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第十三話 食糧問題ー2
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ゲンとソウは、広間へ向かう途中で走ったせいか、肩で息をしていた。
「親父ぃ、俺は負けねえ。俺が一番に広場に着くからな。」
「馬鹿野郎。この俺の俊足に敵うはずがねえだろ。」
二人は、先ほどまで揉めていたことなどすっかり忘れ、なぜか徒競走でどちらが先に着くかを競い合っている。
(なーにしてんだ、このバカ親子は)
「あんたら、広場に行くんだろ。そっちは外に出る方向じゃねえか。待ってる人がいるんだ、頼むから茶番はやめてくれよ。」
ラルクは呆れた顔で、違うと示すように進行方向を指差した。
「「あ? 誰が茶番だって?」」
(あ、ダメだ。こいつら)
「ほーれ、落ち着かんか、お主ら。広間まで行く必要はないぞ。ここに連れてきた。狩猟班志望の者たちじゃ。」
((よろしくお願いします!))
数名の村人が三人に向かって挨拶をする。その中に、ソウと同じくらいの年齢の子が一人いた。
茶色のストレートヘアを黒いゴムのようなもので後ろに束ね、ポニーテールにしている。紋様の入ったワンピース姿の少女だ。
少女は一歩踏み出して――
「村の外れに住んでる親子がいるって噂で聞いたけど……私と背、同じくらいか、ちょっと小さいくらいじゃない?」
炉端の石を見るような目で、少女はソウを値踏みするように見て、馬鹿にした口調で言った。
「あ? 誰だよ、お前。てか、俺の方が背ぇ高ぇし――!」
言い返そうとした瞬間、ソウは無意識に爪先立ちになっていた。
「え、ダッサ。爪先立ちって、子供なんだね~。」
少女は容赦なく追い打ちをかける。
「こ、こ、こいつ……クソムカつくんだが!!」
ソウは怒りでワナワナと震える。しかし、相手がか弱そうな少女だということもあり、理性でどうにか踏みとどまっていた。
「まあまあ、その辺にしとけって。オレッチはサブだ。で、お前に茶々入れたこの子はレイだ。よろしくな。」
レイは「フンっ。」と鼻を鳴らし、ぷいとその場から外れた。ソウはまだ怒りが収まらず、小刻みに震えている。
サブはやれやれといった様子で、ボロボロの衣服を揺らした。尖ったモヒカン頭が特徴的で、日差しがそれを照らしている。
「おう、サブ。久しぶりだな。相変わらず尖ってんな、その頭。調子はどうだ?」
「あ、ゲンの旦那。久しぶりっすね。もちろん元気っすよ。ただ、オレッチにも家族ができたんすけど……今回の件で……。」
サブとゲンは以前、この村で同じ狩猟班として一度狩りに出たことがあった。その際、ゲンはサブから狩猟のノウハウを教わっていたのだ。
「さっきの子か? にしては、歳が合わんが。」
「違うっすよ。あの子は、親を前の狩りで亡くしてるんす。だから代わりに、オレッチが親代わりしてるだけっすよ。」
「ほう……なるほどな。お前も、もうそんな歳か。時間が経つのは早いもんだ。」
ゲンがしみじみと思っていると、ラルクが口を挟んだ。
「ゲンさん、そろそろ作戦の説明を求めてますよ。」
「そうじゃ。ワシも聞いておらんからのう。」
「そういえば……。」
ゲンは口元に手を当て、今回編成される人員へ向けて声を張り上げた。
「よし。今回の食糧問題を解決する作戦――。」
(ドラムロール)
「巨大魚来い来い囮作戦だ!!」
(デッカいテロップ)
反応は薄かった。
レイは馬鹿らしいとでも言いたげに冷たい視線を向け、サブは好奇心からか目を輝かせている。ヤンガは首をかしげ、ラルクは苦笑いを浮かべていた。
そして、囮役になるソウは――
(せめて、もう少しカッコいい作戦名にしろよ、バカ親父……)
そう心の中で毒づきながらも、ソウは理解していた。
これは模擬戦でもある。
だからこそ、内心では――成功するかどうか、その一点に緊張していたのだ。
「親父ぃ、俺は負けねえ。俺が一番に広場に着くからな。」
「馬鹿野郎。この俺の俊足に敵うはずがねえだろ。」
二人は、先ほどまで揉めていたことなどすっかり忘れ、なぜか徒競走でどちらが先に着くかを競い合っている。
(なーにしてんだ、このバカ親子は)
「あんたら、広場に行くんだろ。そっちは外に出る方向じゃねえか。待ってる人がいるんだ、頼むから茶番はやめてくれよ。」
ラルクは呆れた顔で、違うと示すように進行方向を指差した。
「「あ? 誰が茶番だって?」」
(あ、ダメだ。こいつら)
「ほーれ、落ち着かんか、お主ら。広間まで行く必要はないぞ。ここに連れてきた。狩猟班志望の者たちじゃ。」
((よろしくお願いします!))
数名の村人が三人に向かって挨拶をする。その中に、ソウと同じくらいの年齢の子が一人いた。
茶色のストレートヘアを黒いゴムのようなもので後ろに束ね、ポニーテールにしている。紋様の入ったワンピース姿の少女だ。
少女は一歩踏み出して――
「村の外れに住んでる親子がいるって噂で聞いたけど……私と背、同じくらいか、ちょっと小さいくらいじゃない?」
炉端の石を見るような目で、少女はソウを値踏みするように見て、馬鹿にした口調で言った。
「あ? 誰だよ、お前。てか、俺の方が背ぇ高ぇし――!」
言い返そうとした瞬間、ソウは無意識に爪先立ちになっていた。
「え、ダッサ。爪先立ちって、子供なんだね~。」
少女は容赦なく追い打ちをかける。
「こ、こ、こいつ……クソムカつくんだが!!」
ソウは怒りでワナワナと震える。しかし、相手がか弱そうな少女だということもあり、理性でどうにか踏みとどまっていた。
「まあまあ、その辺にしとけって。オレッチはサブだ。で、お前に茶々入れたこの子はレイだ。よろしくな。」
レイは「フンっ。」と鼻を鳴らし、ぷいとその場から外れた。ソウはまだ怒りが収まらず、小刻みに震えている。
サブはやれやれといった様子で、ボロボロの衣服を揺らした。尖ったモヒカン頭が特徴的で、日差しがそれを照らしている。
「おう、サブ。久しぶりだな。相変わらず尖ってんな、その頭。調子はどうだ?」
「あ、ゲンの旦那。久しぶりっすね。もちろん元気っすよ。ただ、オレッチにも家族ができたんすけど……今回の件で……。」
サブとゲンは以前、この村で同じ狩猟班として一度狩りに出たことがあった。その際、ゲンはサブから狩猟のノウハウを教わっていたのだ。
「さっきの子か? にしては、歳が合わんが。」
「違うっすよ。あの子は、親を前の狩りで亡くしてるんす。だから代わりに、オレッチが親代わりしてるだけっすよ。」
「ほう……なるほどな。お前も、もうそんな歳か。時間が経つのは早いもんだ。」
ゲンがしみじみと思っていると、ラルクが口を挟んだ。
「ゲンさん、そろそろ作戦の説明を求めてますよ。」
「そうじゃ。ワシも聞いておらんからのう。」
「そういえば……。」
ゲンは口元に手を当て、今回編成される人員へ向けて声を張り上げた。
「よし。今回の食糧問題を解決する作戦――。」
(ドラムロール)
「巨大魚来い来い囮作戦だ!!」
(デッカいテロップ)
反応は薄かった。
レイは馬鹿らしいとでも言いたげに冷たい視線を向け、サブは好奇心からか目を輝かせている。ヤンガは首をかしげ、ラルクは苦笑いを浮かべていた。
そして、囮役になるソウは――
(せめて、もう少しカッコいい作戦名にしろよ、バカ親父……)
そう心の中で毒づきながらも、ソウは理解していた。
これは模擬戦でもある。
だからこそ、内心では――成功するかどうか、その一点に緊張していたのだ。
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