俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ

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初等部編

13.イドラス学園入学式、そして再会

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ゲスン伯爵が処刑された。

暫くはこの話題で社交界も下町も持ちきりだった。

そして春、初等部の入学式が迫っていた。

あれからお父様にオブシディアンのことを話したら年齢操作もできるのかとビックリしていた。

それならばと一緒に初等部に通うことを許され、その事を陛下に伝えて戸籍を偽装し、バードナー家の親戚筋の子供だと言うことにした。

オブシディアンはそんな事しなくても記憶操作すれば良いと言っていたけど、それは俺の良心が痛むので辞めてくれとお願いした。

初等部は家でも寮でもどちらからでも通えるのだが、メイルが寮を選んだ為、側近候補は皆寮生活だ。

これにはお父様が泣いていた。

でもオブシディアンと同室だから安心してくれと言ったらそれが安心できないのだと言っていた。そしたらオブシディアンが殺気をお父様に飛ばしたので慌ててオブシディアンをなだめるはめになった。

勘弁してくれ。

そんなこんなでグダグダと準備が進み、入学式当日になった。

俺も7歳になった。

身長も伸びたし髪も元通りの長さになった。
眼帯は相変わらずだが外したらオブシディアンに怒られるのでずっとつけている。

藍色の制服を着込みオブシディアンと二人玄関に立つ。

「オブシディアン殿、くれぐれも、くれぐれもイズを頼みます。イズも無理しない様に。長期休暇は帰ってくるんだぞ?」

「言われるまでもない」

「勿論ですお父様!お父様も無理したらダメですよ!」

「イズ、本当に大丈夫かしら、わたくし心配だわ!」

「お母様!心配しなくても大丈夫です!俺はしっかりちゃらんぽらんを演じます!それにオブシディアンも居ますし!」

まぁ、両親はそれが一番心配なのだろうけど。

「坊っちゃま、そろそろお時間です。」

「ああ、セバス。ではお父様、お母様、屋敷のみんな、行ってきます!」

「「行ってらっしゃい」」

「「「「行ってらっしゃいませ」」」」


みんなの言葉を背に俺とオブシディアンは馬車に乗り込んだ。

「今日からオブシディアンはオブシディアン・ハーバーだからな!」

「ああ、それより入学式主席合格だろ、挨拶は考えたのか?」

「それね、面倒だけどちゃんと考えたよ。オブシディアンが一番でも良かったのに」

「俺はそこまで一番に拘らないからな、二番で十分だ。」

「...で?本心は?」

「イズリルの下に他のやつの名前があるのが許せない。」

こいつ名前にまでこだわるの!?

「本当びっくりだよ」

「なにがだ」

「こっちの話ー。」

「坊っちゃま、オブシディアン殿、イドラス学園に着きましたよ。」

馬車を降りるとこりゃまた絶景

あー、カメラが欲しいわー。

「セバス、ありがとう。道中気をつけて帰ってくれ。」

「もったいなきお言葉でございます。坊っちゃま方もお体にはお気をつけくださいませ、では。」

そう言うとセバスは帰っていった。

「さてとー!会場はあっちかな?」

「こっちだ。」

「こっちか。」

そう言ってトコトコとオブシディアンの後をついて行く。

心なしか周りからの視線が痛い気がする。

「なあ、オブシディアン、なんか周りから注目されてないか?」

「私とイズリルが一緒にいて注目されないほうがおかしいだろう。もっと自分の容姿を知っておけ。」

「おっふ、そうか。」

「着いたぞ、会場はここだ。」

「受付はこちらでーす!」

案内に従って入場すると既に大勢の人が座っていた。

「首席と次席は一番前の方だな、行くぞイズリル」

「はいはーい」

前の席に座ると周りの視線があからさまに俺とオブシディアンの方を向いているのがわかる。

うーん、あまり居心地のいいものではないな。

「静粛に。今から式を始めます。」

さあ、長い入学式の始まりだ。





「続きまして、首席挨拶、イズリル・バードナー」

「はいっ」

俺はさまざまな視線を受け流しながら壇上に上がった。

「春麗らかなこの日ーーー」

少し長めの挨拶を終えて最後の締めくくりを言うとわっと拍手が鳴り響いた。

壇上から降りてオブシディアンの横の自分の席に戻る。

「中々だったぞ」

「そりゃどうも」

「次はクラスごとに移動してもらいます!
Sクラスから順番に列についていってください!」

俺とオブシディアンは大人しくその列に着いていく。

教室に着くと既に何人かの生徒が席に座っていた。

俺とオブシディアンは一番後ろの席に座ることにした。
ヒソヒソとした声にある程度慣れてきた頃、今度はまた一段とザワリと周りが騒ぎ出した。

コツッ

足音を鳴らしながら入ってきた人物に皆目を奪われる。

綺麗な金髪に綺麗な宝石みたいな翡翠の瞳
肌は色白で優しそうにはにかむその姿はまさしく王子様。

ああ、そうか、今はちゃんと笑える様になったんだな、メイル...。

「おい、あまりあのガキばかり見るな。」

「はいはい、分かりましたよー、いいじゃん、久方ぶりの友人との再会なんだから」

「ふん、私はあのガキは好きではない。」

「お前ほとんどの人間好きじゃないじゃん」

「当たり前だ。イズリルさえいればいい。」

「もー、やだこいつ。」

そんなやりとりをしているとメイルとその後ろに控えている三人がこちらに歩いてきた。

どうやら俺とオブシディアンの前の席に座る様だ。

「やあ、俺はメイル・グリムワルト。ようやくもう一人の側近候補に会えたよ、よろしくね。」

「おっと、これは失礼を致しました。イズリル・バードナーと申します。以後よろしくお願いします。」

そう言って軽く挨拶を済ませると今度は横に座っている三人を紹介してきた。

「既に知っているとは思うけど、君と同じ側近候補の...」

「キリエ・クローウェルだ。」
赤髪に薄茶色の瞳の彼は確か騎士団長のご子息だったはず。

「ロニー・ウェイス。」
ピンクの髪にピンクの瞳の彼は魔術師団長のご子息。

「アロナ・シューサーです。」
水色の髪に藍色の瞳の彼は宰相のご子息。

うん、きっちり覚えてる。
よかったー。

「イズリル・バードナーです、改めてよろしくお願いしますねー。」

そうやってニコリと笑うと三人が嫌そうな顔をした。

おやおや?なんか既に嫌われてないか?


「さて、全員揃っているな?」

声がした教壇の方を見るとそのには担任の先生が立っていた。

「クラウス・バルーサだ。このSクラスの担任を持つことになった。よろしく。早速だがーーーーー」


そう言って先生の話を半分聞き流しながら授業の日程を見直す。

俺もう高等部までの勉強とか出来るんだよなぁー。

よし、ちゃらんぽらんだからサボるか!

「以上、今日は解散。明日から授業だから頑張りなさい。」

「さてとー!オブシディアン、帰ろうー」

「ああ、そうだな。」

「ちょっと待って!バードナー。」

メイルに呼び止められたので仕方なく後ろを振り返るとオブシディアンは不機嫌そうな顔をした。

「どうか致しましたか、殿下?」

「あ、いや、その、せっかく顔を合わせられたから少し話をしないかと思って...」

「今日は疲れたのでお断りいたします」

そう言ってニコリと笑う

「貴様!殿下にむかって!」

「キリエ、いいから!...そっか、呼び止めてごめんね、また話そう」

「はい、殿下。クローウェル殿とウェイス殿、そしてシューサー殿もまたー。」

ヒラヒラと手を振ると俺はオブシディアンと共に教室を出た。

「私のイズリルと長々と話をするとは。」

「だからやめなさいって、そう言う思考回路。」

「お前は私の物だ。」

「はいはい、まだオブシディアンの物ではありませんよーっと。」

「気安く他の者と喋るな。」

「まあ、これからは授業サボるから人とそんなに話す機会もないと思うけど」

「それならいい、さっさと部屋に戻るぞ」

「はいはい」

そう言って俺は苦笑いを浮かべるのであった。
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