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第1話 近所の主婦が集う場所
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『い……いらっしゃいませ~!いらっしゃいませ~‼お昼ご飯にお弁当、美味しいパン、もちろんお茶、ジュース……色々と取り揃えでおりますよぉ~っ!如何ですかぁ~っ!』
お?加地くん、今度は少しだけマシな声が出せるようになったじゃないか?(岡田は嬉しいぞ?)
さて、今度の舞台は某団地の入り口前。加地くんの声が何処まで響いたのかは謎だが、割とたくさんの主婦が「タラコ1号」の周りに集ってきた。
しかし加地くん……タラコ1号、もういっぱいいっぱいではないか。これではあまり商品も乗せれないな?
『あら、美味しそうな焼肉弁当じゃない♡いろんな具材が入ってる♪ねぇ、これ幾らなの?』
ひとりの主婦に訊ねられた加地くんがにこやかに答える。
『ハイ♪500円です☆』
それを聞いて少し渋い顔をしたその主婦。……やはり昼間にワンコインは贅沢すぎなのか?
他のお子さま連れの主婦が、
『なら、私がそれ買うわ‼ハイ♪500円』
と500円を加地くんに差し出す。
それを聞いたさっきの渋い顔をした主婦が慌てて言う。
『ちょっと!あたしはまだ買わないとは言ってないわよ⁉
すみません!この焼肉弁当下さい!』
因みに弁当の種類は豊富ではあるのだが、加地くん……数はひとつずつしか持って来ていないようなのである。
加地くんは2人の客に申し訳無さそうに言う。
『申し訳ございません、その焼肉弁当はその1つしか持って来てなくって………此処は公平に、ジャンケンで……💦💦(滝汗)』
もちろん!どちらの主婦も気に入らなそうな表情をする。
『何言ってるのよ?私が先に買おうとしたのよ?』
『それより前にあたしが値段を聞いたんじゃない⁉』
そして仁義なき女の闘いが始まる。
『あの……おふたりとも…お…落ち着いて……(オロオロ)』
激しく狼狽える加地くん。
互いに睨み合う2人の主婦。
そこでだ!
『まま、もぉやめてぇ‼』
1人の子どもの声が団地内に響いた。
その子どもの母親はハッとした。
続けてその子ども(女。推定5歳)は言う。
『おべんとうくらいで……そんなにあらそわないで!わたし……はずかしくて…だんちのおともだちとあそべないよぉっ‼』
見ると団地内の奥様方が声をひそめてボソボソ言い合っている。
「………あの方…確か206号室の佐藤さんでしたわよね?」
「……更にそのお相手の方は……105号の本田さんよね…?」
それに気づいた2人のバトラーは、1人は大人振った事を言ってのけた娘を連れて……もうひとりはコソコソと闘技場を退場していった。
ー勝者:推定5歳の女の子‼ー
それを最後まで傍観していたひとりの主婦が、
『じゃあ、もうその焼肉弁当……アタシが買っても大丈夫だよね?』
ワンコインを加地くんに渡すと、焼肉弁当をひったくるようにして去っていった。
『あ、ありがとうございました………』
その後も移動販売タラコ号の売上は順調に伸び、今日もほぼ完売で加地くんはウハウハでタラコ1号を引いて帰って行った。
※加地さんは通常時に話す言葉は田舎弁ではございませぬ。
お?加地くん、今度は少しだけマシな声が出せるようになったじゃないか?(岡田は嬉しいぞ?)
さて、今度の舞台は某団地の入り口前。加地くんの声が何処まで響いたのかは謎だが、割とたくさんの主婦が「タラコ1号」の周りに集ってきた。
しかし加地くん……タラコ1号、もういっぱいいっぱいではないか。これではあまり商品も乗せれないな?
『あら、美味しそうな焼肉弁当じゃない♡いろんな具材が入ってる♪ねぇ、これ幾らなの?』
ひとりの主婦に訊ねられた加地くんがにこやかに答える。
『ハイ♪500円です☆』
それを聞いて少し渋い顔をしたその主婦。……やはり昼間にワンコインは贅沢すぎなのか?
他のお子さま連れの主婦が、
『なら、私がそれ買うわ‼ハイ♪500円』
と500円を加地くんに差し出す。
それを聞いたさっきの渋い顔をした主婦が慌てて言う。
『ちょっと!あたしはまだ買わないとは言ってないわよ⁉
すみません!この焼肉弁当下さい!』
因みに弁当の種類は豊富ではあるのだが、加地くん……数はひとつずつしか持って来ていないようなのである。
加地くんは2人の客に申し訳無さそうに言う。
『申し訳ございません、その焼肉弁当はその1つしか持って来てなくって………此処は公平に、ジャンケンで……💦💦(滝汗)』
もちろん!どちらの主婦も気に入らなそうな表情をする。
『何言ってるのよ?私が先に買おうとしたのよ?』
『それより前にあたしが値段を聞いたんじゃない⁉』
そして仁義なき女の闘いが始まる。
『あの……おふたりとも…お…落ち着いて……(オロオロ)』
激しく狼狽える加地くん。
互いに睨み合う2人の主婦。
そこでだ!
『まま、もぉやめてぇ‼』
1人の子どもの声が団地内に響いた。
その子どもの母親はハッとした。
続けてその子ども(女。推定5歳)は言う。
『おべんとうくらいで……そんなにあらそわないで!わたし……はずかしくて…だんちのおともだちとあそべないよぉっ‼』
見ると団地内の奥様方が声をひそめてボソボソ言い合っている。
「………あの方…確か206号室の佐藤さんでしたわよね?」
「……更にそのお相手の方は……105号の本田さんよね…?」
それに気づいた2人のバトラーは、1人は大人振った事を言ってのけた娘を連れて……もうひとりはコソコソと闘技場を退場していった。
ー勝者:推定5歳の女の子‼ー
それを最後まで傍観していたひとりの主婦が、
『じゃあ、もうその焼肉弁当……アタシが買っても大丈夫だよね?』
ワンコインを加地くんに渡すと、焼肉弁当をひったくるようにして去っていった。
『あ、ありがとうございました………』
その後も移動販売タラコ号の売上は順調に伸び、今日もほぼ完売で加地くんはウハウハでタラコ1号を引いて帰って行った。
※加地さんは通常時に話す言葉は田舎弁ではございませぬ。
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