秀と清美

みのる

文字の大きさ
59 / 94
本編

悲しみ

しおりを挟む
ー夜、ところにより雷を伴うでしょうー
天気予報のアナウンス。俺は清美に、

『夜、雷もしれないんだって、落ちたらどうしよう?』

清美を振り返ると、…気のせいか…なんか…顔がこわばってる?そんな清美に、

『そろそろいってくるね?』

行ってきますの口付けをして(念の為傘持って)出かけた。


やはり、雨だった。雨の中、お得意先巡りに余念の無い俺。”もうすぐ清美の誕生日かぁ、今年はどうしようかなぁ?“とか何とか余計な事も考えながらお昼ご飯を食べに、1度支店に戻る。
今日のお弁当は、鮭の焼いたの入れた。煮ものとか栄養のバランス考えて。
ー清美も今頃ご飯かなぁ?今日は洗濯物干しっぱで良いからねー

その頃、清美はアカとクロの元気がないのが心配でごはんどころではなかった。餌をあげても食べないし………一体、どうすればいいのか…

ーアイツなら、何か分かるかも?ー
お昼も放ったらかしで、アイツの帰りを必死で待った。

ー夜ー

『ただいま…(超疲れた声)』

(アイツが帰ってきた‼)いそいそとお出迎えの清美。秀が口付けて来るのより前に、

『アカとクロがたいへんなんだ⁉』

どれどれ…と秀がアカとクロの様子を診てくれる。

その後秀は
静かに首を振って、

『この子達は、もうお空からお迎えが来てるんだ…』

清美に残酷なことをハッキリ言った。

『……もう……もって、後2日くらいだと思う…』

清美は、大きな瞳から大粒の涙をポロポロ零しながら

『ヒクッ…もぉ…たすからないのか…ヒクッ』

『うん…今まで、ありがとうって言っときな…』


そこに、予報通り、“ゴロゴロ!ピシャーン‼”
と奴は来た!

怖くて思わず秀に抱きつく清美。涙はそのままに…
抱きつく清美の頭を優しく撫でる秀。
(雷嫌いだったんだね…ごめんね…アカとクロの事は、俺にはどうしようも出来ないよ…)

ーその夜ー
大嫌いな雷と、アカとクロに近づくー死ーに泣きじゃくる清美を、俺は力強く抱きしめている事しか出来なかった。

清美を成長させるための試練が、無情にも近づく。

ーその2日後、アカとクロは静かに空に旅立ったー
真っ赤に両目を腫らした清美が、アパートの下の土の所に穴を掘っていた。(秀に教わった)
『おはか』とやらを作っていた。
『アカとクロは、一緒に逝けて幸せだったんだよ。…清美にも大事に育てて貰ったし…』
俺は清美の頭を優しく撫でた。それが逆効果だったのか、余計に涙を流す清美。
俺たちはせめて向こうでも2匹一緒に居られるように、2匹一緒に弔った。

『さぁ清美、アカとクロはいつもお前のこころの中に生きてるから…元気を出して?泣くのはもう、止めにしようか』

清美は涙を拭き、うなずいた。

(生き物を育てると言うことは、いつか必ず別れが来るということなんだ…大好きなごはんを食べないほど辛かったんだね、清美……)





※清美の髪、この時だけ!伸びたのです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

アラフォーリサの冒険 バズったSNSで退職からリスタート

MisakiNonagase
恋愛
堅実な会社員として働いてきた39歳のリサ。まだまだ現役の母親と二人暮らしで高望みしなければ生活に困ることはなく、それなりに好きなことを楽しんでいた。 周りが結婚したり子育てに追われる様子に焦りがあった時期もあるなか、交際中の彼氏と結婚の話しに発展した際は「この先、母を一人にできない」と心の中引っ掛かり、踏み込めないことが続いてきた。 ある日、うっかりモザイクをかけ忘れインスタグラムに写真を上げたとき、男性から反応が増え、下心と思える内容にも不快はなく、むしろ承認欲求が勝り、気に入った男性とは会い、複数の男性と同時に付き合うことも増え、今を楽しむことにした。 その行動がやがて、ネット界隈で噂となり、会社の同僚達にも伝わり… リサは退職後、塞ぎ込んでいたが、同じような悩みを抱えていたカナリア(仮名)と話すようになり立ち上がった。ハローワーク経由で職業訓練を受講したり、就活したり、その間知り合ったり仲間と励まし合ったり、生きる活力を取り戻していく… そして新たな就業先で、メール室に従事する生涯枠採用の翔太という男性と知り合い、リサの人生は変わる… 全20話を予定してます

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。 その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。 全15話を予定

処理中です...