新☆何でも屋

みのる

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ご老体の求めるモノは……?

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とある日の昼下がりの新☆何でも屋。
『………暇ねぇ………』
今日は珍しく、中村奥さんが店頭に座り……愛猫を膝に乗せて頭を撫でていた。

ココで奥さんととらの“初☆何でも屋デビュー”である。


ー一方こちらはCafeスペースー
何時もは何でも屋の店頭で番をしているハズの中村が、渋い緑茶を啜りながら好物な小豆大福を頬張っていた。
珍しくオヤツの時間を貰えた店主中村である。

店主中村は大福に舌鼓を打ちながら、自分のビグホを慣れた様子で弄ってMYTubeを見ていた。
「タラコ社長って……何時もくだらねぇ事ばかりしてるよなぁ……(苦笑)でもこのくだらなさがイィんだけどなぁ………」
そしてひとり呟いていた。


ーまた此方は何でも屋ー
奥さんがここらでひとつ欠伸をしようと構えていると………ガラガラガラっ!何時もの音を立てて店の引き戸が開いた。
慌てて口を抑える奥さん。更に頬をほんのり染めながら。
『い…いらっしゃいまっせぇ~!(声が焦って変になっちゃった‼)』

そんな奥さんの様子には一切関心が無いように、やってきたひとりのじいさんがさも当然の事のようにこう言った。
『アカフンをくれんかの?』

その一言を耳にした奥さん。すぐさまじいさんに聞き返した。
『あ…アカ…フン……ですか?』
その……今まで聞いたことも無いWORDに…奥さんは戸惑い、思わずじいさんに聞いた。
(まぁ……女子ですし…イィとこ育ちのお嬢様ですからね?)

『すみません…。私、今まで”アカフン“と言う言葉と出会う事が無くって……アカフンとは、一体どんなモノなのですか?』
するとじいさんは、少しムッとした様子で答える。
『何でも売っておるハズじゃのに……おヌシ、アカフンも知らんとな?それでよく「何でも屋」が務まるのぉ‼』

”それでも……知らないモノは知らないのよ~!アナタ……助けて……“
と奥さんはこころの中で店主中村にヘルプを出す。


そこに!まさにタイミング良く!店主中村のご登場である。
“妻の危機‼”を目敏く悟ってかの登場かどうかは謎であるが、ナイス過ぎる頃合だ。
『なんか変わった事あったかぁ……⁉い…いらっしゃい!何が要るんだい?』
即座に来客に気づいた店主中村も訊ねる。

男子の登場で、女子の奥さんよりは話が通じる!と判断したのか…じいさんはまた先程と同じ質問を店主中村にぶつける。
『この女子よりはモノを知っておるかの…?おヌシ!アカフンをくれんか?』
そこで、店主中村の頭の中も???マークで一杯になった。暫し沈黙が3人(+1匹)の間を流れ……それを1番に破った店主中村のひと言!
『……なぁ…、アカフンって…なんだ?』

何故‼皆知ってるのが当たり前なモノが…この店では通用しないのか⁉←(じいさんの思い込み)じいさんの怒りは頂点に達し……まさに、2人(+1匹)に怒鳴り散らそうとした矢先であった。

そう……あの男が現われたのは……


ガラガラガラっ‼
『いやぁー!今日は来ないと思っただろう?残念だったな!………って……ん?』
店内の全員の視線が……その救世主の元に注がれた。
神だ……!神が降臨したとばかりに店主中村は救世主……という代名詞の付けられた『元何でも屋・店主』に縋り付いた。

『オッサン‼「アカフン」って……なんだーーーーーっ⁉』
そこで当たり前の事の如くにサラリと答える元・店主。
『アカフンとは……日本古来の下着の事だよ、そんな事も知らないのかね?』
そう言って、品物を取り出した。

そこでじいさんの目が輝いた。
『コレじゃ……コレじゃよ……!ワシの求めていたモノは……コレじゃあああぁぁぁ‼』
呆然とただ見守る事しか出来ない店主中村夫婦の代わりに、元・店主はじいさんより商品の代金を受取り品物を手際よく渡す。

『ありがとうのぉ♪(ルンルン)』
満面の笑みで店を去るじいさんを満足気に眺める元・店主。


まだまだ……修行が足りないねぇ?店主中村夫婦。
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