新☆何でも屋

「新☆何でも屋」店主中村と常連客

中村は看板猫「とら」と奥さんと共に「新生☆何でも屋」を始めた。始める際に、店主中村は元店主より…
”今までの常連客の顔くらいは覚えといた方が良いだろう“と「常連顧客リスト」なるものを受け取っていた。
中村はテスト前の学生のように一夜漬けで顧客の顔を頭に叩き込んだ。


～さぁ、新☆何でも屋の開店だよ？～
『………………………………………………………ヒ・マ・ダ！』
ショーケースにうつ伏せになりながら…店主中村は大きく一欠伸。
(………この暇な間に…ネットの仕事も続けられたんじゃねーのか？(疑問))
店の奥では「看板猫」なハズのとらと戯れる中村奥さんの姿。←既に看板猫の役目を果たせていない。

時刻は昼の2時頃。ガラガラガラっ！いきなり店の引き戸が開いた。
店主中村、更に大きな欠伸をしようとしていたところだったので思わず口を抑える！
店に入ってきた第1号な来店客は………………
(アレ？…なんか……どっかで……？？？)
物陰でリストをペラペラと捲り検索する店主中村。
『こんにちは！ちょっとお邪魔するよ？』

ラフな格好をしたじいさん。ちょっと見ただけではまさに！普通のじいさんだろう。

あ、あった！この人だ‼
「カーディーラー桑原の…桑原会長」だ！

いきなりの大物(？)来店客に店主中村の背中に一筋の汗が伝う。
……が！店主中村は……自分より偉い身分の人を敬ってへつらう事が何よりも嫌いである。
てなわけで、店主中村は何時も通りの態度で恐れ多くも桑原会長に接するのである。
『いらっしゃい、ゆっくり見ていってよ！』

そこで会長は違和感に気づく。
『……おや、おヌシは……』
穴の開くほどに店主中村を見つめてくる会長。
『…ふむ、前までの店主と違うのぉ？店主はどこかのぉ？』
しきりに会長は元店主を探している。そこで今の店主中村、会長に伝える。
『今までの店主は…引退して今日から俺がこの店を引き継いだんだ。…で、何が要るんだ？』

会長は少し考えて…店主中村に言った。
『「何時もの」貰えるかの？』
い……何時もの～～～っ⁉

実は…こんな事もあろうかと、元店主はリストの中に「その顧客が良く購入する物」を記入してくれていたのだ！

会長が良く購入する物……なるほど……(フムフム)…てか……このヒトだったのかぁぁぁあああ～⁉
(何かふと懐かしい気持ちに浸る店主中村)

中村は顔を若干引きつらせながら「ソレ」を取り出す。
『コレで良かったよなぁ？会長さん。』
そう！店主中村が取り出したのは……会長愛用の「入れ歯」。
会長は目を輝かせながら、
『おぉ、コレじゃコレじゃ！……やはりワシの口にはコレでないとのぉ……♡』
ソレを受け取り自分の口に嵌めてフィット具合を確認すると、大喜びで代金を支払い、ルンルンで店を出ていった。
『ありがとさん♪』


記念すべき新☆何でも屋の開店初日は、カーディーラー桑原会長の来店にて始まり……そのまま1日が終わった…(滝汗)