうな目で見ていた。
「やれやれ、ここではお行儀よくルールに従わなければならないと、ちゃんと書かれているはずなのですが」
立ち上がったのは俺でもロセでもエヴァンでもなく、八潮だった。
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