甘く蕩ける程に愛して

みのる

文字の大きさ
上 下
67 / 87
佐伯邸での生活の始まり

夫婦「逆転体制(?)」スタート!!※

しおりを挟む
月曜日。
朝早くに起床して母親の生前着用していたスーツに身を包み、父親と共に朝食を済ませる娘、架苗の姿があった。こんな時間に彼女が起床出来たのはまさに『奇跡』に近い。……それだけ気合いは充分だということである。
それを何時もと変わらない、ノーテンキな表情で見ていた栗栖。(てか…キミも良く起きれたな?栗栖…)
昔のように、食後のレモンティーを架苗に淹れる。
ミツキが月曜日から3日間、颯爽と家に帰ってしまったので!その間の食事作りをカグラと行わなくてはならないので、尚更彼の起床時間は早かった。(かもめお嬢様はただいま睡眠中♡)

6時半、遂に架苗の出勤である。
栗栖は戸惑っていた。
“お嬢様でも奥様でも無いかなえの事を…なんと呼んで送り出すべきなのか…?”

うーーーーーむ……………………あっ‼(ヒラメイタ!)

車に乗りいよいよ出かける架苗。その顔は緊張に満ちあふれている。
使用人一同は(栗栖含む)お見送り。

『行ってらっしゃいませ!旦那様!架苗様!』

(栗栖、自分の嫁の「様」扱いに複雑な気持ちに陥る)
架苗は使用人一同に笑顔で、

『行ってくるわ!』

と言い旦那様の運転する車に乗り込み、それは遂には見えなくなった。

さて……かもめお嬢様が睡眠な間は、何時も通りに懐かしの架苗の家族達に朝ごはんを与える。
(えーと、鯉が10匹、犬が2匹、ネコが3匹、鳥が4羽……だっけか?←名前、無論忘れた)
ご無沙汰な庭いじりをしてるところに‼シュウイチさんからの伝言。
“お嬢様、お目覚めになられたよ?”
な…なんと‼栗栖はシュウイチに礼を言い、速攻で『新生お嬢様』の元に向かう。

此処からの栗栖の仕事は『家事無しな主夫』である。
泣きもせず、ムクリと起き上がったかもめお嬢様を抱き上げて、栗栖は1人の父親の顔になる。
とりあえず、かもめお嬢様の大好きなワカメご飯と味噌汁を慣れない手で料理する。
(かもめお嬢様は朝はご飯派)

ご飯を済ませて、お着替えを終わらせたお嬢様を、お庭にお連れする栗栖。

『ほぉ~ら♡お魚さんがいっぱいだぞぉ♡お嬢様♡』

(栗栖、自分の娘の「お嬢様」扱いに何か腑に落ちない)
初めて見る色とりどりな「鯉」を不思議そうに見つめているお嬢様。
なんとなく鯉の名前を思い出して来た(意外と賢い)栗栖。お嬢様に紹介する。

『ホラ、あの白と赤のマダラがハナ、あの黒いのがマイケル、あの黄色のがタロウ………(以下略)』


栗栖の主夫兼使用人としての1日は始まったばかりである。

ふと、時計に目をやる栗栖。
”む!そろそろお嬢様に昼メシの仕度をしなければ……“
オレは早速台所に向かい、カグラさんと共にお嬢様の昼メシの用意を始める。

出来たァーーー‼(感動)

オレはお嬢様に出来上がった熱々なモノをそのまま出そうとすると……カグラさんに怒られた。

『ダメじゃない!タカミネくん‼お子様に食べさせるご飯はちゃんと食べやすいように冷まさないと!』

と言いながら、特製リゾット(味薄め)に氷を1つ入れた。
(※こんな冷まし方がアリなのかどうかはみのるには分かりませぬ!)

それを食卓の子どもイスに座って、“あたちの食い物はまだかぁ!?”バリに待機しているお嬢様の前に置く栗栖。

『さぁ、お嬢様!”いただきます“しましょうねぇ?』

(栗栖、娘への敬語も腑に落ちない)
ぱちん…っとお嬢様のぷくぷくなお手々を合わせて、(今更ながら)ヨダレかけの装着。
一応自分で息を吹きかけてひと口分のご飯を冷ます主夫栗栖。

うん、コレくれぇかな?

『ハイ!お嬢様♪アーン☆』

お嬢様はダイナミックにお口を開けてご飯の投入されるのを待ってる。→ご飯投入。→もぐもぐして更に次を欲する。

それを何度か繰り返してると……。

『お嬢様、アーン♪……???』

お、お嬢様………‼(ビックリ)

ヨダレかけを装着したまま、お口にご飯粒をいっぱい付けて…お嬢様、就寝☆

栗栖は何気に写メを撮りまくり……眠り姫なお嬢様を寝床に連れて行くのであった。



別な話から移動してきたカット。

しおりを挟む

処理中です...