美しい薔薇には秘密がある

みのる

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『ヤツ』と王子カグラ※

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身分を隠すため、密やかに入手した質素な衣服を着た俺は夜の酒場に繰り出して酒飲み友達に『今回の件』を愚痴る。

『……という訳で、
親父の幼なじみの娘を嫁にもらう事になりそうなんだよ。』

共に酒を飲み始めてもう幾年か経つヤツは、銀の髪を揺らしながら一杯目のウォッカを一息に呷るとこう言った。

『そんなの!お前がイヤならばハッキリと断ればいいじゃないか?』

俺はライムジンをチビリチビリを口に流しながら本音を語る。

『うん………そうなんだがな………
なんだろうな?やはり、結局は親の権力には逆らえない性格でな……』

ヤツは酒のお代わりを注文すると尚も言った。

『けど大事なのは結果!親じゃなく自分の気持ちだぜ?
じゃないと結婚しても離婚するハメになっちまうぞ?

………で、相手の女は可愛いのか?』

なんかハッキリと核心を直に突いてきたヤツに対して俺は苦笑う。
なんというか……この御時世は人間=外見で判する時代である。
まぁ、必ずしも『美しい』=『内面こころも美しい』とは限らないのはいつの時代も変わらない。

『うん……
まだ性格は良く分からないのだが……
気立ては良い娘らしい。

俺は人を外見で判したりはしない男だと自負していたのだが………』

そこでまた何となく気まずくなり、酒を一気に半分呷る。


その返答に対してヤツからはとんでもない言葉が返ってきたのだ。

『つまり!ハッキリ言えば美しいとは言えないんだな?

ぼくは結婚はまだしたいとは思わないが……
兄の嫁さんがそれは綺麗でな。

…………実はスキを見て味見テイスティングしているんだ。
おっと、誰にも明かしてないから……お前だけのこころに秘めておいてくれよ?

ぼくは、どうせなら女は美しい方がこころの保養になると思うぞ?』

………ヤツの意外な秘密を知り……そして更に意味の分からない理論を語られてしまった。
ヤツの左耳の黄金の飾りが酒場の照明で妖しく輝いた。

俺もやはりこころの何処かでは『人間は容姿重視』とか俗っぽい事を気にしてるのだろうか?
その証拠に今回の婚礼を素直に受け入れれない自分がいる。

『…………まぁ、努力はしてみるよ。』
それだけヤツに伝えると店主に、

『俺とコイツの分、勘定頼む。』

そして絹の上着を羽織ると席を立った。

ヤツは更に酒をあおりながら俺に問いかける。

『ん?もう帰るのか?』

『あぁ、なんか飲みたい気分じゃ無くなってね。』

『ぼくはもう少し飲んでから次の店に向かうよ。
じゃあな、ごちそうさん。
お前がイヤな結婚ならちゃんと断れよ?』

更に追い討ちのような言葉が突き刺さる。

『あぁ、またな。』

ーさて、どうするか………ー

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