新☆何でも屋

みのる

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小話 店主中村を襲う若葉寒

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大型連休も済み、すっかり初夏となったある日の早朝から店主中村が唸っている。
『寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い、寒い~!
つい先日なんか汗ばむ程暑かったのにこの寒さはいったいどうなってるんだ!?ストーブを片付けてしまった後じゃないかほんとうにまったく!!』
とご立腹な店主中村。
『お~い、まい~!炬燵とストーブを出してくれよ、おれぁ寒さに弱いんだよ~‼』

呆れた顔をしながら出てきた奥さんは中村に苦情を言う。
『何言ってるのよ、今頃出しても明日か明後日にはまた片付けなければならないでしょ!?』

店主中村は尚も食い下がる。
『え~、そんな~!!だって寒いじゃないか!!』

等とどこかで聞いた事が有る様な言い回しをしながらも、奥さんの肩をユサユサと揺さぶりしつこく纒わり付く様は、もはや駄々っ子である。

奥さんも奥さんで纒わり付く中村を引っペがえそうと奮闘する。
『え~い!しつこいわね‼いい加減に離しなさいよ、私はまだまだしなければならない事があって忙しいのよ!?ほとんにもういい加減にして!!』

尚も奥さんに食い下がる店主中村。
『オコタ~、ストーブ~』

そこへガラガラと救世主(?)が現れた
『朝っぱらから何を揉めてるんだい、外まで声が聞こえて来てたよ!?』

その声に振り向いた店主中村と奥さんの顔が笑顔になり、2人ほぼ同時に元店主に助けを求める。
『おっさんからも言ってくれよ、こんなに寒いんだから炬燵とストーブを出してくれと言ってるんだ!』
『店主さんからも言ってください、今頃ストーブや炬燵を出しても1~2日でまた片付けなければならないから我慢しなさいと。』

2人の話しを何となく聞いた元店主は、
『青年、今頃暖房器具を出せとか何を言ってるんだ?』

その言葉を聞いた店主中村は項垂れ、奥さんは勝ち誇ったような顔になるも更に店主の話が続く。
『もう初夏だと言うのに暖房器具とかお前さんは変態かね?
私なんか先日の暑さに必死に耐えていたんだぞ、今頃から扇風機やクーラーを使ったらうちのに怒られるし、仕方ないからパン1でいたらいたで、“誰が来るかわからないしみっともないから服を着ろ!“と怒られるしで散々だったんだぞ!?
今日涼しくなって服を着ることが出来たからうちのの機嫌がようやく直ったんだぞ、それを寒いなんてお前さんの身体の構造はどうなってるんだね?ほんとにまったく……』
等とよく分からない独自論を語り続ける。

いつまでもしつこく続く独自論に2人はうんざりし、無言で聞きながらも中村は内心(その言葉をそっくりそのまま返すよ!)と、奥さんは奥さんで(旦那様と別系統の変態がここにいたよ、こんな調子だと店主さんの奥さんも大変そうだな…)等と思っていたのかは定かではない。
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