25 / 48
一章
?side
しおりを挟む
?side
ガヤガヤと酒場特有の賑やかさがあるそのとある一角に旅人の様な出立ちをした二人が酒をあおっていた。
「今日も収穫はなしだ。いつまでこれが続くんだろうな」
はぁ、とため息をつく若い男。
「それが今日いい情報を手に入れたんだ。なんでも最近この辺の市場で黒髪の王族を見た事があると言う、な。」
「どうせガセネタだろ?」
「それがそうでもなさそうだ」
男は串肉を食べながら話を続けた
「その髪の色がとにかく漆黒で綺麗な黒髪だったらしい。最近第二騎士団が動いた奴隷商の捕縛事件があっただろ?あれはその黒髪の王族を捕まえようと奴隷商の奴らが起こした事件だったみたいだ。」
「...それは確かめてみる価値があるな」
そう言って酒をあおる男
「それがさ、スラム街を聞き込みしてたらとあるガキにたどり着いたんだ」
「スラム街のガキ?」
「ああ、そのガキはローブのフードを被った若い男に頼まれて騎士団を呼びに行ってお礼に金貨一枚貰ったって言っててな、容姿を聞いたら紫色のローブを着て、見間違いでなければフードからひと束出ていた髪の毛は漆黒の黒髪だったそうだ。」
すると話を聞いていた男が目を見開いた
「まさかっ」
「探してみる価値はあるだろ?」
「そうだな、それにもしそれが本当ならば我々の悲願が叶うかもしれないのか」
「そうなるな」
そう言って二人の男はコップをカチンっとぶつけて鳴らすと一気に飲み干した
そして二人はテーブルに二人分の代金を置くとその場を後にした。
次の日の朝、二人の男は王都の市場を歩いていた。
理由はこの辺で王族を見たと言う情報が多かったからだ
だが早々都合よく見つかるものでは無い
聞き込みをしてもいいのだが、もしこちらが探っているのが知られ、警戒されて身を隠されたら見つけるのは困難になるだろう。
であればなるべく聞き込みはしない方が賢明だ。
「まてよ、昨日は言うの忘れていたが、A級冒険者のカードをわたされたといっていたな。」
「なんでそんな大事なことを言うの忘れてたんだお前は」
「いや、ついな...悪かったよ、そんな目で見ないでくれ」
この男はいつも肝心なところで少し抜けているのがなんとも言えないのだ。
「そうと決まればA級冒険者の情報を集めるぞ」
「ああ、そうだな」
そう言って二人がやるべきことを決めて歩いていたらトンっと小さな子供にぶつかってしまった
「悪い、怪我はないか?」
そう言って小さな子供を見ると、一瞬息を呑んだ。
艶やかな銀髪に金と水色の神秘的なオッドアイ、身なりもとてもじゃないが平民とは思えない
まさか貴族の子息か?
いや、貴族街はもっと離れているし、この時間帯に貴族の子息が護衛一人ででかけられるはずがない。
となればやはり平民か?
子供と一緒に歩いていたもう一人を見るとどこにでも居そうな平凡な顔つきだが愛嬌のあるどこにでも居そうな普通な青年だった。
どう見ても護衛には見えない
少々黙って見すぎていたのが悪かったのか子供が隣の青年にギュッと抱きつき顔をうずくめてしまった。
「す、すみません、この子は人見知りで...そちらこそ怪我などはなかったですか?」
「ああ、ぶつかったのはこちらの方だから...」
そう言いかけると小さな子供が言葉を被せるかの様に明るい声でお兄ちゃんと俺の後ろを見ながら俺の横を駆け足で通り過ぎる
「おっと、レオン、どうした?」
「あ、イサギさん、実はさっきこの方にぶつかってしまって...」
「ふむ、失礼。お怪我とかはなかったかな?」
イサギ...
この名前の響き...
まさかっ!
俺たちは目を一瞬合わせるとイサギと言う人物を見るため振り返った。
身長は高め
顔立ちはフードを被っているため見えずらいが整っていて中性的な見た目だと思う
「怪我とかは大丈夫だ、さっきも言った通りぶつかったのはこちらの方だからな、それよりそこの小さな子供には怪我はなかっただろうか?」
「ああ、大丈夫だよ。」
「ところで、貴方は珍しい名前の響きをしていますね、このミドラム王国出身なのですか?」
「いえ、違いますが...何か気になることでも?」
一瞬気配が鋭くなるイサギという人物にこれ以上の探りは入れられないと悟り、俺たちはこの場は引く事にした。
「では、我々も先を急ぐ旅なのでこの辺りで。」
「ええ、ワシらもそろそろ帰らなければならないので。」
そう言ってその場を離れる俺たち。
完全に人ごみに紛れてから適当な路地裏に入る
「見つけたな」
「ああ、そうだな、俺たちは運がいい」
「だが最後は警戒されたけどな」
「まぁしょうがない、しばらくは付かず離れず動向を見張らせよう。」
「気付かれないか?」
「......分からない、だがやるしかない、我々の悲願のために」
「それもそうだな」
「とりあえず上に報告しに行くか」
「そうだな、おそらくターゲットらしき人物を見つけた、と」
ピュイッ
俺が指笛を鳴らすと鳥が何処からともなく現れた。
足に結果報告を巻きつけると鳥はバサバサと羽ばたいて何処かへと消えていった
end
ガヤガヤと酒場特有の賑やかさがあるそのとある一角に旅人の様な出立ちをした二人が酒をあおっていた。
「今日も収穫はなしだ。いつまでこれが続くんだろうな」
はぁ、とため息をつく若い男。
「それが今日いい情報を手に入れたんだ。なんでも最近この辺の市場で黒髪の王族を見た事があると言う、な。」
「どうせガセネタだろ?」
「それがそうでもなさそうだ」
男は串肉を食べながら話を続けた
「その髪の色がとにかく漆黒で綺麗な黒髪だったらしい。最近第二騎士団が動いた奴隷商の捕縛事件があっただろ?あれはその黒髪の王族を捕まえようと奴隷商の奴らが起こした事件だったみたいだ。」
「...それは確かめてみる価値があるな」
そう言って酒をあおる男
「それがさ、スラム街を聞き込みしてたらとあるガキにたどり着いたんだ」
「スラム街のガキ?」
「ああ、そのガキはローブのフードを被った若い男に頼まれて騎士団を呼びに行ってお礼に金貨一枚貰ったって言っててな、容姿を聞いたら紫色のローブを着て、見間違いでなければフードからひと束出ていた髪の毛は漆黒の黒髪だったそうだ。」
すると話を聞いていた男が目を見開いた
「まさかっ」
「探してみる価値はあるだろ?」
「そうだな、それにもしそれが本当ならば我々の悲願が叶うかもしれないのか」
「そうなるな」
そう言って二人の男はコップをカチンっとぶつけて鳴らすと一気に飲み干した
そして二人はテーブルに二人分の代金を置くとその場を後にした。
次の日の朝、二人の男は王都の市場を歩いていた。
理由はこの辺で王族を見たと言う情報が多かったからだ
だが早々都合よく見つかるものでは無い
聞き込みをしてもいいのだが、もしこちらが探っているのが知られ、警戒されて身を隠されたら見つけるのは困難になるだろう。
であればなるべく聞き込みはしない方が賢明だ。
「まてよ、昨日は言うの忘れていたが、A級冒険者のカードをわたされたといっていたな。」
「なんでそんな大事なことを言うの忘れてたんだお前は」
「いや、ついな...悪かったよ、そんな目で見ないでくれ」
この男はいつも肝心なところで少し抜けているのがなんとも言えないのだ。
「そうと決まればA級冒険者の情報を集めるぞ」
「ああ、そうだな」
そう言って二人がやるべきことを決めて歩いていたらトンっと小さな子供にぶつかってしまった
「悪い、怪我はないか?」
そう言って小さな子供を見ると、一瞬息を呑んだ。
艶やかな銀髪に金と水色の神秘的なオッドアイ、身なりもとてもじゃないが平民とは思えない
まさか貴族の子息か?
いや、貴族街はもっと離れているし、この時間帯に貴族の子息が護衛一人ででかけられるはずがない。
となればやはり平民か?
子供と一緒に歩いていたもう一人を見るとどこにでも居そうな平凡な顔つきだが愛嬌のあるどこにでも居そうな普通な青年だった。
どう見ても護衛には見えない
少々黙って見すぎていたのが悪かったのか子供が隣の青年にギュッと抱きつき顔をうずくめてしまった。
「す、すみません、この子は人見知りで...そちらこそ怪我などはなかったですか?」
「ああ、ぶつかったのはこちらの方だから...」
そう言いかけると小さな子供が言葉を被せるかの様に明るい声でお兄ちゃんと俺の後ろを見ながら俺の横を駆け足で通り過ぎる
「おっと、レオン、どうした?」
「あ、イサギさん、実はさっきこの方にぶつかってしまって...」
「ふむ、失礼。お怪我とかはなかったかな?」
イサギ...
この名前の響き...
まさかっ!
俺たちは目を一瞬合わせるとイサギと言う人物を見るため振り返った。
身長は高め
顔立ちはフードを被っているため見えずらいが整っていて中性的な見た目だと思う
「怪我とかは大丈夫だ、さっきも言った通りぶつかったのはこちらの方だからな、それよりそこの小さな子供には怪我はなかっただろうか?」
「ああ、大丈夫だよ。」
「ところで、貴方は珍しい名前の響きをしていますね、このミドラム王国出身なのですか?」
「いえ、違いますが...何か気になることでも?」
一瞬気配が鋭くなるイサギという人物にこれ以上の探りは入れられないと悟り、俺たちはこの場は引く事にした。
「では、我々も先を急ぐ旅なのでこの辺りで。」
「ええ、ワシらもそろそろ帰らなければならないので。」
そう言ってその場を離れる俺たち。
完全に人ごみに紛れてから適当な路地裏に入る
「見つけたな」
「ああ、そうだな、俺たちは運がいい」
「だが最後は警戒されたけどな」
「まぁしょうがない、しばらくは付かず離れず動向を見張らせよう。」
「気付かれないか?」
「......分からない、だがやるしかない、我々の悲願のために」
「それもそうだな」
「とりあえず上に報告しに行くか」
「そうだな、おそらくターゲットらしき人物を見つけた、と」
ピュイッ
俺が指笛を鳴らすと鳥が何処からともなく現れた。
足に結果報告を巻きつけると鳥はバサバサと羽ばたいて何処かへと消えていった
end
177
あなたにおすすめの小説
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
お言葉ですが今さらです
MIRICO
ファンタジー
アンリエットは祖父であるスファルツ国王に呼び出されると、いきなり用無しになったから出て行けと言われた。
次の王となるはずだった伯父が行方不明となり後継者がいなくなってしまったため、隣国に嫁いだ母親の反対を押し切りアンリエットに後継者となるべく多くを押し付けてきたのに、今更用無しだとは。
しかも、幼い頃に婚約者となったエダンとの婚約破棄も決まっていた。呆然としたアンリエットの後ろで、エダンが女性をエスコートしてやってきた。
アンリエットに継承権がなくなり用無しになれば、エダンに利などない。あれだけ早く結婚したいと言っていたのに、本物の王女が見つかれば、アンリエットとの婚約など簡単に解消してしまうのだ。
失意の中、アンリエットは一人両親のいる国に戻り、アンリエットは新しい生活を過ごすことになる。
そんな中、悪漢に襲われそうになったアンリエットを助ける男がいた。その男がこの国の王子だとは。その上、王子のもとで働くことになり。
お気に入り、ご感想等ありがとうございます。ネタバレ等ありますので、返信控えさせていただく場合があります。
内容が恋愛よりファンタジー多めになったので、ファンタジーに変更しました。
他社サイト様投稿済み。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/466596284/episode/5320962
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/387029553/episode/10775138
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039/episode/2285646
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる