新☆何でも屋

小話 本を売りに来る人達

ガラガラガラっ‼
何やら重そうな荷物を引きずりながら、お客さんの来店だ。

ビグホを弄りながら店主中村の何時もの挨拶。
『いらっしゃい！』
そこで仔猫達も可愛らしくお客さんをお出迎え♪1匹ずつぴょこりと登場のパフォーマンス☆
その愛らしい姿にお客さん、大喜び♡

1人の少女がショーケースの上によっこらせ‼と乗せた、如何にも重量感満載なそれとは………？

何か勘違いしている少女はさも当然の事のように店主中村に訊ねる。
『ココって「何でも屋」ですよね⁉………もちろん！古本も買い取ってくれるんですよね！』
そして店主中村の返事も待たずにダンボールに入った物を明け渡してきた。

まぁ此処を「古本屋」と勘違いしてる人に出会すのは初めてでは無い故に、店主中村は少女を軽い口調で追い払う。
『嬢ちゃん！悪いがな……ウチは何でも売ってはいるが、何でも買い取ってはいねぇんだよ。他所のれっきとした古本屋にいっとくれ！』

せっかく重たい思いをして持って来た荷物ごと、店から放り出した。
ブツブツ文句を言いながら、少女はまた重い荷物を引きずりもって帰って行った。


ーまた別の日ー
ガラガラガラっ‼
引き戸を開けて入店してくる青年。またまた重そうな荷物持参である。

なんと店主中村は居眠り中。そこに何の躊躇いも無くショーケースの上によっこらせ！と荷物を置き、店主中村の眠りを妨げる。

青年も何時かの客のように言う。
『なぁ！ココは「何でも屋」だろ？コレも買い取ってくれんだろう？』

青年が手に持つスーパーの袋からは雑誌がたくさん顔を覗かせていた。
店主中村はその青年に言う。
『ちょっと古本の状態の査定をしなきゃあなんねぇから……時間貰って良いか？(ぐふふ)』

そこに奥の部屋から颯爽と現れた奥さん。陰で店主中村の耳を抓りながらニッコリと青年に微笑み、言う。
『すみませぇん♪ウチは何でも売ってはいるけれども、何でも買い取ってはいないんですよぉ♡他をあたってくれませんか？』


………とまぁ、「新☆何でも屋」を古本屋と間違える客は後を絶たない。