黒髪が王族の証という異世界に転移しました、自重は致しません。

クレハ

文字の大きさ
39 / 48
三章

半年

しおりを挟む
あれから順調に冒険者ギルドで依頼を受けまくって半年が経った。

今では三人でうまく連携も取れて少し強い魔物も倒せる様になった。

「うーん、...そろそろかなぁ」

「どうかしたの?イサギさん」

「...う?」

「どうしたのかしら?」

は!いかん、独り言がついもれてしまった...

今はセドの家でご飯をみんなで食べてる途中だ。

いや、でもこう言うことは早く言わないとだよなぁ

そろそろ別のところに行こうって...

よしっ、覚悟を決めよう

「実はそろそろ別の所に行こうかどうしようか考えててね」

「「「っ!!」」」

「そ、そうよね、いつまでもこのままではないものね...」

あぁっ、ミリーさんが落ち込んでいる!

どうしよう、やはりまだ早すぎたかな

「お母さん...大丈夫だよ、俺たちが旅して居なくても寂しさなんて感じさせないくらい沢山手紙とお土産を届けるから!ね、イサギさん、レオン」

「ああ、そうだね。」

「ん!」

コクコク

「...そうね、私もいい加減息子離れしないとね。いつまでも子供じゃないのだから。それにイサギさんが居れば安心よね!」

「その信頼に応えてみせるよ、ミリーさん」

「いつ頃たつのか決まっているの?」

「うーん、1ヶ月後くらいかな?」

「分かったわ、それまでみんなで過ごす時間を沢山作りましょうね!」

「そうだね、沢山思い出作っておこう」












それからワシらは旅に必要な物や食べ物、洋服などを買い込んだ。

ついでに冒険者ギルドや騎士団、魔術師団やリド爺、そしてガレアさんなどなどお世話になった人たちへと挨拶回りをした。

勿論その間にミリーさん達と一緒にピクニックやら色々と思い出を作るのを忘れずに。







そしてついにこの国を旅立つ日が来た

「セド、くれぐれも体調には気をつけるのよ、冒険者は体が資本なんだから...忘れ物はない?あと、あとーー」

「お母さん、心配しないで!俺は大丈夫だから!」

そう言ってセドがミリーさんを抱きしめる

「セド...うぅっ、グスっ」

そうだよなぁ、セドのお父さんが亡くなってから今までずっと一人でセドの事をここまで立派に育てたんだ。

寂しくないわけがない。

「う...ミリー...さん、だい...じょぶ...?」

「グズッ、ごめんなさいね、私ったらいざこの日が来ると寂しくて心配で...レオン君をビックリさせちゃったわね、もう大丈夫よ」

「おーい!護衛の白銀の皆さーん!そろそろ出発するぞー!」

「はい!今行きます!」

「お母さん、これが最後の別れじゃないから。きっと三人でまた帰ってくるから」

「ええ、行ってらっしゃい、セド。それとイサギさんとレオン君もくれぐれも怪我とかしない様にね」

「はい、ミリーさん。行ってきます」

「...ん!いっ...てきま...す」

「お母さん、行ってきます」

「行ってらっしゃい!」

そう言って笑顔で見送ってくれるミリーさん

ワシらはミリーさんに目一杯手を振ると、今回冒険者ギルドの依頼でタラン商会の護衛依頼を受けた人達のところへと歩みを進めた。

「トマスさん、今日から一ヶ月よろしくお願いします。白銀のパーティのリーダーであるイサギです。」

「これはご丁寧にどうも、タラン商会の会頭であるトマス・タランです。これも何かの縁、よろしくお願いします」

そう言って握手をすると

「では早速ガルダス帝国へ出発です!」









「う...」

出発してしばらくたった。

ワシらは今トマスさんが乗っている荷車に座っている。

レオンを見るとお尻が痛そうにしていたので幻鳥のクッションを渡す。

「お...兄ちゃん...あ、りがと」

「フフッ、どういたしまして!セドは大丈夫?クッションいる?」

「あ!俺も欲しいかも」

「はいよ、ワシもそろそろお尻痛くなってきたからクッション使おうかな」

いやぁ、この日の為に幻鳥の羽毛を取りに行ってよかったなぁ

「あの...つかぬことをお聞きしますが、もしやそれ、幻鳥の羽毛で出来てませんか?」

とトマスさんが聞いてきた

「そうですよ。荷馬車とはいえ結構な衝撃がありますからね」

それにレオンが痛い思いしながら旅するなんて考えただけでも恐ろしい

「よければまだ予備があるので使ってみますか?」

そう言って幻鳥の羽毛のクッションをトマスさんに渡す

「え!?そんな高級な物を使わせてもらってもいいのですか?」

「え?ええ、どうせ余り物で作ってもらった物なので。」

そう、これはガレアさんにたくさんの素材を渡した時についでに作ってもらったのだ。

この白銀の装備シリーズにも使われている素材だ。

「しかし、失礼ながらCランクパーティーですよね?幻鳥の羽毛の採取ともなればAランクまでランクが跳ね上がるはずですが...?」

「あぁ、それはワシがパーティーを結成する前にとったものですから。ワシ個人の冒険者ランクはAランクです。そしてセドとレオンがDランク」

「なんと!Aランク冒険者でしたか!凄いですね、それならば道中も安心です」

「その信頼に応えれる様三人で頑張ります」

そんなこんなで順調に進み、今は夜営の準備をしている

途中少しだけ魔物が出現したがこの半年間三人でみっちりと色んな魔物と戦ってきたのでワシらの敵では無い。

今回の旅では食料に関してはトマス率いるタラン商会が持ってくれる代わりに少し報酬が安いと言う契約だ。

夜ご飯が楽しみだ

「イサギさん、パンとスープです。おかわりは自由ですのでどうぞ。セドさんとレオン君もどうぞ好きなだけ食べて下さい」

そう言ってトマスさんがやってきた

「ありがとうございます」

もらったスープは黄金色の野菜スープだ。

早速スプーンですくって食べてみる

「んん!これはコンソメスープ!美味しい!!」

パンも焼きたてでは無いが柔らかくて食が進む

チラリとセドとレオンを見ると二人も美味しいねと言い合いながら食べている。

「ところでトマスさん、何か話があるのでは?」

「ええ、それがですね、実はこの道中に盗賊が出たと言う報告がありまして...」

「盗賊ですか、また厄介な...分かりました。二人とこの情報を共有して明日からまた護衛します。」

「よろしくお願いします」









「...と言うわけで、盗賊が出る情報があったみたいだ。二人は初めての対人戦だ。どうかな、やれる?」

「「......」」

「お、俺っ、正直やっと魔物を倒せるようになったから、対人戦になると足を引っ張るかもしれない。」

「お、れは...まだ...分からない...」

「うーん、これでも第二騎士団団長殿とテイラー様、アリア魔術師団長からおすみ付きをもらってるんだよね、対人戦もいけるって。あとは二人の覚悟次第だね。」

この事については正直自分との戦いだからあまりいいアドバイスができない。

その時にならないと分からないだろう

頑張れ、二人とも。







しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

役立たず聖女見習い、追放されたので森でマイホームとスローライフします ~召喚できるのは非生物だけ?いいえ、全部最強でした~

しおしお
ファンタジー
聖女見習いとして教会に仕えていた少女は、 「役立たず」と嘲笑され、ある日突然、追放された。 理由は単純。 彼女が召喚できるのは――タンスやぬいぐるみなどの非生物だけだったから。 森へ放り出され、夜を前に途方に暮れる中、 彼女は必死に召喚を行う。 呼び出されたのは、一体の熊のぬいぐるみ。 だがその瞬間、彼女のスキルは覚醒する。 【付喪神】――非生物に魂を宿らせる能力。 喋らないが最強の熊、 空を飛び無限引き出し爆撃を行うタンス、 敬語で語る伝説級聖剣、 そして四本足で歩き、すべてを自動化する“マイホーム”。 彼女自身は戦わない。 努力もしない。 頑張らない。 ただ「止まる場所が欲しかった」だけなのに、 気づけば魔物の軍勢は消え、 王城と大聖堂は跡形もなく吹き飛び、 ――しかし人々は、なぜか生きていた。 英雄になることを拒み、 責任を背負うこともせず、 彼女は再び森へ帰る。 自動調理、自動防衛、完璧な保存環境。 便利すぎる家と、喋らない仲間たちに囲まれた、 頑張らないスローライフが、今日も続いていく。 これは、 「世界を救ってしまったのに、何もしない」 追放聖女の物語。 -

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい

木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。 下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。 キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。 家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。 隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。 一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。 ハッピーエンドです。 最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

処理中です...