秀と清美

みのる

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おまけ

初恋物語

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『秀‼いったい何処行くんだい?』

学校から帰るなり何処かへ行こうとする俺に、慌てて母親が訊ねる。俺は、

『ちょっと公園で、遊んでくるよ?』

そう伝えて帽子を被り、外に出た。

『夕方にには、帰るんだよ⁉』

追いかけてくる、母親の声。

俺は小学3年生。学校に女の子の友達はいっぱい居るのに、何故か男の子の友達が出来なかった。それどころか男の子からは、俺が近づくだけであまり良い顔をされない。………一緒にサッカーとかしたいのにな…?
昼休みはいつも独りで、楽しそうに遊ぶ男の子たちを羨んで見てた。


俺は、いつも独りで遊ぶ公園に着いた。いつもは同じ位の年齢の子供たちで賑わってるこの公園。何故か今日は人っ子1人、居ない。少し寂しく思いながら、俺はブランコに乗りはじめた。

すると、いつの間にか公園に存在していた1人の女の子。(全く、気づかなかった…)ベンチに腰かけて足をブラブラさせている。俺はその子が気にかかって仕方なかった。
ブランコを漕ぐのを止めて、その子に近づいていく。俺の視界をその子が支配した時、俺はハッと息を飲む。
気がついたら、その子に声をかけていた。俺は普段は自分から女の子には声をかけない。いつも女の子の方から誘ってくる。

『ねぇ、一緒に遊ぼう?』

雪のような白い肌。黒い肩くらいまでの髪。桜色のぷっくりとした唇。白い着物姿が珍しい。少し、痩せ型かな?そしてその瞳に、こころを奪われた。
ー静かに真紅に輝く、その瞳ー

女の子は、少しビックリして…でも、コクリとうなずいて俺の誘いを受けてくれた。
“良かったぁ…”俺はニッコリ笑い、女の子に手を差し伸べる。

『何して遊ぶ?』

俺は聞く。
女の子はちょっと困りながら、こう答えた。

『あそこの、ゆりかごにのろう?』

ちょっと女の子にしては、低めの落ち着いた声。
俺たちは手を繋いで、ゆりかごに向かった。

俺たちはゆりかごに向かい合わせに座る。こういう遊具で遊ぶの、初めてなのかな?女の子はどうやって乗るのか、少し戸惑ってた。漕ぎかたも、分からないらしい。

『そのまま、座ってて』

女の子にそう言い、俺はゆっくり漕ぎ出した。
ちょっと調子に乗り、勢い良く漕いでしまう。それでも女の子は楽しそうに喜んでいた。

『たのしかった‼』

女の子は満足そうに元気に言った。

『次は…どれ乗る?』

女の子は、ブランコを指差して、

『あれ、のりたい!』

と嬉しそうに言う。

俺は女の子が座るブランコを、そぉっと軽く背後から押す。ゆらゆら揺れるブランコ。だんだんまた調子に乗ってしまい、力強く押してゆく。

『しっかり捕まってなよ⁉』

きゃあきゃあ喜んでる女の子。…無邪気だなぁ…思わずには居られなかった。

ジャングルジム、すべり台、色々な物で遊んだ。
ひとしきり遊んで女の子は悲しそうに、

『…もぉ、いかなきゃ…』

そう言って俺を振り返りながら、走って公園の出口に向かう。
俺は、

『また、いつか一緒に遊べないー⁉』

大声で叫んだのに、女の子はそのままただ真っ直ぐに…公園を後にした。

(また、遊びたいな…)俺は微かに残る、あの子の手の温もりを感じながら…寂しい気持ちになった。

あの子の名前…聞き忘れたな…
ある、夏の暑い日の出来事であった。


その子の事が、ずっと一時は頭を離れなかった。しかし時の流れはあまりにも無情で、暫くしたら
ー俺の頭の中から、彼女の記憶は霞みがかっていったー

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