何でも屋さん

みのる

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第20話 姿を消した青年…その後

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青年が暫く姿を見せず、静かな日々が過ぎさったある日の午後…
ショーケースの上で寝ているたまを撫でる手。
ガラガラガラっ!と引き戸が開くともに…突如現れた中村が、

『おっさん、コンドーさんくれよ!今日こそ決めてやるんだ!!』

と雄々しく言い放つ。

『おや、あんたかい。久しぶりだね』

が言う。

中村は焦ったように、

『あ、あれ?おっさんは?(なんでよりによって今日居ないんだよ!?)』

と返しながら冷や汗を流す。

奥さんは、

『あぁ、ちょうど今散歩に出かけてるよ。
あれから結局どうなったんだい?上手くいったのかい?』

と返す。

中村は嬉しそうに、

『結果から言えば、2人のお陰で伊集院さんと付き合える事になったよ!!
店を出た後、河原の方へ向かいながら会話してたら…思いのほか会話が弾んでね、結局は河川敷の方でグラウンドへ降りる為の、石階段の所へ座って河川敷のグラウンドでやってた少年野球を観ながら話してたのさ、そこから公園の方へ行ってベンチに座ってたんだけど、伊集院さんにはあの公園に何やら忘れられない思い出が有って、叶わぬ恋をしてる人が居たらしいんだけどさ…俺に向かってその人の事を忘れさせてくれますか?
って言われたんだよ!思わずハイって答えてしまって2人で暫く笑ってたよ。ブランコに乗ったりしてその後帰ったって訳さ』

と語った。

奥さんは安心したように、

『へ~、そうかい(あの子も前向きに考える気になったんだねぇ、良かったよ)』

と笑う。続けて、

『暫く来なかったのはデートで忙しかったのかしらねぇ…』

とニタニタ笑っている。

中村は苦笑いしながら、

『まあね。映画を観に映画館に行ったり、買い物に行ったり…食事に行ったりしてたからな』

と言う。

奥さんは楽し気に、

『まあ、なんだい、上手くいって良かったじゃない』

と泳がせておき、

『で…今日は何を買いに来たんだっけねぇ?』

とニタ~っと嫌な笑みを浮かべながら、まるで眼鏡を光らせる様にクイッと眼鏡を動かす。キラーンと眼鏡が光った。

中村は焦ったように返事をする

『えっ!?あっ· · ·い、いや· · ·こ、今度、秋刀魚を取り寄せてくれと· · ·』
(少し無理が有ったか· · ·な?)

奥さんが相変わらずニタニタと笑いながら、

『おやぁ?なんか今日こそ一発決める· · ·だとかそんな様な事を言ってなかったかい?』

と追求する。更に畳み掛ける様に、

『それにうちは何でも屋だよ?取り寄せなくてもあるんだけどねぇ…』

と言いながらチラッと中村の方を見やる。

中村は冷や汗をダラダラ垂らしながら、

『うっ!?き、今日こそここでいっぱい食べるって決めたって· · ·』
(言ってて何を言ってるのかわからなくなってきた· · ·)

奥さんは何も言わずにニタニタ笑いながら中村を見続ける。

中村は観念したようにガクッと肩と頭を落として言う。

『· · ·すみません嘘をつきました、コンドーさんをください。』
(おっさん恨むぜ· · ·)

青年がふとカウンターの方へと視線を送り…愕然とする。何故なら、今改めてコンドーさんをくれと言ったばかりで…奥さんがはまだ商品を取り出していないはずなのに、カウンターの上には既にコンドーさんが置かれていたからだ。

青年は嫌な予感しかしなかった。

『· · ·奥さん、これはいったい…いつから置かれてたんだ?』

恐る恐る問う。

奥さんは、

『おや、あんたが入ってきてコンドーさんと言った時からここに置いてるよ、私の耳はまだまだ遠くないからねぇ』

とニタニタ笑っている。

中村は、

『わ、わかっててからかってたのかよ!?』

と涙目になりならがら言う。

奥さんが、

『まあね、先日自慢のタラコ唇を馬鹿にされたからねぇ、その仕返しさ。それとコンドーさんは千円だよ』

とニタニタ笑っている。

商品を受け取った青年がカウンターの上へ千円を叩きつけて、無言で走り去った。

店を出た所で、

『やあ、久しぶりだね』

と店主が話しかけてきた。

中村が、

『なんで今日に限って居かったんだよ!?おかげで俺はなぁ…俺はなぁ!?』

と涙を滝の様に流して号泣する。

店主は訳がわからず、

『いったいどうしたんだい?』

と困惑する。

中村は…

『もうほっといてくれ…』

と言い残し走り去る。

店主は、

『一体なんだったんだ?』

と不思議そうな顔をして店の中へ入っていく。
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