何でも屋さん

みのる

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第47話 奇妙な服装の青年、来襲。

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1月の寒いさなかに、暑いのかタンクトップに短パン姿で原付バイクに乗り、走り回っているぽっちゃり体型の青年があちらこちらで見受けられてる。

冷え込みが強く風が冷たいを通り越し痛いくらいの今日も、いつもと同じ様にタンクトップに短パンで背中に青いリュックサックを背負い、原付バイクへ跨り法定速度を普通に超過してすっ飛ばしている。
とある信号で山の方面へと曲がり狭い路地へと入って行き、暫く狭い路地を走り抜け見えてきた空き地へと入り原付バイクを停車させた青年はフルフェイスのヘルメットを脱ぎ、一息ついた青年は額の汗を拭う。

「ふぅ・・・やっと着いたよ、噶柴がしさんが買ってきて欲しいのがここに売ってるって言ってたけど本当にあるのかな?」

とか小さい声でブツブツと呟きながら店の入口の方へと歩いていく。

ガラガラガラっ!と引き戸が開いたかと思うと季節に似合わぬ風貌をした坊主頭の青年が入って来た。
青年を見た店主は一瞬怯んだが気を取り直し、どこかで見かけた様な気がしながらも定番の言葉をかける。

『いらっしゃい、ゆっくり見てってよ?』

坊主頭の青年が何かを言うが声が小さくて聞き取れない。

「ボソボソボソッボソボソボソボソボソ?」

店主はかなり前のめりになって聞き取ろうとしたが聞き取れず聞き直す。

『何て言ったのか聴き取れなかったよ、悪いけど大きな声でもう1回言ってよ』

と言いつつどこで見かけたのか思い出し、思わず「アッ」と言ってしまい坊主頭の青年が不思議そうにしてたのですぐ様「ごめん気にしないで」と声かけるも、内心“どこかで見かけた事有ると思ったら裸の大佐だったか”とか思っていた。

裸の大佐風の青年が小さめの声で、

「ペットボトルシリーズのデザートとか有るの?有るなら水羊羹とチーズケーキが欲しんだけど」

と言うと、何とか聞き取れた店主は、

『有るよ、これだね・・・どちらも1つ200円だよ』

と言いつつ、ペットボトルに入った水羊羹とチーズケーキを取り出した・・・2リットルサイズのを…

裸の大佐風の青年が、

「そんなに大きいのか・・・まあいいや」

と言いつつ400円を差し出し、ペットボトルを2つ抱えて更にボソボソと店主に話しかける青年。

「ペットボトルシリーズの…何か違う種類の物はあるの?」

すると店主は答える。

『もちろんあるよ?…何がいいんだい?』

そこで、裸の大佐風な青年は…少し考えた。

「そしたら…ペットボトルシリーズの…パフェなんかもある?」

店主が青年に聞く。

『何のパフェがいいんだい?』

裸の大佐風な青年はこころで
”うぉっ!?まさか…あるの!!“そう思いながら、

「じゃあ…チョコパフェ、ある?」

すると…店主は造作もない事のように、

『もちろんあるよ。ほれ!』

と、どぉん!!と2リットルサイズなチョコパフェを青年の目の前に置いた。
驚きで、暫く言葉が出ない青年。

暫しして、漸く…また、超ボソボソな声で!

「500ミリのサイズのは無いの?」

店主に聞き取れるか否かのボリュームで呟いた。
すかさず店主は答える。

『もちろん!』

そして2リットルを引っ込めて、500ミリサイズのパフェを差し出す。

店主は、

『100円だ』

と答えるが……
裸の大佐風な青年の目は欺けなかった!!
そこで青年、苦情を入れる。

「なんで…さっきの2リットルが200円で…500ミリが100円なの?おかしく…ない?」

店主は何でも無いように言う。
『それは、2リットルはサービス価格だからだよ。』
青年は、更にボソボソと苦情を続ける。

「だったら…さっきの2リットルと取り替えてよ」

店主はそこで“チッ”と舌打ちすると、また500ミリのボトルを引っ込めて2リットルのボトルをどんっ!とショーケースに置く。

店主の舌打ちを聞いて、裸の大佐風な青年は密かにビビっていたのは言うまでもない。


そこで、ふと裸の大佐風な青年は思いついた。

「…ここに…弁当、ある?」

店主は当たり前のように答える。

『もちろんあるよ?…何の弁当が欲しいんだい?』

青年はうーん…と考え、出した答えは…

「焼肉弁当、ある?」

そして、店主はもちろん…出した物は…
そこはやはり我らが何でも屋。
無論、焼肉だけでは収まらなかった。焼肉と、おまけにハンバーグ、ついでに唐揚げ……etc……
無論、野菜も食べてね♡とぱかりにたくさん添えられている。(野菜は別パック)

裸の大佐風な青年は思わず目を奪われた。
で、気になったので店主に直撃!

「…この弁当…一体…幾ら?」

店主は当然の如くに答えた。

『500円だ!』

青年は相変わらず無表情。だが…そのこころは見るからに踊っていた。

店主から商品を受け取り、代金を支払う。…黙って店を後にして2リットルペットボトル3本を原付のカゴに入れると弁当はリュックの中に押し込みバイクに跨り、颯爽と噶柴さんの家の方向に向かい飛ばした。
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