28 / 45
初等部編
28.アロナ・シューサーの思い
アロナsid
「あぁ、これからは殿下をよろしく頼む。じゃあ俺達はここを去るから、医務室の先生が戻ってきたらよろしく頼んだぞ。」
「はい、お元気で、イズ。」
そう言って去っていったイズとハーバー。
「......起きているのでしょう、キリエ、ロニー。」
「...まぁ、な。」
「...ん。」
「これからどうなるのでしょうね、私達は。メイル殿下をイズ抜きで守り通せるでしょうか...」
そう呟くとキリエがため息を吐きながら口を開いた
「だから、俺達に強くなれって言ったんじゃないのか?あいつが居なくてもメイル殿下を守れる様にって。」
「2人と、イズとハーバーに会えなくなるのは...寂しい...でも、僕達が頑張らないといけない...のも、事実。今の僕達は...弱過ぎる...。」
ロニーが長く喋っている!こんなロニーは久しぶりに見ますね。
「一体、イズは何故メイル殿下を怒らせたのでしょうかね。」
「どうせあいつの事だ、意味もなく怒らせる様な事はないと思う...がな、あいつの考えてることなんてわからねー。」
確かに、イズの考えている事は全くと言っていいほど分かりません。
それに学園でメイル殿下を避けていたことも含め謎が多い人ですからね、唯一イズの考えている事がわかるのなんてオブシディアン・ハーバー位でしょう。
はぁ、いくら考えても意味はありませんね。
「けれど、イズはどうやって我々のピンチを察知して駆けつけるつもりなのでしょうか」
「...わからない、でも、きっと何がなんでも駆けつける...そんな気がする...。」
「そうですね、ロニー。私達で強くなりましょう」
3人で視線を合わせ頷くと、途端に力が抜ける。
コンコンッ
ノックすると言う事は先生ではないですね。
「どうぞ、お入りください。」
ガチャッ
「「「メイル殿下っ!」」」
「や、やぁ皆んな...3人が起きたと医務室の先生が教えてくれて...」
そう言って部屋に入ってきた殿下は顔色がとても悪い。
目の下には隈ができ、生気が感じられない。
私達はどう声をかけていいのかが分からず、只々メイル殿下を見つめることしかできなかった。
すると突然メイル殿下がガバリと頭を下げ
「すまなかった!俺のせいで3人とも重体、3日も目を覚まさなかった...俺が生きているから、俺が王位継承権を持っているから第二王妃と第二王子派の過激派の連中が俺を殺しに...3人とも巻き込んだ、俺の責任だっ!」
「メイル殿下っ、頭を上げてください!私達は自分のすべきことをやっただけです、巻き込んだなんて言わないでください。」
メイル殿下、相当まいっているな...
「あの、メイル殿下、イズの事なのですが...」
イズという言葉を口にした瞬間、メイル殿下の肩がビクリとする。
「本当に側近候補を辞めるのですか?」
「...あいつの事など知らない。辞めたいなら勝手に辞めればいいんだ」
「では、何故泣いているのですか?」
「え?」
メイル殿下の綺麗な翡翠の瞳から涙がこぼれ落ちるのを3人静かに見守る。
「え、あれ?何だこれ、おかしいな、俺何も悲しくないのに、痛くも無いのにどうして涙なんか...」
「メイル殿下、何故イズと喧嘩したのですか?」
「それはっ...嫌なことなんて忘れて楽になったらどうかとか、軽々しく言ったりしてきて...学園で俺のこと避けてるのだってきっと俺のことが嫌いだからで...キリエやロニー、アロナの事だって馬鹿にした。それが許せなくてっ、俺はっ...俺は、どうすればよかったんだ!!」
メイル殿下の涙は止まらない
「嫌いだっ、アイツなんて、イズなんて、大嫌いだっ!」
あぁ、何となくだけれどイズが何故メイル殿下と喧嘩したのか分かった気がする...
勘だけど、きっとメイル殿下の気持ちを支える役とメイル殿下に嫌われ役の役割を分担したかったのかもしれない。
進んで嫌われ役をする所がまたイズらしいですね
今のメイル殿下は私達の誰かが傷つくだけで心のバランスを崩しかねない、実際メイル殿下は心のバランスを崩しかけている、だが踏みとどまれているのはきっとイズが機転を効かせて嫌われ役を買って出た事が大きいでしょうね。
今ここで誤解を解いてもいいですが、その事でさらに自分を責めるメイル殿下が目に見えて分かるので今はこのままで...
すみません、イズ。
今は貴方の好意に甘えます。
「でしたら、私達と一緒に強くなってイズを見返しましょう」
「......あいつを、見返す...?」
「はい、そして言ってやるんです、私達はもう弱くないって。」
「そんな事...できるわけ」
「メイル殿下、これからは自分も、メイル殿下もどちらも護れるようより一層鍛錬します。」
「ん、僕も、もっと頑張る。」
メイル殿下言葉をさえぎりキリエとロニーが言う
「だそうですよ、メイル殿下。私達は弱いままではないのです。この失態を次にいかすため、努力します。メイル殿下も一緒に頑張りましょう。」
「...そう、だな。」
そう言ったメイル殿下の瞳にもう迷いはない様に感じた。
イズ、これで私は貴方の思惑通りにメイル殿下を導けたでしょうか。
後はなる様になるしかないでしょうね...
私達は強くなりますよ、イズ。
それから暫くしてイドラス学園からイズリル・バードナーとオブシディアン・ハーバーが姿を消した。
風の噂で2人がイドラス学園を飛び級し、卒業した事が分かった。それはイドラス学園が歴史に名を刻んで初の快挙だったらしい。
end
「あぁ、これからは殿下をよろしく頼む。じゃあ俺達はここを去るから、医務室の先生が戻ってきたらよろしく頼んだぞ。」
「はい、お元気で、イズ。」
そう言って去っていったイズとハーバー。
「......起きているのでしょう、キリエ、ロニー。」
「...まぁ、な。」
「...ん。」
「これからどうなるのでしょうね、私達は。メイル殿下をイズ抜きで守り通せるでしょうか...」
そう呟くとキリエがため息を吐きながら口を開いた
「だから、俺達に強くなれって言ったんじゃないのか?あいつが居なくてもメイル殿下を守れる様にって。」
「2人と、イズとハーバーに会えなくなるのは...寂しい...でも、僕達が頑張らないといけない...のも、事実。今の僕達は...弱過ぎる...。」
ロニーが長く喋っている!こんなロニーは久しぶりに見ますね。
「一体、イズは何故メイル殿下を怒らせたのでしょうかね。」
「どうせあいつの事だ、意味もなく怒らせる様な事はないと思う...がな、あいつの考えてることなんてわからねー。」
確かに、イズの考えている事は全くと言っていいほど分かりません。
それに学園でメイル殿下を避けていたことも含め謎が多い人ですからね、唯一イズの考えている事がわかるのなんてオブシディアン・ハーバー位でしょう。
はぁ、いくら考えても意味はありませんね。
「けれど、イズはどうやって我々のピンチを察知して駆けつけるつもりなのでしょうか」
「...わからない、でも、きっと何がなんでも駆けつける...そんな気がする...。」
「そうですね、ロニー。私達で強くなりましょう」
3人で視線を合わせ頷くと、途端に力が抜ける。
コンコンッ
ノックすると言う事は先生ではないですね。
「どうぞ、お入りください。」
ガチャッ
「「「メイル殿下っ!」」」
「や、やぁ皆んな...3人が起きたと医務室の先生が教えてくれて...」
そう言って部屋に入ってきた殿下は顔色がとても悪い。
目の下には隈ができ、生気が感じられない。
私達はどう声をかけていいのかが分からず、只々メイル殿下を見つめることしかできなかった。
すると突然メイル殿下がガバリと頭を下げ
「すまなかった!俺のせいで3人とも重体、3日も目を覚まさなかった...俺が生きているから、俺が王位継承権を持っているから第二王妃と第二王子派の過激派の連中が俺を殺しに...3人とも巻き込んだ、俺の責任だっ!」
「メイル殿下っ、頭を上げてください!私達は自分のすべきことをやっただけです、巻き込んだなんて言わないでください。」
メイル殿下、相当まいっているな...
「あの、メイル殿下、イズの事なのですが...」
イズという言葉を口にした瞬間、メイル殿下の肩がビクリとする。
「本当に側近候補を辞めるのですか?」
「...あいつの事など知らない。辞めたいなら勝手に辞めればいいんだ」
「では、何故泣いているのですか?」
「え?」
メイル殿下の綺麗な翡翠の瞳から涙がこぼれ落ちるのを3人静かに見守る。
「え、あれ?何だこれ、おかしいな、俺何も悲しくないのに、痛くも無いのにどうして涙なんか...」
「メイル殿下、何故イズと喧嘩したのですか?」
「それはっ...嫌なことなんて忘れて楽になったらどうかとか、軽々しく言ったりしてきて...学園で俺のこと避けてるのだってきっと俺のことが嫌いだからで...キリエやロニー、アロナの事だって馬鹿にした。それが許せなくてっ、俺はっ...俺は、どうすればよかったんだ!!」
メイル殿下の涙は止まらない
「嫌いだっ、アイツなんて、イズなんて、大嫌いだっ!」
あぁ、何となくだけれどイズが何故メイル殿下と喧嘩したのか分かった気がする...
勘だけど、きっとメイル殿下の気持ちを支える役とメイル殿下に嫌われ役の役割を分担したかったのかもしれない。
進んで嫌われ役をする所がまたイズらしいですね
今のメイル殿下は私達の誰かが傷つくだけで心のバランスを崩しかねない、実際メイル殿下は心のバランスを崩しかけている、だが踏みとどまれているのはきっとイズが機転を効かせて嫌われ役を買って出た事が大きいでしょうね。
今ここで誤解を解いてもいいですが、その事でさらに自分を責めるメイル殿下が目に見えて分かるので今はこのままで...
すみません、イズ。
今は貴方の好意に甘えます。
「でしたら、私達と一緒に強くなってイズを見返しましょう」
「......あいつを、見返す...?」
「はい、そして言ってやるんです、私達はもう弱くないって。」
「そんな事...できるわけ」
「メイル殿下、これからは自分も、メイル殿下もどちらも護れるようより一層鍛錬します。」
「ん、僕も、もっと頑張る。」
メイル殿下言葉をさえぎりキリエとロニーが言う
「だそうですよ、メイル殿下。私達は弱いままではないのです。この失態を次にいかすため、努力します。メイル殿下も一緒に頑張りましょう。」
「...そう、だな。」
そう言ったメイル殿下の瞳にもう迷いはない様に感じた。
イズ、これで私は貴方の思惑通りにメイル殿下を導けたでしょうか。
後はなる様になるしかないでしょうね...
私達は強くなりますよ、イズ。
それから暫くしてイドラス学園からイズリル・バードナーとオブシディアン・ハーバーが姿を消した。
風の噂で2人がイドラス学園を飛び級し、卒業した事が分かった。それはイドラス学園が歴史に名を刻んで初の快挙だったらしい。
end
あなたにおすすめの小説
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!
日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」
見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。
神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。
特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。
突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。
なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。
・魔物に襲われている女の子との出会い
・勇者との出会い
・魔王との出会い
・他の転生者との出会い
・波長の合う仲間との出会い etc.......
チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。
その時クロムは何を想い、何をするのか……
このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……